第四話 闇バイトの沼
明かりを落とした自室で、果鈴はボイスレコーダーを飽きもせずに再生して慎一の告白を聞いていた。
まだ公に公開される前の慎一による、最後の証言。
『これはさあ、言うなって言われてることなんだけどさあ、どうしようかな、言っちゃおうかなあ』
舌っ足らずの、酔いに任せた慎一の言葉が続く。
『言うなって言われるとさあ、言いたくなるのが人間ってやつだろ?』
にやにやと下品に嗤う慎一の顔を思い出し、不快になった果鈴は眉をしかめる。
『偽物なんだよ、うち。
神原家なんて存在しない、赤の他人の集まりだ。
誰かに言いたくて言いたくてうずうずしてたんだ。
あーあ、言っちゃった。
誰にも言うなよ、なあ、早く服脱げって』
慎一がそう言ったきり、ボイスレコーダーはぷつりと沈黙した。
これで慎一の暴露は終わりだ。
明日は、神原富久の化けの皮を剥がしにある場所へ向かうことになっている。
うまく行くだろうか、と不安が先行する。
レースのカーテンからわずかに差す月明かりを眺めながら、果鈴は緊張とやりきれなさが綯い交ぜになり、なかなか眠りに就くことができない。
元々、両親を失ったあの日から、安眠とは無縁になっていた。
いつかなんの煩いもなくぐっすりと眠ることができる日は訪れるのだろうか。
そんな日がくることを願って、果鈴は無理やり目を閉じた。
☆☆☆
果鈴と夏美は、神原富久が議員になるまで支店長をしていた銀行を訪れていた。
直談判の結果、ふたりは奥の応接室へと通された。
富久の部下にあたり、現在の支店長を勤める新田という男性が果鈴たちの向かいのソファに座り困惑しきりの表情を隠しもせずに口を開いた。
「週刊誌の記者さんですか……。
私どもになんの御用でしょう?」
慇懃な調子で新田が探りを入れてくる。
「前支店長の神原富久さんについて、お話をお聞かせいただければと思っております」
「神原さんの、ですか……」
夏美がボイスレコーダーのスイッチを押してテーブルの上に置く。
「新田さん、あなたは神原さんの家族が偽物であると知っていましたよね?」
夏美は前置きもそこそこにいきなり切り込む。
新田はばつの悪い表情になる。
「……まあ、神原さんがご結婚されていないことは知っていましたよ。
選挙のときご家族がいきなり出てきたから、おや、とは思いましたけど」
「そのことを、どうして黙っていたのですか?」
「どうしてって……」
「神原さんは嘘を重ねていました。
家族として選挙応援に担ぎ出されたのが、偽物の家族だとわかっていた。
どこで、彼らが出会ったかは、あなたの知る由もないことでしょうが……。
ともかく、神原富久さんには議員になる資格はない、そうは思いませんか?」
「資格、ねえ」
新田は考え込むように顎に手を添えて思案する。
「議員なんて、誰がなったって、一緒じゃないですか」
「……は?」
果鈴と夏美の声が重なる。
「この国の腐った政治を、本質的に変えられる人間なんていませんよ。
だったら神原さんが議員になったって問題はないんじゃありませんか」
新田の言葉に唖然としていると、ふたりのもとに来客をもてなす飲み物が届く前に、新田が立ち上がった。
「お話はもういいですね、私はこれで失礼させたいただきます、忙しいので」
新田が応接室のドアを開けると、トレイにふたつの湯呑みを載せた女性と鉢合わせになり、焦ったように女性が頭を下げ身体を引いた。
「お出しする必要はない。
もうお帰りになるそうだ」
新田は女性にそう声をかけると下がるように目で促した。
女性は手に持った行き場のないトレイを持ったまま応接室に入ることなく姿を消した。
新田が振り向くことはなかった。
☆☆☆
「無関心、だったわね」
銀行をあとにした夏美が昼食のために入ったファストフード店でため息混じりに言った。
「うん。
あんまり有益な情報はなかったね」
ポテトをつまみながら果鈴が失望を隠せない口調で言う。
