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いつか会える日まで
僕は目が覚めた。
頭をおこすと、
誰もいない草原に椅子が置いてある。
僕は目を覚ましたが、
まだ夢をみている気持ちだった。
妻理恵子が死んで、
2人の思い出のこの美唄に
大切な椅子を持ってきたのだ。
2人で出かける時は、
いつも僕がランチを作った。
僕たちは子どもがいなかったので、
いつの間にか、親子づれが出かけない
場所を選ぶようになった。
地元のハイジ牧場に行ったとき、
どちらからともなく
『もう、親子づれがくるところは
来るのはやめようね』と言ったのだ。
あそこは沢山の催しがあって、
とても楽しそうに見えたのに、
子どもがいない僕らには、
子どもが笑うたびに胸が裂ける
思いがした。
理恵子が死んで一年が経つ。
僕は彼女と話がしたくて、
僕らの最初の遠出のデートだった
美唄に来たのだった。
彼女の乳がんが判明したのは、
彼女と別居して半年後のことだった。