父親の感慨
息子の卒業式の日、俺は少し感慨深い気持ちになっていた。あいつももう中学を卒業か。ついこの間まで小さかったのに、時が経つのは本当に早いもんだ。大きくなった背中を見るたびに、少し誇らしく思う。今日はその節目の日だし、せっかくだから一緒にアルバムを見てやろうと、息子に声をかけた。
「お前の卒業アルバム、どんな感じだ?ちょっと見せてくれよ」
息子はなんとなく表情を曇らせながら、アルバムを俺に差し出してきた。なんだ、そんなに緊張することでもないのにと思いながら、ページをめくっていく。クラスの集合写真や日常の写真、行事の様子なんかがぎっしり詰まっている。どの写真も、彼の成長が感じられて、俺は自然と笑みがこぼれた。
しかし、ふとページを進めていくと、ある一枚の写真で手が止まった。そこには、風呂上がりの息子が、真っ白なブリーフ姿で写っている写真が掲載されていたのだ。俺は一瞬驚いたが、すぐにクスッと笑ってしまった。
「おい、こりゃまた大胆な写真が載ってるじゃないか」と、笑いを含んだ声で息子に声をかけた。
息子は明らかに顔を赤くして、視線を逸らしている。彼がこんなに恥ずかしがっているのを見るのは珍しい。何をそんなに気にしているのかと不思議に思ったが、すぐに気がついた。そうか、今の子たちはもうブリーフなんて穿かないんだな。昔とは違うのか。写真に一緒に写っている子は紺色のトランクスだった。
俺自身もずっとブリーフを穿いてきていたし、正直何もおかしいとは思わない。むしろ、しっかりしていていいじゃないかと思うくらいだ。俺が育った時代ではブリーフは当たり前で、今でもその快適さには絶対の信頼を置いている。息子も俺と同じ考えで、何も気にせずにブリーフを穿いているんだろうと思っていたんだが、どうやら違ったらしい。
「お前、なに、これが恥ずかしいのか?」俺は真顔で聞いてみた。
息子は少し言葉を詰まらせながら、「いや、別に…」と、ぼそっと返事をしたが、明らかに動揺しているのが見て取れた。
「まあ、気にすることはないさ。しっかりしてて快適だし、悪いことなんて何もないだろ」と、俺は励ますように言った。
息子は目を丸くして俺の顔を見つめた。まるで「何言ってんだ、この親父…」って顔をしているが、俺は続けて言った。
「考えてみろよ。ブリーフはしっかり体にフィットして動きやすいし、サポート力が抜群だ。俺はずっとそれでやってきたし、何も問題ないぞ」
息子はまだうつむいたままだが、どこかホッとしたような気配が見えた。俺は続けてページをめくりながら、「それに、そんなの大人になったら誰も気にしないさ」と笑って肩を叩いた。
「お前はお前のままでいいんだ。恥ずかしがる必要なんてない。自信を持っていけよ」
息子は照れ臭そうにしながらも、少しだけ笑顔を見せてくれた。それを見て、俺もホッとした。今はまだ気にするかもしれないが、いずれはこんなこと、どうでもよくなる日が来るだろう。その時には、きっとこの卒業アルバムの写真も、笑い話に変わるに違いない。
俺は、息子がこれからも自分らしく歩んでいくことを願いながら、ゆっくりとアルバムを閉じた。