「あんまりっていうか、全く収穫なしだったわ」
つまらなそうに夏美がテーブルの上のボイスレコーダーをネイルが施された指先でつつく。
「他人に興味がないのね、上司にも政治にも。
これが今の日本なんだわ」
夏美は他人の不正を暴き立てる記者の立場として、複雑そうだった。
「これからどうするの?」
「どうする、ねえ。
取り敢えず今までに揃えた材料で記事を書くわ。
神原家の真実は希実子の証言で立証できる。
神原富久は窮地に陥ることは間違いない。
ここからはスピード勝負、畳み掛けていくわよ」
「……でも、まだ1番大事なことが残ってる」
「わかってる。
追い詰められれば富久がボロを出すかもしれない。
富久が犯した罪の立証は、諦めずに証拠を探すことにしましょう」
果鈴は浮かない表情でうなずくでもうつむくでもなく、ただ遠くを見つめていた。
希実子のインタビューは、『週刊真相』の目玉記事として掲載されるという。
神原家が赤の他人であること、希実子が富久以外の男と婚姻関係にあること、闇バイトに手を染めていたことなどを、情報過多さに辟易しながら夏美は記事の執筆に追われていた。
「──きたっ」
自室のベッドで寝転びながらスマホをいじっていた果鈴は、思わず起き上がった。
「『早乙女案件再び』……」
果鈴は画面を見てつぶやく。
果鈴は、スマホに届いた『仕事』の内容に視線を走らせる。
3年前に起きた早乙女邸強盗殺人事件は、未だ犯人が捕まっておらず、資産を根こそぎ奪うことに成功していることで、闇バイトにおける成功例として神格化されていた。
第2、第3の早乙女邸強盗殺人事件に参加し、一攫千金を夢見て強盗事件に関わるならず者も少なくない。
少し前、SNSで『早乙女案件』という言葉を発見し、詳しく内容を読んでみたところ、早乙女邸の事件の再来、つまり資産家に強盗に入る『実行役』を募集しているということだった。
さらに3年前の早乙女邸の事件に関わった人物がいるから、成功率が高いと謳われていたのだ。
──早乙女邸を襲った実行役と会うことができる。
果鈴はその可能性に気づき半ば賭けのつもりで「犯罪に手を染めてもかまわない」と添えてその闇バイトへ応募していたのだ。
話はトントン拍子に進んだ。
最近メディアでも盛んに取り上げられているような手口そのままに、指示役から秘匿性の高いアプリをインストールされられ、まず、個人情報を登録しろといわれた。
果鈴が学生証を撮影して送信すると、仕事の内容を記したメッセージが送られてきた。
──これでもう、後戻りはできない。
果鈴が参加することになった『仕事』は、世田谷にある『清水邸』への強盗計画だった。
清水某という老人が独りで暮らす邸宅で、夜間に押し入り、現金や金目の物を奪うというなんとも荒っぽい手口だった。
金目の物の在り処を吐かせるためなら老人に暴行することも躊躇うな、そう指示を受けた。
果鈴は目を閉じ、あの日、両親を失ったあの日の光景を思い出す。
自分だって、あの夜、あの場所にいた当事者だ。
未経験の者より強盗の立ちふるまい方は知っている。
目出し帽と体型がわからないようにするためオーバーサイズの上着を用意した。
本当に強盗に参加するつもりはない。
ただ、早乙女邸襲撃事件の当事者に会いたいだけだ。
しかし、その前に怪しまれても困るので、準備は念入りにした。
それらをかばんに詰め、果鈴は待ち合わせの場所に向かうためそっと足音を忍ばせて部屋を出た。
決行日は今夜。
緊張の面持ちで玄関まで荷物を引きずっていくと、突然玄関の明かりが点いて、びくりと肩を震わせる。
壁に背をもたれながら、腕を組んだ夏美が待ち構えるように立っていた。
「……び、びっくりした、夏美ちゃん……。
驚かさないでよ」
夏美は部屋着には着替えておらず、メイクもそのままだった。
「驚いたのは、こっちよ。
復讐のためとはいえ、まさか闇バイトに手を出すとは思わなかったわ」
「な、なんで私が闇バイトに応募したって……」
