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ただ君を想うから  作者: 秋茜仁
序章
3/3

2話





「ただいま〜。お父さん、お母さん。」


あれから家へと真っ直ぐに帰ると、日は落ちあたりはすっかり暗くなっていた。


「今日は随分と遅かったじゃないか。何かあったのか?」

「森に行ってきたんだ!だけど気づいたら寝ちゃってたんだ。起きたら外がもう暗くなってきてたから急いで帰ってきたんだ。」

「そうか。森に入るなとは言わんがあまり遅くはなるなよ。流石に父さん達も心配になるからな。」

「ごめんなさい。」

「わかったならいいんだ。」

「うん。あれ?そういえばお母さんは?」

「ん、あぁそういえば言っていなかったな。喜べアル。お前にもうすぐ弟か妹が出来るぞ。」

「え⁉︎」

「アルが遊びに行って少し後にお母さん気分を悪くしてな。」

「気分が治らないから心配になってロウさんに診てもらったんだ。そしたらお母さんのお腹の中にアルの弟か妹がいたのさ!」

「本当⁉︎」

「あぁ、本当だとも。」

「凄い‼︎僕に弟か妹ができるんだね!」

「あぁ。」


 アルの頭の中には「凄い」という言葉しか思い付かないくらい喜びに満ちていた。それは、無意識のうちに小躍りしてしまう程であった。



「アル、これから、お母さんは産まれてくる子のために力を蓄えなければならない。だから、お母さんを手伝って助けてやってくれないか?もちろん、お父さんも手伝うがな。」

「うん!絶対手伝うよ。」

「はは、頼むぞ。あ、お母さんは奥にいるから顔を見してこい。」










緊張というよりは、どうやら怯えているようだ。無理もないかもしれない。会った人に差別を受けてきたのかもしれないのだから。


「俺の名前はアルバ、アルバ=ユーリス。君は?」


「わ、私はリナ、ただのリナ。」


「そっか。よろしく。」


「う、うん。よろしく。」



そう言って握手をする。その時の彼女の手は若干震えていた。やはり怖いのだろうか。



「ね、ねぇ?私が嫌じゃないの?」



やはり、何かを言われてきたのだろうか。悲しげな顔で聞いてきた。



「嫌いじゃないっていうか、会ったばっかりだしわかんないよ。」


「で、でも、今までに会った人はみんな会ってすぐに嫌われたよ?」


「俺は、人種とか、人の評価だとかそういうのは気にしない。先入観にとらわれたっていいことないしね。それに、俺も同じくらいの年齢の人に避けられてるから。」


「そう・・なんだ。ありがとう。でも、やっぱりごめんね。信じれないや。」


「・・ははは。正直なやつだなお前は。初対面のやつに初めて言われたよ。別にいいよ、信じてくれなくても、今」


「なんで?」


「明日も会える?ここにきたら。」


「え、うん。することないから・・・ここにいるけど。」


「なら、明日もここに来るから。また、話せないか?」


「え、いい・・けど。どうして・・・信じられないって言われたのに来るの?」


「村で話せる同い年がいないんだ。それに、面と向かってそういうことが言われて、なんか、仲良くなれそうな気がしたからな。それに、今日はもう日が暮れるから帰らないといけないんだ。親との約束でね。」


「・・・・わかった。私も話す人お父さんとお母さん以外に・・いない、から。」


「そうか。じゃあ、そん時に信じて貰えるように頑張るよ。」


「他の人じゃダメなの?」


「あ〜、その、なんていうか、相性が合わないんだよ、きっと。それに比べたらリナとは喋りやすいしな。だから、かな。」


「何それ。」


そう言って、彼女は微笑む。


「じゃあ、また明日ね。アルバ。」


「ああ、また明日な。リナ。」






そして、俺は、村へと帰っていった。





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