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真・恋姫†夢想~朱霊伝~「六人目の大将軍」  作者: 羅貫厨
3章・董卓+何進=動乱
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~洛陽動乱~酔払いは酔っていないと言う

書き上がったので投稿します。


駄文ですがお付き合いください。

「…あばよ、じじぃ――」



 周倉が別れの言葉と共に審配の首に断頭の刃を振り下ろした―――


 ハズだった。



「なっ!?」



 振り下ろしたハズの刃は『ズドンッ!!』という轟音と共に周倉の手から弾かれ宙を舞い粉々に砕け散っていた。


 全員が驚き轟音の発生元に目を向けると、巨大な弩を改造した大筒の様な物を片手に徳利を煽っている女がいた。



「…全く、出先から帰って来てみれば、人様の屋敷の軒先で随分と悪趣味な事をやっているものよ。のう紫苑?」


「…桔梗……」



 月英が桔梗と呼んだ女はこの屋敷の主人である厳顔であろうか?


 徳利を煽りながらゆっくりと審配達がいる方へ足を運び月英の隣でその足を止めた。



「いささか悪ふざけが過ぎるのではないか?

 状況は全く飲み込めんが、こんな孺子共に処刑の真似事なぞさせる物ではないわい。揶揄うのも大概にせんと璃々にとやかく言えぬぞ」



 月英を諭す様にその肩に手を遣る桔梗。



「貴女様は一体…?」



 突然の乱入に驚きながらも廖化が桔梗に声を掛けた。



「む…?儂か?儂は厳顔。この屋敷の主よ」



 廖化の問いに名乗りを上げ応えた厳顔がカッカッカと笑う。



「して、孺子。お主らこそ何者だ?」



 今度は厳顔が廖化に問うた。



「私は廖化と申します。先程剣を握っていたのが周倉。我らは韓忠様の配下だった者です」


「ふむ。ならばそこで首を落とされ様としていたのは――」


「我らと敵対していた官軍の将で三傑がひとり朱儁配下の審配という者です」


「なるほどのぅ…。大凡わかったわい。――そうか。大和が逝ったか」



 全てを察したのか、厳顔は天を仰ぎながら徳利を煽りクピリとその喉を鳴らした。



「―――紫苑の気持ちはわからんでもない。だが、こやつを殺すのはやめておけ」


「でも―――」



 再度諭す様に言葉を投げた厳顔に反論しようとした月英であったが、



「おかーさん……?」


「――!!」



 眠たげな幼い少女の声に遮られる事となった。



「璃…々……」



 月英の目が少女を捉えると、彼女は悲しそうに目を閉じ顔を逸らした。


 自身の醜い心内を娘に見られた様に感じ、居た堪れなくなったのだろうか…。



「(じじぃ立て!)」



 咄嗟に周倉が少女に審配が見えない様に壁となり小声で立つ様に促す。



「(そのまま後ろを向け!縄を解く!)」


「(わかった)」



 少女からは見えない様に審配の縄を解いた周倉は手早く縄を纏めると懐に仕舞い込んだ。



「(良かったのか?)」



「(ふぅ…。流石にこの状況をガキん…お嬢様に見せる訳にゃいかねぇかんな)」


「(確かに。子供の情操教育的には宜しくない絵面ではあったな。ふっ、咄嗟に良く動けたものだ)」


「(言ってろ!クソじじぃ!)」



 周倉の咄嗟の機転が功を奏したのか、少女は審配に気付かず眠たげに目を擦りながら顔を逸らしたままの母親を気遣っていた。



「おかーさん、どうしたの?」


「…ぁ……っ、だ、大丈夫よ璃々。お母さんは大丈夫だから――」



 月英は跋が悪そうではあるが、自身を心配する娘を安心させる様に抱き寄せ優しく声を掛ける。



「ふむ。璃々は寝ていた様だな。起こしてしまったかのぅ?」


「?――あ、ききょーさんおかえりなさい。おっきいおとがしたからめがさめちゃったの」


「あいや、もしや儂が起こしてしまったか……?」



『ズドンッ!!』という轟音がすれば目が覚めてしまうのは当たり前である。


 自らが寝た子を起こしてしまった事を察した厳顔が跋が悪そうに頭を掻く。



「むぅ…まぁ、なんだ。客人も来ている事だ。紫苑、茶を淹れて貰えるか?」



 厳顔と璃々と呼ばれた少女の出現に場の雰囲気が乱れ、それを誤魔化そうとしたのか厳顔が茶を淹れてくれと月英に言葉を投げた。



「え、ええ。わかったわ」



 月英も今の状況は芳しくないと察したのか厳顔の頼みを飲み、優しく娘に声を掛けるとその手を引いて屋敷の中へ姿を消した。



「…っ。こ、これは血を流さずに済んだ――と思って良いのだろうか…?」



