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第13章: 二度目の朝と隠された英雄

均衡は崩れ、運命の歯車が狂い始める。

東の魔王の消滅に揺れる魔族帝国と、影の脅威に怯える神々。女神エルミリアが放つ最後の切り札――それは、闇の主と同じ「前世」を持つ少年、リュウトだった。

一方、学園では「無能」を完璧に演じるクロウの前に、その「光の英雄」が姿を現す。

握り合わされた手。交わされる微笑。

かつての友、今の宿敵。二人の再会が、世界の終焉へのカウントダウンを刻み始める。

天空領域 ― 待つ神々


天空領域、永遠の輝きと幾何学的な完全性の次元は、もはや千年の間そうであった平和の聖域ではなかった。


女神エルミリアの宮殿の黄金の柱は、最近存在の織物を通して波紋を広げた闇の衝撃波の、長引く傷跡である蜘蛛の巣のような細かいひび割れで刻まれていた。


四体の元素の神々はそれぞれの玉座に座していたが、いつもの傲慢さは重く息苦しい沈黙に取って代わられていた。


火の神イグニルは、その炎のたてがみは普段はまさに空気を焦がすほどであったが、今は頭を垂れて座し、残り火はくすんだ死にゆくオレンジにちらついていた。


「もはや介入できぬ」と彼は乾いた擦過音の声で呟いた。「感じたであろう。あの少年…奴は我々の力を単に撥ね返しただけではなかった。一瞬、その概念そのものを消去したのだ。もし再び干渉すれば、奴は我々を殺すだけでは済まさぬ。元素そのものを解体するだろう」


広間の中央で、世界の女神エルミリアが巨大な神の鏡の前に立っていた。銀と星の光の滝である髪は以前よりも痩せ細って見え、消耗した状態を反映していた。部下たちを見なかった。視線は、鏡面の移ろう像に固定されていた。


「彼は今や強力すぎる」とエルミリアは運命の書の重みを帯びた声で囁いた。「彼は超えてしまった…彼は宇宙が決して保持するはずのなかった変数だ」


「何を待てと?」地の神テラニスが苦々しく尋ね、石を切り出した拳が玉座の肘掛けを握りしめた。「奴がヴェルグリスの世界を影の墓場に変えるまで待たねばならぬのか?」


エルミリアが鏡に触れると、黒髪の少年の像は溶け去り、鋭い茶髪と夏空の色の目をした若者に入れ替わった。


「召喚された者を待つのです」と彼女は柔らかく言った。「この世界の均衡は二元的です。すべてを呑み込もうとする影が存在する場所では、光が応答せねばなりません。リュウト…あなたの運命は、まだ織り始まったばかり。あなたこそが闇の主に対抗できる唯一の者。なぜなら、あなたは同じ前世の重みを背負っているからです」


---


魔族帝国 ― 魔王たちの会議


何千マイルも離れた、鉄木王国の人間の国境を越えて、大魔族帝国はぎざぎざした黒曜石の山々の環の中に抱かれて座していた。中央宮殿の中で、黒大理石の広間が古の捕食者の低い唸り声で反響していた。


北、西、南の魔王たちが集結していた。大魔王の前に立ち、大魔王は角と真紅の目のそびえ立つ影絵であり、中央玉座に座していた。部屋の空気は硫黄と古い血の匂いで濃密だった。


「東の魔王アスモダイが倒れた」と大魔王は咆哮し、鉤爪が玉座の黒い石に深い溝を引っ掻いた。「死の反響が首都に届いた。奴は英雄の刃や人間の軍隊に敗れたのではなかった。消し去られたのだ」


「奴を殺した者は我々の斥候の範囲を超えております」と、霜に覆われた毛皮をまとった姿の北の魔王が述べた。


「東の辺境を覗こうとすると、我々の鏡はただ、黒い呪われた砂嵐を映すのみ。まるで空間そのものが削除されたかのようです」


「奴は闇魔法の神ウムビャスより悪い脅威です」と西の魔王が鋭く臨床的な声で付け加えた。「深淵を動く幽霊を追跡することはできません」


大魔王の目は、燃える金の細められた切れ長になった。「五体の主の均衡は崩壊させてはならぬ。人間どもが我々の弱さを感知すれば、進軍するであろう。我々は直ちに新たな東の魔王を据える。操り人形を。忠実で、囮となる者を」身を乗り出し、周囲の影が深まった。