「わかるわよ、記者の観察眼を舐めないで。
最近の果鈴の思い詰めた表情、スマホを気にする仕草、危険を犯そうとしている緊張感、なにかよからぬことを考えていることは容易に想像がつく。
普段はそう呼ぶの禁止にしているけど、あたしは果鈴の『おばちゃん』だからね。
血の繋がった家族として、果鈴のことは理解しているつもり。
だから、あなたをひとりでは行かせられない」
「……でも、もう実行は今夜なの。
個人情報も送っちゃってるし、なによりパパとママを殺した実行役に会えるかもしれないし……」
夏美は手のひらを突き出して果鈴の言葉を制する。
「待った。
誰が行かせないって言った?」
「……え?」
「ひとりでは行かせられないって言ってるの」
「まさか、夏美ちゃん……」
「あたしも一緒に行く。
捕まるならもろともよ」
「いや、でも、夏美ちゃんを巻き込むわけには……」
夏美は、整った美貌をぐいと果鈴に近づける。
「お姉ちゃんを殺されて、あたしが怒らないわけないでしょ。
犯人を絶対に捕まえてみせる。
ね、だから一緒に行かせて」
しばらく逡巡していた果鈴は、やがて項垂れるようにうなずいた。
「決まりね、早速行きましょう」
果鈴は夏美と連れ立ってマンションをあとにした。
月明かりを雲が隠した。
暗澹と垂れ込める闇は、後ろめたい思いを溶かすように深く街を覆っていた。
漆黒のワンボックスカーは果鈴と夏美を乗せて東京都内を疾走していた。
初対面の5人の男女を詰め込んだ車は順調に走行している。
果鈴はニット帽を目深に被り、夏美はサングラスにマスクで素顔を隠すというなんとも不審な出で立ちではあったが、男たちに咎められることはなかった。
もともと誰のことも信用できない世界だ。
用心深くても怪しまれることはないのだろう。
助手席に座る年若い青年が興味津々といった眼差しで運転席の男に話しかけている。
「コバさん、早乙女案件の一員って、本当なんですか?」
コバさんと呼ばれた30代ほどの年齢の男は、運転しながら上機嫌に言った。
「おう、本当だよ。
俺は運転手としてあの事件に関わった。
報酬も弾んでもらったよ」
その受け答えに良心の呵責は一切感じられない。
それどころか、コバは高級車を友人に自慢するようななんとも軽薄な笑みとともに胸を張った。
「じゃあ、殺しには関わってないんですね」
青年はどこかがっかりしたように声のトーンを落とす。
「馬鹿、ただ運転するだけで大金が転がり込んできたんだぞ、こんなうまい話があるか」
自らを英雄視する青年の落胆を見て取るや、コバが慌てたように返すと、再び青年の瞳に輝きが宿る。
「確かに、そうっすね。
顔を見られることもなく人殺しをすることもなくカネが稼げる……。
こんな魅力的な仕事、そうそうないっすよね」
後部座席に座った夏美が、上着のボタンに忙しなく触れる。
そこには、ボタンにカムフラージュされた小型のカメラが仕込まれていた。
果鈴と夏美以外は、全員が男性だ。
助手席の青年とコバのやり取りを、果鈴たちと同じ後部座席に座っている物静かで線の細い男が無表情に聞くだけで声を発しようとはしない。
助手席の青年が後ろに視線をやり、唇をかすかに歪める。
「女がふたりですか。
役に立つんですかね?」
するとコバが、安請け合いした。
「問題ない。
早乙女案件だって実行役は女がふたりいた。
実際殺しをしたのはおばさんだった」
「へえ、女がふたりねえ。
どんな女だったんです、闇バイトする女って」
果鈴や夏美が訊きたかったことを切り出すまでもなく、助手席の青年がコバから話を引き出していく。
「どこにでもいるようなおばさんと、若い女だったよ。
それが、だ。
次にその女ふたりを見たのがどこだと思う?」
コバは勿体ぶった言い回しで青年の気を引く。
「え、どこっすか?」
身を乗り出した青年のピアスが通り過ぎる街灯に照らされてきらりと光った。
「テレビの向こうだよ」
「テレビの……?