 緊張の糸が切れたのだろうか。


 屋敷の中へ消えて行った月英を見送った廖化は表情を強ばらせながら力無くその場に崩れ落ち、大きく安堵の息を吐いた。


 それも仕方の無い事。


 月英の下した判断に最も肝を冷やしていたのは彼だったのだから。


 韓忠が遺した言葉を真摯に捉え、月英やその娘の将来の為に理と利を一番に考えていた廖化。


 月英が審配を害する決断をしてしまう事を彼は最も恐れ危惧していた。


 自らがそれを止める事は出来なかったが、厳顔と月英の娘の登場により廖化が想定していた最悪の事態は回避されたのだった。



「やれやれ。腰でも抜かしたか孺子?」


「…ハ、ハハハ………」



 ヘタり込んでしまった廖化を揶揄う様に厳顔が声を掛けたが、廖化は力無く厳顔に視線を向け疲れた様な苦い笑みを浮かべる事しか出来なかった。



「――さて、軒先でお天道様を頂きながら立ち話をするのも悪くはないが、紫苑に茶を淹れさせた手前このままという訳にもいかぬな。

 あー…、周倉――だったか?そこでヘタり込んでおる孺子を屋敷の中へ連れて行ってやれ」


「…へ?……あ、へい!し、承知!」



 審配を背に隠す様に立っていた周倉は厳顔に名指しで指示され、慌てた様に廖化に肩を貸して屋敷の中へ消えていった。


 この場に残ったのは厳顔と審配。


 二人の間を沈黙と静寂が僅かに支配したものの、



「厳顔殿。此度は其方をお陰で命を拾う事と相なった。礼を言う」



 審配がソレを破り厳顔に頭を下げた。



「いやいや、成り行き上でそうなっただけの事。礼には及ばぬ」


「しかし、良かったのか?其れがしは韓忠殿の敵だったのだが」



 審配の言葉に厳顔は空に目を向け、徳利を一口煽り、



「…思う所はある。だが、勝敗は戦の常。怨み辛みは酒と共に飲み干すしかあるまい」



 一口酒を飲んでから心中を吐露した。



「…左様か」


「…審配殿。何を考えておるかは知らぬが、折角拾った命だ。悪戯に捨てる様な真似はするでないぞ」


「その言、然と」


「うむ。ならば話はこれまで。

 ささ、審配殿。屋敷へ参ろうか。折角の茶が冷めてしまったら勿体ないというもの」



 話を終わらせた厳顔が審配を屋敷へ入る様に促す。



「では、お言葉に甘えさせて頂く」



 厳顔に促されるまま一歩を踏み出した審配。



(ここで果てるものだと思っていたのだがな…。

 はてさて、この拾った命はどう使うべきなのだろうか?

 君命を受けたからには韓忠殿の家族の安全を第一に考え益州に留まるべきか、それとも一度殿の元へ戻るべきか…)



 そんな事を考えながら厳顔の屋敷へ足を踏み入れる。



「審配殿は茶よりも酒の方が宜しかったかな?」



 先導するように前を歩いていた厳顔が視線を審配に向け、手に持っていた徳利を掲げた。



「其れがしは君命を受けてここにいる。その命を果たすまで酒を口にするつもりは――「かぁ~!固い!固いぞ審配殿!」――ぬおおっ!?」



 酒の誘いを断ろうとした審配だったが、突如厳顔が詰め寄った為に困惑した。


 ふわりと酒の甘い香りが鼻腔をくすぐる。



「まったく、なんと固い!ここは戦場ではないぞ?もっとこう、心にゆとりを持たんとだなぁ――」


「よ、酔っておるのか厳顔殿…?」



 突然絡み出した厳顔に若干引きつつ、酒の香りを漂わせる彼女に当然の疑問を投げ掛けたのだが、



「はっはっは!!この厳顔、この程度の酒に呑まれるほど弱くはないぞ?

 審配殿、酒は心の供!そう凝り固まっていては人生を楽しめぬぞ?ささ!」



 カラカラと笑い、審配の腕を引いてズンズンと歩いていく厳顔。



(呑まれてはおらぬ様だが、それは酔っていない訳では無いぞ厳顔殿…)



 酔っ払いの常套句の様な言い訳を並べ立てて腕を引く厳顔に顔を顰める審配であった。


審配さんメインのお話はあと2~3話で終わります。


ここまで引っ張る必要はなかったかなーと思う所はありますが、益州でのお話はこの先のストーリーの展開上どうしても外せない要素になっているのでご容赦下さい。


次回の投稿予定も未定です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 黄って血統が朱家よりも格上で衣冠も上なのかとこれ関連見た疑問が… 逆賊の奥さんが三傑とまで云われた将軍格の配下をここまで出来るのか?周倉もですが雑兵相手じゃないのに… 審配って普通に正規の任…
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