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見習い派遣社員になる


「まぁお座り。」

そう言って僕に椅子を勧めながら元ギルマスは、僕の来訪の目的を知っているかのように手を出した。

相変わらず言葉足らずな人だ。

僕はこの雰囲気を懐かしく思いながら書類を取り出した。

「これが職安からの紹介状です。」

僕が元ギルマスに手紙を渡していると、

「お茶です。」

そう言ってその人はまったく気配を感じさせる事なく、僕の背後からお茶を差し出した。

見習いとはいえ元暗殺者の背後を意図もあっさりと・・・

「7号、そんなおっかない顔をするな、キャサリンちゃんもあんまり新人を虐めちゃいかん。」

元ギルマスの言葉を受けて動けなくなってる僕の緊張を取り除く様にその人は僕に挨拶をしてきた。

「失礼しました。受付兼事務員のキャサリンと申します、よろしく。」


僕はただ頷く事しか出来なかった。


そんな風に僕が固まっていると、元ギルマスが呆れた様な声で聞いてきた。

「さてさて7号よ、お前さん職安の名前の欄が7号になっとるがそのまんまその番号を名前として使っておるのか?」

「使ってますよ。暗殺者ギルドの見習いは一人前になって初めて名前を貰えるんですから。」

僕が何を当たり前の事を聞いて来るんだと呆れていると、

「呆れているのはこっちの方じゃバカタレ、暗殺者が目立ってどうする、何より暗殺者ギルドはもう存在せん。適当に自分で付けんかい、その程度の融通も利かせられないからお前さんは半人前のままだったんじゃ。」

糞爺~掟は絶対とか言ってた癖に、僕は切れそうになる心を殺して元ギルマスに訪ねた。

「教えて頂きたい事が在ります。」

「ふん、何じゃな。」

「こちらの冒険者ギルドの仕事についてです。職安からはこちらで話を聞くようにと言われて来ました。」

「仕事内容か、まぁざっくり言うと何でも屋じゃな。」

「ざっくりじゃなくしっかりお願いします。」

「はぁ~面倒な奴じゃ、仕事としてはどぶ掃除から街道警備や魔物の駆除までお客様のご要望にお答えする、まぁこんな所じゃ。」

「しかし今言った仕事って通常騎士や兵士の業務じゃないですか?」

「騎士も兵士も人手不足じゃ。」

「はぁ?失礼ながら戦争も終わりましたし人手不足って事は無いかと、」

「認識不足も甚だしいバカタレが、戦争は一応和平と云うことになっとるが実際は降伏じゃ、その結果国は多額の損害賠償と軍縮を迫られた。騎士や兵士のリストラや暗殺者ギルドの解散とかじゃ。お前さんもリストラされたんじゃよ。」

・・・身に覚えがありすぎる。

「例えばキャサリンちゃんは元近衛騎士じゃ、王女様付のな。」

「ウゥゥ~姫様~」

「あのキャサリンさんが事務机に伏せて泣いてますけど?」

「キャサリンちゃんの心の傷はまだ塞がっとらんからの。」

・・・そんな人間を例えに使うな糞爺

「挙げ句の果てに王女様は留学と言う名の人質生活じゃ。」

「ウヮァ~姫様~私にもう少し力が~」

「何かギャン泣きしてますけど」

「ほっとけばその内収まるじゃろ。」

「まぁそんな訳で人手が足らん、何よりリストラされた奴等が山賊やら解放軍やら訳分からん者に化ける前に仕事に付かせて落ちつかせようと云う訳じゃ。」

国は僕らを見捨ててはいなかったんだ!

僕は感動しながら聞いて見た。

「詰まり実際の所名前を変えた公務員ですか!」

「違うぞ、契約書見てみ。」

僕は職安で貰った書類を見直した。


そこには契約社員の文字が・・・

「騎士や兵士には、怪我や死亡した場合、保証があるが、冒険者には無い。まっそう言う事じゃ 。」


こうして僕は契約社員になった。







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