プロローグ
ウェルミヤ人、それは遠い昔において悪魔として恐れられた人種である。彼らは人々をまるで何かの材料と見ているように多くの人々を殺してきた殺してきたからだ。ある時には都市の住民を皆殺しにし、またある時には残虐の限りを尽くして人々を嬲り殺しにしたという。これらを含めてウェルミヤの悪夢と呼ばれている。また、その際にウェルミヤ人が不思議な現象を起こしている。故にウェルミヤ人のことを魔女だと言う人もいる。彼らは、人を使った黒魔術を使っているのではないかとも言われている。
しかし、およそ400年前に討伐隊が編成されウェルミヤ人の討伐が行われた。討伐隊は多大なる被害を被ったが多くのウェルミヤ人を打ち倒し戦いに勝利した。
その討伐から生き延びたウェルミヤ人は世界各地へと散らばっていった。そのため、現在でもウェルミヤ人は世界各地で発見されている。今となっては討伐する対象にはならなかったものの嫌われた人種として扱われている。
また、彼らは薄紫色の髪を持ち、家名が無いことが特徴であった。
ーグランデール王国のとある農村部ー
「だからね、アル。ウェルミヤ人を見たら近寄ってはいけないの。彼らは何をしてくるかわからないからね。わかった?」
「でもお母さん、その人達は今でもひどいことをしているの?」
「酷いことをしているって聞かないかも知れないけれどね、そうやって油断していると攫われて、酷いことをしてくるのよ。だから近づいちゃダメよ。いいわね?」
「はぁ〜い。」
「それじゃあ、もう遅いから寝ましょうか。」
「うん。お休みなさいお母さん。」
「はい。お休みなさい。」
農民の朝は早く、水を汲んだり薪を作ったりしなければならない。農民にとって子供は重要な労働力であるため親の手伝いをするのは当たり前であった。
「おはよう、お母さん。」
「おはよう、アル。今お父さんが井戸に水を汲みに行っているから手伝ってきてくれる?」
「うん、わかった。」
まだ、頭がぼんやりとした状態で父親のいる井戸へと向かう。
「おはよう、お父さん。」
「お、アルか。おはよう。どうしたんだ?」
「お母さんにお父さんを手伝ってて言われたんだ。何をすればいい?」
「そうだなぁ、そこにおいてある小さな桶をお母さんのところに持っていってくれるか?アルにはまだ大きいのは早いからな。」
父親がはっはっはと笑いながら言う。
「僕だってもうちょっと大きくなれば運べるようになるもん。」
どこか拗ねたようにアルは言う。
「ははっ。そうだな、アルが大きくなればすぐにでも運べるようになるぞ。その時は頼むな。」
「うん!すぐにお父さんよりも大きくなって楽させてあげるからね!」
「お、嬉しいこと言ってくれるじゃないか。お父さんその時を楽しみにしとくよ。」
「うん。待っててね。」
農家といえども子供が出来ることはそう多くはない。そのため、子供には自由な時間、すなわち遊べる時間が必ず存在してくるのだ。
そして、今まさにアルは自由な時間を貰ったのだ。アルはこの時間は殆ど近所の友達と遊ぶのだが、自由な時間は皆同じではないため都合が合わない時があるのだ。そして、今日はその都合が合わない日だった。
こういう日は偶に起こることなのでアルは特に気にしていなかった。
「う〜ん。お母さんや大人達は皆ウェルミヤ人には気をつけろって言うけど、僕は会ってみたいなぁ〜。」
10歳であるアルはそれ相応の好奇心を持っていた。皆が反対するからこそ気になってしまう年頃なのだ。
こんな独り言を言いながら先に小さな山が見える何の舗装もされていない道を歩いていく。
アルは自然が好きだった。特に木に囲まれた緑ある空間が特に好きだった。そのため、1人になると良くこの山へと訪れるのだ。
この山は小さいためか大きな獣もおらず、兎などの小さな動物などがいるだけであった。
そのため、大人達はあまりアルに注意しなかった。流石にこの小さな山の先にある大きな山に対しては凄く注意をしてくるのだが。
「お、あった、あった。」
山に着き向かう先は雷か何かによって木が倒され、真ん中に切株のようなものが存在していて、周りが木で囲まれたアルのお気に入りの空間だった。
アルはいつもここにきてはぼーっとして周りを眺めるのが楽しみだった。
「今日は風が気持ちいいな〜。・・・・あ、ヤバイ、眠くなってきた。」
今日は、日差しもよく涼しい風が吹いているため時間が経つにつれアルに眠気が襲った。抵抗しようとするが勝てる訳もなくそのまま座って眠ってしまうのだった。
「あ・・・・だ・・・・・・・ぶ。」
暫くすると、眠っていたアルに誰かの声が微かに聞こえてきた。
「あの・・・だい・・・・・うぶ。」
幼い声が次第にはっきりと聞こえてくる。
「うっ・・・ん?」
アルが薄っすらと目を開けると、微かにハードを被った人が見えてくる。
「あの、大丈夫?」
「えっ?」
そこで急速にアルの意識が覚醒し、ガバッと下がっていた頭を上げる。
「ひゃっ⁉︎」
急に頭が上がったのにびっくりしたのか変な声をあげながら尻餅をつきながら倒れ、その拍子に被っていたフードがめくれる。
そこには、肩にかかるぐらいの紫色の髪を持った自分と同じくらいの女の子がいた。
書き直している最中のため只今前後で話が合わなくなっています。暫くお待ちください