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3話 LV99 ナタク



この物語は、フィクションであり、実在する人物・団体とは関係ありません。



□□□□□ 3話「LV99 ナタク」 □□□□□


 子熊の可愛さはなごりおしいが、

雑貨屋のおばちゃん達と別れをすませた。

 

□□



□□ 辺境の城 □□


 所持金が心もとない俺は、雑貨屋のおばちゃんのすすめで

次の仕事を探して辺境の城へ来ていた。


 城の衛兵へ挨拶する。

「こんにちはー」


 衛兵は、俺の服や様子を見て判断する。

「冒険者か、何か用か?」


「仕事を探していて、何か困り事や魔物退治の仕事ないですか?」


「ちょうど腕のたつ者が必要ではあったが……」


 メグが何かを感じとったのか話してくる。

「何か大きなものが空から来るですー」


 衛兵と話していると、遠くの空から、何かに乗った女が近づいてくる。

 

 女が乗っているものは、人型の大きなロボットだ。

あの形や色使いは、見た感じがある。

リアル系のロボットではなくスーパー系のロボットのようだ。


 ロボットは向きを変え足から降りてくる。

 

 ロボットの肩に乗っている美女に見覚えがあった。

あの顔は、転移前の高校のクラスメートだ。

名前は、篠部しのべ かずさ。

俺が片思いでずっと声をかけられなかった美少女だった。

今では俺と同じ22歳くらいになり、少し大人になって美女になっている。


 髪型は昔と同じロングの黒髪をたなびかせ、

服装は俺と同じ感じだ。下着はふんどしではないだろうけど。


 美女は、ロボットの手に乗り、降ろしてもらっている。


 衛兵が怪しんで声をかける。

「怪しいやつ、止まれ!!」


 俺は、衛兵より前に出て美女に声をかける。

「カズサじゃないか? 俺、覚えてる? 同じ高校のクラスメートだった」


「いきなり呼び捨て? ツバサ シロー、覚えているわ」


「あ、悪い。つい昔のクラスメートに会った感じで話しちゃった」


「かまわない、この世界では姓の名前は聞いたことがない。

カズサで呼んでくれてかまわないよ」


「じゃあ、俺もシローって呼んでくれ」


 衛兵が話しかける。

「おまえ達、知り合いだったのか。ならよい。

ちょっと頼みたい事がある」


 俺は、カズサに話しかける。

「いいの? 何か用があったんじゃ?」


「私も仕事が欲しくて来た。何かを討伐する仕事がないだろうか」


「ちょうど良い。おまえ達に頼みたい事は、山賊退治だ。

城主の娘がさらわれて身代金を要求してきた。

山賊を倒して、城主の娘を救出してきてくれ」


 俺は、すぐに返事をした。

「わかった。悪い奴らをやっつけて、娘さんを救出してくるぜ!」


「待って、こういうのは前もって報酬を決めておくものよ。

後でだと足元見られて安くなるわよ」


「ふむ、報酬は、200銅貨か2銀貨を約束しよう。

娘を無事に救出できたらさらに倍、出そう」


「いいわ、決まりね」


 俺達は山賊のだいたいの場所を聞き、山賊退治と娘救出へ向かう。

 

「カズサ、よろしくな」


「よろしく、シロー」


 俺達が仲間になると、脳裏にカズサとロボットのステータスが現れる。

 

 LV3 冒険者    HP 30/ 30

 LV3 ゴーレム使い HP 30/ 30

 LV99 ナタク   HP990/990

 

「カズサもまだレベル3か、俺もだ。

ロボットの名前はナタクって言うのか」


「シローもまだレベル3なのね。貴方は、神様からその武器を貰ったの?」


「そうだ。蛇腹剣って言って伸縮自在で思い通りに動く。

魔剣アルトリアと名付けた」


「シローもだいぶ中二病入っているわね。

昔からオタクのように見えたけど、

私もオタクだったのよ。知ってた?」


「えー、そうだったのか。仲良くなれたかもしれなかったんだなー」


「私は、格闘や自分で戦う自信が無かったから自動で戦うゴーレムを

貰ったわ。デザインは私がやって神様に作ってもらったの」


 カズサはどこかウットリした表情で言った。


「シローも乗せていってあげる」


「ナタク、シローを肩へ」


 俺達は、ナタクの肩に乗り衛兵に教えられた場所へと向かった。


 メグが声をかける。

「シロー、私はどうすれば?」


「ゆっくりついてきてくれー」


 カズサが不思議に思って聞いてくる。

「何を言っているの?」


「衛兵に大船に乗ったつもりで待っていてくれーって意味で」


「ふーん、そう……」


「シロー、酷いですー、おいていかないでですー!」


□□



□□ 山の上 上空 □□


 俺達は、ナタクの肩に乗り空を飛んでいる。

 

 カズサの横顔を見る。

やはり、かなりの美人だ。

学校でも好みはあるだろうが1番人気だったと思う。


「どうしたの? じっと見て」


「いやー、綺麗になったなーと」


「褒めても何も出ないわよ。シローは変わったわね。

昔は、目が合うとすぐに目をそらして知らないふりをしていたのに」


「一度死んでふっきれたのかなー、よくわからない」

 今ならわかる。

俺がカズサを好きだったのは、完全に見かけからだった事が。


「へー、そう……。あっ、ついたみたい。

山賊が5人ね。上空から来られて隠れる暇もなかったみたい」


「戦闘態勢に入ったからなのか? 相手のステータスもわかった。

LV7山賊が5人か」


 俺達は地上へ降り、ナタクが前に出て戦闘を仕掛ける。

 

 最初に襲い掛かってきた3人を、ナタクが蹴り、殴りの

3発であっけなく山賊は死んだ。


 呆然としている残り2人をそれぞれロケットパンチで倒す。

あっという間に山賊は全滅した。


「俺の出る幕ねー」


 トゥルルトゥルー!

 『レベルアップ LV4になりました』


 『ドロップアイテム 50銅貨』


 俺達は、共にレベルアップしてレベル4になった。

 

「パーティー組んでいると経験値が分配されるんだ」


「良いことばかりじゃないわよ。

普段は私とナタクで貰える経験値が半分になるからね」


「なるほどー」


 俺達は、さらわれた娘を探す。

 

 カズサが見つけて声を出す。

「いたわっ、酷い、シローはこっちこないで外で待っていて」


「わかった」


 俺は、カズサに言われるまま山賊の小屋の外でしばらく待つ。

 

 なかなか出てこないので、しびれを切らして小屋の戸を開けてみる。

 

 ベッドの毛布が動き、何やら甘い声がする。

 

「何やっているんだよ、カズサ!」


 毛布から顔を出したカズサと娘が裸で抱き合っている。

 

「お姉さま……」

 さらわれた娘だろうか、カズサに寄り添って見つめている。

 

「レイプされたみたいだから慰めてあげていたの」


「慰めてたってそれは、レズじゃないのか?」


「そうよ。私はレズだったの。知らなかった?」


 そういえば、高校の頃、可愛い女子とばかり仲が良かった気がするが、

そういう事だったのか。


「知らなかった。俺の純情だった高校時代の思いを返せ!」


「ふふっ、知らないわよ、そんな事」


 カズサはそう言って、娘に軽いキスをした。


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