旅の始まり-1
転送され意識が戻ってきて、最初に目に飛び込んできた光景は宇宙戦艦の艦橋の様な場所であった。
「やれやれ・・・与えられた物は、予想の遥か斜め上をいく代物っぽいな?」
周囲を一通り見て口を吐いてでた感想がこれだった。
「えぇっと?・・・ここって・・・何処?」
背後から、相方の声が聞こえてくる。が、そちらに向き直る事をせずに
「予想ですまないんだが、陸上戦闘艦の主艦橋じゃないかと思う。」
との予想を相方へと告げると、彼女は背後に居てもわかる位に盛大な溜め息を吐いていた。
「気分は判るが、向こうでの名前をコッチで使えばどうなるか分かったものじゃぁないから、お互いのキャラネームと職業を名乗り合わないか?」
そう言いながら、俺は背後へと向き直る。
相方である彼女の姿は・・・
女性看護士が着る看護服をメタリック素材でつくり、かつ長袖にした上着と、メタリック素材のパンツスーツにブーツを着用した、ダークブルーの髪色をした膝程まであるロングヘアーで、身長は145㎝に満たない程小柄。
スタイルはモデルをやっていると言われても納得してしまう程。もう少し言えば、彼女のスタイルは俺にとって目の毒といって差し支えない程で、恐らく人目に付く場所であれば、ナンパ紛いの勧誘が殺到する事は間違いないだろう。
「先ずは、俺からかな?コッチでの名前は「ジン」。職業はハンター。姿で替えたのは目と髪色で後は弄っていない。種族はヒューム。」
「私だね?名前は「ヒカル」職業はメディックにしたんだ!替えたのは髪色のみで身長は弄りたかったんだけど、余りにも現実と違うとゲーム内で支障が出るって聞いてたからそのままにしちゃった。」
こちらでの名前と職業を告げれば、つづけて相方となった彼女も名前と職業を言葉と共に笑みを浮かべて告げてくる。
その笑みは、間違いなくその気がない野郎であってもその気になる程魅力的なものである。
「まぁ、コッチでは「ジン」と呼び捨てにしてくれて構わない。代わりといってはなんだけど、「ヒカル」と呼び捨てにさせて貰うが構わないか?」
俺がそう提案すると、ヒカルは即座に頷き返してくる。どうやら、表情を見ると呼び捨てにされるのも呼び捨てに出来るのも嬉しいらしく、喜びの笑みが美少女と呼んで差し支えない顔に華を添えていた。
男女関係なく魅了されるのは確実だろう。
「取り敢えず、現状の把握から行こうか?この艦橋的な場所が本当にブリッジなのかそれとも違うのか?そして、これが本当に俺達の物であるのか?その把握から始めよう!」
俺は、そうヒカルに告げて今まで立っていた場所から歩き出す。
艦橋の様な場所であるから、目前のコンソール群に、俺達が欲しい情報があるのは間違いないだろう。