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異世界営業管理課

 吸血鬼が傲慢になっていたために色々と問題が起きていた異世界から帰還した異世界交流管理局住民支部長ガズル・ノケールは早速自分の実務場に弟分のチューバファイパと共に仕事の収録記録を付けだした。


「あー底近、『地球時間』で五日休暇をやる。

その間こっちは他の部署の収録記録を整理をしながらお前の次の仕事をする異世界場所を決めてやるからそれまでブラブラしてていいぞ。」


「一息なんて言ってたから予測はしていたがたったの五日かよ~。

俺はあんたたちと違って相対的な時間の引き延ばし能力は持ってねーんだ。    少な過ぎだぜ。」


 吸髄鬼底近は直ぐに抗議した。


「だったらここの地球時間五日と相対的に時間の流れが早い手頃な表世界で休暇をとれ言っとくがあまり大きな影響が出る問題は起こすなよ。」


 ガズルにそう言われると底近はブツブツ言いながらその場を去っていった。

 一方ガズル達は異世界交流管理局の仕事収録記録を調べに行くために収録管理所へ瞬間移動をした。


 その場所は書類や書籍、記録装置などが大量にある部屋ではなく外の景色が360度見渡せる透明な部屋であった。


「んっ!ガズルさんチューバファイパさん帰ってたんすか。」


 その部屋には一人のシルクハットを被ったステッキを持った人間の姿をした男が眼鏡を掛けた女子高生位の赤毛の女性と茶を飲んでいた。


「記録の魔王ローグマスター何で文化の魔王リカンと仕事時間中に茶をしてるんだ。


まあどーせ無理矢理誘ったのはリカンの方だろうけどよー!」


 ガズルが指を指した赤毛で眼鏡を掛けた女性は目を輝かし立ち上がりガズルに食い付いた。


「ガズル様達もどうですか、とある人間種の間で今流行の急須と茶菓子なんですよー。

 面白ユニークな文化のたしなみを体験するのも文化の魔王として興味をそそるんですよー。」


「お前の性格は理解してるが今は勤務時間中だろうが、大体ローグの奴は無理して付き合っているが引いているのが分かんないのか。」


 よく見ると茶菓子らしきものは天井からいくつも干し柿のように糸で結ばれ

何本も目の前に吊るされた状態でそこから一つ一つ摘み取りながら食べるようにせっちされていた。


おまけに急須はポットタイプではなく持ち手と注ぎ口が逆につけられていた。

 そしてチューバファイパがしげしげと眺めていたが、注ぎ口の方を掴むと持ち手の方をティーカップに向けて傾けた。


 すると持ち手の先から中身の茶が出てきてカップに注がれた。


 そう実はこの急須注ぎ口の形の持ち手と持ち手の形の注ぎ口のタイプの急須だったのだ。


「何言ってるんですか。

いろんな文化を体験するのも仕事ですよーそれにここはタワーの頂上に設置された展望部屋にもなっていますから。

この国他種族連合国家の様々な種族の文化や文明が一望出来る。最高のシュチュエーション場所じゃないですかー。」


 この女全然さっきから反省の色無しで目を輝かせてハイテンションのままである。


 だが確かにこの部屋は360度見渡せるタワーの展望台のようであった。


 そしてそのタワーの高さが異常であった、かなり遠くまで見渡せる。


 人間の目では遠すぎて望遠鏡でもなければ見えにくい距離がかなりあるが。   無教神話世界の住人で最上位種というランクの種族のこいつらの目や視力なら問題無かった。


 それによく見れば確かに様々な文化や文明の街や環境などが配置されている国であった。


 見たことのない建物、立体的な水場や奇妙な植物の森、溶岩地帯、建物や山や岩場が空中に浮かんでいる場所もある。


その区画一つ一つの広さも千km四方単位から万km四方単位まである。

もっと遠くにはさらに巨大な宇宙空間のような立体区画まである。


 流石無教神話世界という()()()()()()()()()に創られた国家であった。


「神族以上のお方達を除いて無教神話世界最強のナンバー1の序列を持ち、今のところチューバファイパさんと二人しかいない自然発生して生まれた最強混血型覚醒種の貴方方も色々と受け入れてくださいよー、へぶし!」


 リカンがへらへらとした態度でガズルに接し続けるものだからガズルはついにキレて拳骨をリカンの脳天にお見舞いした。その時の拳骨を繰り出したガズルの片手が一瞬、カラフルで歪な形になった。


