5話 LV30 ゴーレム
この物語は、フィクションであり、実在する人物・団体とは関係ありません。
□□□□□ 5話「LV30 ゴーレム」 □□□□□
「カズサ、お楽しみのところ悪いんだけど、敵が現れた」
俺は、馬車の中に向かって叫ぶ。
ゴーレムが4体か。
女剣士が馬車を止める。
馬車からカズサと令嬢が出てくる。
「カズサは、ナタクでゴーレムを早く潰していってくれ」
「わかった」
「俺が2体をひきつける。
女剣士さんは残り1体から逃げ回って生き延びていてくれ」
「了解した」
ゴーレムが近づいてくる。
(LV30 土のゴーレム HP300/300)×4
LV30 ゴーレム使い HP300/300
ゴーレム使いはどこかに隠れているのか姿が見えない。
ナタクが前に出て1体と格闘戦を始める。
ゴーレムは防御力が高いため
ナタクの攻撃力でも時間がかかりそうだ。
2体のゴーレムが俺に攻撃をしてくる。
俺は、魔剣の新しい使い方でゴーレムの攻撃を回避する。
念じれば自在に動く剣を、攻撃ではなく回避の移動にも使い、
空中も腕の筋力がもつ間なら移動できる。
ゴーレム2体の遅い攻撃を俺は高速に動けるようになったので軽々と避ける。
俺も攻撃をしかける。
2体相手に同時に攻撃を当てる。
あまり効いてない。
俺の魔剣の切れ味が良すぎて、
切るそばから、くっついてバラバラにできない。
土のゴーレムだからなのか?
魔力と粘土状の体が切ってもすぐにくっついてしまう。
「相性悪すぎー」
そんな愚痴をこぼしている間に、ナタクは1体目のゴーレムを破壊した。
やるな、ナタク。
ナタクは、苦戦している女剣士へ加勢に移動する。
カズサが女優先で助けるのはわかりやすい。
俺は、埒が明かないゴーレムとの戦いをやめて、
このゴーレム達の使い手を直接攻撃できないかとあたりを探す。
見つけたっ!
ゴーレム使いがいた。
茂みに隠れてカズサへ、ボウガンを向けている。
敵も同じ事を考えていた?!
「カズサッ危ない!」
敵のボウガンの矢がカズサに当たる。
カズサは、胸に矢を受け、黒く美しい髪が跳ねて倒れた。
俺は、魔剣を敵のゴーレム使いに向け突く。
刃が伸びて敵の心臓を貫いた。
『レベルアップ LV6になりました』
『ドロップアイテム 3銀貨』
すぐにカズサに近づき、頭を起こし背中を支える。
「私、もうダメかも……」
「あきらめるな。敵のゴーレム使いも倒した。みんな無事だ」
「そう……、良かった……」
ガクッ。
ボウガンに毒が塗られていたのか、カズサのHPは減っていき
ゼロになった。
令嬢と女剣士もカズサに近づく。
令嬢は、信じられないといった顔をしている。
「亡くなられたんですか?」
女剣士が聞く。
「毒にやられた。まだ助かる可能性はある」
俺は、カズサの胸に刺さった矢を引き抜く。
メグがいつのまにかカズサに近づいて、うんうんうなづいた。
そして鎌を振るった。
カズサの顔の血色がよくなり、
支えていたカズサの背中に温かみが戻った。
カズサが声を出す。
「やあ、メグのおかげで死なずにすんだようだ」
生き返ったのを確認すると、令嬢がカズサに抱きついてきた。
「カズサさま……」
俺は、カズサを令嬢に任せ、
メグに手の平を向けて感謝の意を表し、
敵のゴーレム使いの事を考える。
敵のゴーレム使いを殺してしまった。
善人である確率は低い。
暗殺者だったのだろうか。
生き返らせても、こっちがピンチになってしまうし、
悪いが今回は成仏してくれ。
俺達は馬車に戻り再び街を目指した。
カズサは体力回復してもらって令嬢と馬車の中だ。
前と同じく女剣士と俺とで馬車の前に座る。
女剣士が声をかけてくる。
「すまない、やはり策略だったようだ。
お嬢様が狙いだろう。カズサにも危ない目に合わせてしまった。
生き返ったようにも見えたが何かしたのか?」
俺は、どうごまかそうか考える。
「えーと、愛の奇跡のチカラで生き返ったのだと思う」
「(真顔で)へー」
やっぱり信じて貰えない。
「詳しくは言えないが俺達には不思議なチカラが味方してくれている」
「やっぱり……、いろいろおかしな行動や言動してたからな」
言っても信じてもらえないだろうし、
チカラを過信されやっかい事にまきこまれても困るので、
詳細は濁しておいた。
その後は、女剣士と他愛もない雑談をして過ごした。
戦闘もなく無事に目的の大きな街へと到着した。