ニュースってことっすか?
でも、実行役は捕まってないって……」
「違う、聞いて驚くなよ、神原議員って知ってるか?」
「神原……?
誰っすか?」
青年は政治にもニュースにも関心はないようだった。
コバががっかりしたような表情になる。
「私、知ってる」
後部座席から、今度は果鈴が身を乗り出す。
「すごく有名な政治家でしょ。
ちょっと前にはスキャンダルで世間を騒がせた」
「おお、知ってるか。
そうそう、女ふたりは、なんと神原議員の家族としてテレビに出始めたんだよ」
果鈴は無知なふりをして質問を重ねる。
「神原議員の家族が闇バイトに手を出したってこと?」
「いや、それがな、聞いて驚くなよ。
神原一家は家族なんかじゃない、赤の他人だ。
やつらは、早乙女邸襲撃事件の実行役として知り合ったんだよ」
果鈴が目を丸くする表情を作る。
「じゃあ、神原議員やその家族とされた人たちは闇バイトをしてたってことですか?」
「そうだよ。
当時神原は、ギャンブルに溺れて借金まみれだったんだと。
にっちもさっちも行かなくなって同僚の金持ちにカネを貸してほしいと頼んだが断られて殺意が湧いたらしい」
そこで夏美がなにも知らないふりをして口を挟む。
「殺意が湧いた?
それって、早乙女さんにってこと?
神原議員と早乙女さんは知り合いだったの?」
「そうらしい。
早乙女のことを職場の同僚の金持ちと言っていた。
だから、早乙女邸のことをあのおっさんはよく知っていた。
まさか早乙女邸襲撃事件で初めて顔を合わせた4人が偽物の家族になって、あんな有名人になるとはなあ」
感傷に浸るように、なんとものんびりとした口調でコバが遠い目をする。
確かに果鈴の父親、薫は銀行に勤務していた。
もしかしたら、果鈴が幼いころにでも神原が家を訪ねていても不思議ではない。
神原は同僚の果鈴の父親に借金を申し込み、断られて逆上した。
「……なによそれ、完全な逆恨みじゃない……」
果鈴がつぶやくと、しっと鋭く夏美が人差し指を唇の前に立てる。
そして、わなわなと震える果鈴の手を温かい手で優しく包み込んだ。
早乙女邸を襲撃し、果鈴の両親を殺害したのは、神原富久と井上希実子、麻由と慎一だ。
彼らの顔は、恐怖に震えたあの日に見た顔に相違なかった。
彼らに、じわじわと苦しみを味わわせようと果鈴は手を講じてきた。
彼らが犯人であると知りながら野放しにしていたのは、人生の春、絶頂にある彼らにより強烈な転落の苦痛を与えるため。
そのために彼らを特定する時間が必要であり、彼らの正体を暴く必要があった。
果鈴ひとりでは、彼らがどんな関係にあるか調べが及ばなかったかもしれない。
そこで、夏美の存在は大きかった。
闇バイトで知り合った4人は、どういう取り引きがあったのかは知らないが、偽物の家族を演じ、名声を手にした。
あのとき顔を見た強盗犯が家族となり、どこまでものし上がっていくさまを3年も指をくわえて見ていることしかできなかった。
ずっと待っていた。
神原一家の尻尾を掴むまで死ねないと思っていた。
やつらに復讐するためなら自分の命だって差し出す覚悟だった。
真相は違うのに、神原一家は『理想の家族』として祭り上げられ、やつらに憎しみとも怒りとも、憤りとも言って正しい感情を抱きながら必死に耐えた。
果鈴が激情を必死になって抑え込んでいると、可笑しそうにコバが続けて言った。
「ただ、有名になればなるほど闇バイトをしていた事実は隠さなければ自滅する。
指示役から逃れることはできないだろうな」
「それって、今も指示役と神原富久は繋がりがあるってこと?」
夏美が意識して落ち着いた声音で尋ねる。
「そりゃそうだ、あんたらもそうだっただろうけど、個人情報は指示役に押さえられているんだ。
逃れることはできない。
神原は、指示役から脅されて今もカネを払い続けている。
指示役にとってもいい金づるだろうな」
「証拠は、証拠はあるの?」
果鈴が食らいつくような勢いでコバのほうへ身を乗り出す。
「証拠?