「それは周りに迷惑掛けまくってまですることではないといったはずだ。それにお迎えが来たぞ。」


 するとその場に細目の高校生くらいの人間型の男性が瞬間移動で現れた。


「ちーっす、伝統の魔王ユーダスです、ここに姉ちゃんが居ませんって見つけたー!」

 すかさず文化の魔王リカンの弟らしい伝統の魔王ユーダスは姉の首根っこを引っ掴み引きずり出した。


 リカンはジタバタと駄々をこねなした、これではどっちが年上なのか。


「何又仕事さぼって他人の仕事邪魔してまで遊びほっつき歩いてんだ姉貴、このことは母さんに言いつけるからな。あっ!ガズルさんチューバファイパさんども、姉貴がまためいわくかけました。」


「やーん!ユー君お姉ちゃんにお慈悲をー!」


「オメーも大変だな、姉ちゃんの始末書これで何枚目だ!」


 こうして余計な騒動の元凶は弟にドナドナと連行されていった。


 ようやく落ち着いたので二人はローグに局の活動報告をするように命じた。


「別にワザワザここに来なくても貴方達なら自分で知ることが出来るんじゃないですかー!」


 ローグは被っていたシルクハットの中から一枚のカードらしき情報媒体を取り出してチューバファイパに差し出した。


「ガズル兄貴も少しは局のみんなに顔を見せないとまずいだろ。」


 チューバファイパがそのカードにモップのような頭の髪の一束を触手のように伸ばして動かしカードに触れるとその個所からカードに奇妙な模様が浮き出てきた。

 いくつもの小さな丸い点に何本もの髪の毛のような線が生えてきて淡が互いに接続しあったような模様だ、模様は立体的になりそのままカードを飲み込むか食いつくしそのままカードと一緒にきえた。


「異世界営業課で少し問題が発生したみたいだどうする?」


 最近の情報を共有した二人は早速動き出した。




 とある異世界と異世界の間で食堂経営の交流をしている食堂。


 そこで食堂の店主がここに来ている異世界交流管理局員の二人に泣きながら必死に縋り付いていた。


「お願いです。異世界とのゲートを閉鎖するのは勘弁してください、もうこんな失敗は二度としません。」


「ふざけんな!ついうっかり交流している異世界の客が持ち込んでいた食材を間違えて調理した料理を自分の住んでいる世界の客に食わせたせいでその客たちが異世界の寄生虫に寄生され挙句の果てには食便から寄生虫の卵が下水道から下水処理場を経由して川に流出するバイオハザード騒動引き起こしといて立派な異世界交流安全営業法違反だ!」


 確かにこのことはとんでもないことだ、ちなみにこの世界が大惨事にならなかったのはこの異世界交流管理局()()()()()()の二人が無教神話の超高次元の力で対応してくれていたからだ。


「おかげで俺達()()()()()()()()()の医療科学技術で寄生されていた人間の治療を行ったり、町の下水道や下水処理場、川を全部寄生虫の卵だけを殺処分浄化したり寄生された人間の記憶処理やら辻褄合わせの工作をしたりてんてこ舞いだったぞ。」


「まあ寄生虫の卵が海に流出する前だったから被害があまり拡大しなくて我々だけですぐに対処出来ましたが、パンデミックが起きたら大事ですよ。

寄生虫の種類もこの世界の人間にとって重症化したら様々な症状を引き起こし最悪死に至るタイプですので。

 こんなことにならないようにずいぶん前に注意勧告やそのマニュアル本渡したはずですが?」


 この局員の種族名はサイエンスピープル。


 無教神話世界の亜人の中でも最上位ランクの4大亜人種に数えられる最も賢く超能力や科学技術に長けた種族である。


 見た目は人間そっくりであるが頭に細かい棘がついた小さな触覚が生えており両目に三つの複眼が有り普段は完全にしまうことが出来るトンボの羽が付いている昆虫型哺乳類の種族だ。


 一人は気難しそうな中年の男一人は人柄の良さそうな若い男であった。


「申し訳ありません、もうこんな失態は犯さないようにマニュアルをよく読んで覚えますので異世界の交流営業停止処分だけはやめてください。バイトの店員達にもよく言って聞かせますので。どうか、どうか………。」


 店長の後ろにはこの店でバイトで働いているこの店がある世界とは別の交流を行っている異世界の住人の女性店員が二人居た。


 一人は垂れ下がった犬耳の茶髪の犬人族の女の子、彼女も必死に局員に頭を下げている。


「ごめんなさい店長、私が帽子被って買ってきたこの世界の野菜入りビニール袋をうっかり食堂に持ち込んでそのあとエルフのお客さんがたまたま仕事帰りにこの店に立ち寄って持ち込んでいた処分用の野草が入っていたビニール袋を間違えたせいで。」


 そして彼女の後ろには背の高い龍人の姿をした体格のいい長い赤髪の女性店員がボロボロになってぶちのめされていた。


 彼女は中年のサイエンスピープルがこの店の異世界交流営業停止処分命令を出したことに腹を立てて突っかかったが、彼の超高次元の超能力でいとこ簡単にあっさりとぶちのめされたのだ。


 彼女はこの店が交流している異世界ではとんでもなく強く有名な龍神でそのことを知っている周りの異世界の客たちも彼女が瞬殺されたのを見て何も言えないで震えあがっていた。


 そんなのはお構いなしに中年のサイエンスピープルの説教は続いた。


「それだろうが…!その野草が買ってきたこの世界の野菜そっくりだったらまだしも、この店の料理をテイクアウトする時にはちゃんと渡された生分解性の素材のタッパと目印の付いた袋で持ち帰らせろと前からずっと注意していたはずだ。

 なのに何度も注意を無視して向こうの世界にはないプラスチックごみになる容器とビニール袋を使って持ち帰らせ続けた結果がこれだったんだろーが!

そのエルフの客が使っていたビニール袋はその時使っていたやつを再利用してこの店に持ち込んだ物だろう、その結果似た様なビニールに入っていたために客の持ち物と間違えてこんなことになった。

 異世界にはない素材の修正管理もしなくてはならないから決まりを守れと言う注意勧告を散々無視しておいてもう我慢の限界だ…。‼」


 中年のサイエンスピープルの男は店の店長の胸倉を片手で掴みもう片方の手で店にあったネギを三本掴みそれで店長の顔の両頬を交互に引っ叩き出した。


              パンパンパンパン…!


「止めてください、こんなことになったのは私が悪いんです。」

 犬人族の女の子は止めに入ろうとしたが、サイエンスピープルの念力らしき力で弾き飛ばされてしまった。


「ああ...!」


 彼女が店のカウンターに叩きつけられそうになったが、寸前で彼女は別の念力らしい力に優しく受け止められるように止まった。

 どうやらもう一人の若いサイエンスピープルの男の念力みたいだ。


「先輩!いくら何でもやり過ぎですって。

 人間の平均IQが100ぐらいしかないうえに俺達平均IQ一万の種族と比べるとヒューマンエラーをかなり起こしやすいこと知ってるでしょう。

 確かに何度も同じ注意を忘れたり繰り返してこんな問題犯しちまったから強めに厳重注意する為に黙って見ていたが、少しやり過ぎだって酷いよ。」


 もう一人の若い男のサイエンスピープルがようやく動いて止めに入り出した。


「だからネギで引っ叩くことで手加減してやってるだろ。異世界のゲートの検疫装置機能の強化を異世界の客の負担がでかくなるからと言って拒んだのもこの事態を招いた原因だ。」


「確かにあれはゲートを通るたびに異世界変化による生き物の拒絶反応を利用するため通るたびに少し痺れる程度には痛みを感じるがそれによって同次元のウイルスや病原菌をろ過する仕組みだがよー。

 それによってその世界の住人の体内の生体活動に欠かせない善玉菌や共生菌も負荷が掛かっちまうし、それにあれ以上強くしちまったら体の小さいチビの妖精や生きた自然エネルギーの精霊にはトンデモネー激痛が走っちまうぞ。」