証拠って、なんの?」
「神原富久が闇バイトをやっていたという証拠よ」
果鈴の質問に、コバは納得したようにうなずくと、酷薄な笑みを浮かべた。
「自分で言うのもなんだけど、俺って意外と狡猾なんだよね。
撮ってあるんだなあ、これが」
深夜の交通量が減った道路の路肩にわざわざ車を停車させると、コバはスマホを取り出し、動画を再生した。
果鈴と夏美はスマホの画面を覗き込む。
動画は暗闇の車内からスタートした。
がさがさと物音が続いて、車内にぱっと明かりが灯る。
果鈴たちが今乗っているワンボックスカーと同じような内装が映し出される。
『準備は抜かりなくやれよ』
神原富久が目出し帽を被りながら、慎一に指示をしている。
『うるせえなあ、おっさん。
わかってるつうの』
画面が富久と慎一が小競り合いをしている様子を映す。
後部座席では、青い顔をした希実子と麻由がナイフを手に小声でなにやら話をしている。
『凶器は、これだけ?』
『麻由には鉄パイプのほうがいいかもね。
刺すには力がいるから』
麻由に希実子が指南している。
『ねえ、本当に、殺すの?』
麻由が不安そうに顔を上げると、画面と視線がぶつかった。
動画を撮影しているコバのほうへ顔を向けたのだ。
『必要があれば殺せという意味だ。
抵抗されたら殺してかまわない』
コバの声がそう答える。
どうやらコバは、犯行グループのリーダー役のようだった。
今日と同じように運転を担当していただけで、直接手は下さない。
途中で逃げ出されないためだろう、証拠として実行役たちの素顔を撮影していた。
動画は4人が目出し帽を被り、各々武器を手にすると、車を降り、果鈴にとって見覚えのある建物──早乙女邸へと向かうまでが克明に映されていた。
動画が終わると、してやったりという顔でコバがにやりと笑う。
「ついでにこれ」
コバが表示した画面には、神原富久の免許証の画像が収められていた。
「いつも、なんかの役に立つんじゃないかと思って実行役の顔撮っておくんだよね。
神原を撮っておいたのは本当正解だった。
指示役とは別に、俺からも脅しをかけてやろうと思ってるんだ。
借金させてでも絞り出してやろうかってさ。
あ、でも借金したら、また闇バイトに手を出しちゃうかもね、あはは!」
そうしたらまた一緒に仕事しようかなあ、などと言いながらコバがスマホをポケットにしまう。
ちら、と果鈴が夏美を伺う。
その視線を受けて、夏美がうなずき返す。
夏美の上着の隠しカメラが今の映像をきちんと捉えている、そう夏美は目だけで合図してきた。
「じゃ、行こうか」