「だからこそ種族による検査登録によっての選別をすることで負荷の解決をしようとしたというのに。

 客の機嫌を損ねるだのトラブルになる弊害になるだの言ってこいつ等反対しやがってあれだけ頭下げるから厳重注意のやり方で済ますことで勘弁してやったらこれだ。」


 この二人の会話のやり取りから異世界での交流や商売が現実的に考えると、いかに色々と問題が発生することが良く分かる。


 確かにこれらのトラブルや問題にすぐに対処、管理する為には異世界管理交流局という機関が場合によって必要になるだろう。

 ………しかし。

「だからって異世界ゲートを軽々しく閉鎖して営業停止処分にしたりここまでひどい暴言や暴力振るいまくるのはいくら何でもやり過ぎだろ。

この子達店員に辞めてとっとと元の世界に帰り二度とここにくるなといってるようなもんだろ。

ここの客の憩いの場も全部ぶっ壊すことで解決するのもどうよ。

俺達は異世界交流の管理のためここに派遣されてんだろ。

何でもかんでもすぐ軽々しくぶっ壊すのに頼るのは俺達の職務怠慢に繋がりかねないぜ。」


 もっともなことを言ってくれた、彼のこの発言は店長だけではなく周りの異世界からのこの店の常連客達に希望を抱かせてくれた。


 ちなみに(そうだそうだ。横暴だぞ!)と周りが言えないのは無教神話のこの二人の強さと凄まじい威圧に押されてしまい、取り付く暇が無いためである。


「職務怠慢じゃないぞ俺達が居なくても安全にしかっり異世界商売出来るよう心掛けさせるようになって貰わなきゃ困る。

 それをさせる注意勧告も何度もしてきた。

 なのにこいつ等その忠告を何度も何度も無視していくら言っても改善の余地もありゃしない。

 なら異世界営業停止処分にするしかないだろ。」


 その時店の部屋の真ん中の空間が歪み波打ちだしたと思ったら、その空間に中からガズルとチューバファイパがでてきた。


 するとサイエンスピープルの二人は慌ててガズル達に向けて整列をして跪いた。


 店の客たちも店長も店員もガズル達がサイエンスピープルの二人よりもお偉いさんだということが一発で分かった、そしてその場にさらに緊張が走った。

「ジェードッテの言うことが正しいぞケイケーキ、今回はお前のやり過ぎだ!」


 ガズルの一言で状況は一転した。


「い…いや、あのですね支部長この店の連中がいくら忠告してもそれを無視しましてそのー………。」


 中年のサイエンスピープルケイケーキは冷や汗を出しながら急に大人しくなって上がりだした。


「確かに注意勧告を真剣に取り組もうとしなかったり検疫装置の改良のタメの検査を客にさせるの拒んだりしたせいでこんな事態引き起こしちまったのは問題だが、限度があるだろそれに執行猶予やチャンスは回数ではなく段階的によって行うことが大事だとも言ったはずだ。」


「俺も昔やんちゃしていた時兄貴に力ずくだけじゃなくチャンスを上手くやってもらえたから今はこの通りだ。

 お前さん同じ内容の注意勧告を少しずつ強く言うようにしてたみたいだが

本気で営業停止処分する前に次の段階のチャンスや執行猶予ぐらい与えてやれよ。


そいつら悪意があって故意的にこんなこと引き起こした訳じゃねーことぐらいお前等の超能力で分かんだろうが。

 今回は本気で反省して取り組もうと必死で考えてんこともなー。」


 すると周りの客や店長も店員も必死に頷いた。


「我々も向こうの世界に帰還しましたらほかの常連客やここに新しく来る連中に今回のことをよーく言って聞かせますのでどうか、どうかお慈悲を!」


「ここの世界の安全検疫のためにも検査を受けますので受けさせますので、営業停止処分とやらで我々の世界とこの店の世界のゲート封鎖だけはどうか止めてください!」


「この店の料理が食えなくなるのは耐えられません!」


 そしてこの店の常連客達はガズル達に必死に頭を下げて縋り付きだした。

 店長も店員の女の子も泣きながら頼んだ。


「あー大丈夫、ただあんた達が今回の失敗から本気で学んで取り組んでくれればだが、そのかわりこんな失敗を二度と気を緩めて起こさないように努力しろよ。

出来なければもう俺でもかばい立てて出来んからな!」


 最後にガズルは一言覇気の入った声で周りに忠告をするとケイケーキの方へと向きを変えへ彼の肩に手を置いた。


「お前優秀なのは認めてるんだが今回のようにたまーに頑固でやり過ぎちまうことがあるんだよな。

帰ったら後で俺の所に来い!少し話がある。」


 ガズルにそう言われてケイケーキは引きつって身震いをし出した。


 ジェードッテはヤレヤレと言いながら一息ついた。


 チューバファイパはケイケーキにぶちのめされた龍神の店員の治療をしてやっていた。


 頭のモップ頭の髪の毛を何本か伸ばし彼女の傷に毛を触れさせるとあっという間に彼女の傷は消えてしまい彼女は立ち上がってチューバファイパに礼を言っていた。


 こうしてとある異世界食堂の営業は何とか営業停止の危機を免れて平穏を取り戻したのであった。







 

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