「そして世界が人形を注目している間に、我々はこの影の達人を見つけ出す。奴が、我々がこの百年で築き上げた秩序を転覆させるのを許してはならぬ」


---


魔法学院 ― 朝、クロウの寮室


人間の首都ヴァレリオンに戻ると、朝日は優しく欺瞞的な金だった。鉄木王立魔法学院の寮のブラインドを通して濾過され、402号室の床に琥珀色の縞を描いていた。


クロウはゆっくりと目を開けた。兵士の突然の跳ね起きで目覚めたのではなく、捕食者のゆっくりとした体系的な覚醒だった。胸に寄りかかる慣れ親しんだ温もりと律動的な重みを感じた。まばたきし、紫の目が光に順応した。


「…レイ?」


小さな白い猫のように胸に丸まっていたのは、細く、ラベンダーがかった髪の少女だった。レイ・ノクターンはぐっすり眠っており、頭は肩に乗せられ、呼吸は柔らかく、彼自身の脈拍と完璧に同調していた。ひび割れた心を持つ少年には不可能であるはずの、家庭的な静けさの光景だった。


クロウはしばし天井をぼんやりと見つめた。暗黒心理学で訓練された地上の精神が、本能的に状況を分析した。


心拍数は毎分62。深いレム睡眠。彼女は無防備で、信頼している。それでも、冷たい計算にもかかわらず、押しのけなかった。そっと右手を上げ、ゆっくりとした単一の動作で髪を撫で始めた。


「…相変わらず子供っぽいな、レイ」と誰もいない部屋に囁いた。「ここで寝るなんて、獅子の巣窟の中でだ」


触れられて、レイはわずかに震え、まぶたが震えながら開かれた。見上げ、菫色の目は眠りで霞み、柔らかく真の微笑みが顔に咲いた。どこにいるか気づくにつれて、頬が繊細なピンクになった。


「んん…おはようございます、クロウ様…」と愛情で声を濃くして呟いた。


クロウはため息をつき、手を引っ込めて起き上がった。


「起きる時間だ、レイ。授業二日目に遅れるぞ。そして言うまでもないが、ここは男子寮だ。もし生徒会が――誰かが――君をここで見つけたら、平均的な生徒の仮面は朝食前に粉々になる」


レイは口をとがらせ、猫科のように腕を伸ばしてからベッドを飛び降りた。


「主様の影渡りの魔法で入ったんです! それってボーナス点にならないんですか、クロウ様?」


クロウはいつもの判読不能な平静さで見つめ続けた。「まだ君の粘り強さのリスク対報酬比を計算しているところだ」


レイはくすくす笑い、髪を整え、黒い学院の制服を直した。


「計算なんて退屈です。私は結果の方が好きです!」鋭いウインクと共に、部屋の中央に現出したきらめく黒い戸口を通って後退した――直接自分の寮へと通じる、空間の裂け目。


---


魔法学院 ― Bクラス教室、二日目


Bクラスの教室は、神経質な電気的エネルギーでざわめいていた。新学期二日目であり、予定されていたのは魔力評価だった。


教室の前方には、学生の魔力出力を測定し数値ランクとして表示するよう設計された、明るい水晶のリング――ヴァレリオンの目――を載せた台座が立っていた。


クロウは列に並び、姿勢はやや猫背で、目はくすんでいた。他の学生が顔を誇りや不安で紅潮させて進み出るのを見守った。


彼らに俺が哀れなほど弱いと見せてやろう、とクロウは冷たく精密な内的独白で考えた。偽りの平和の世界では、最も高い釘が最初に打たれる。不可視のままでいるために、俺は床にならねばならない。


順番が来ると、クロウは台座へと歩いた。手を伸ばし、水晶のリングに触れた。ただマナを抑圧しただけではなかった。前世からの技術――知覚の暗黒心理学――を利用した。自らの力を、死にゆく残り火、ちらつく無用な火花として視覚化した。


一本の魔法の糸をリングに投げ入れた。水晶はたちまち暗くなった。輝かなかった。かろうじてブンブンと鳴っただけだった。


数値表示はちらつき、通常は魔法の血統を持たない一般の村人にのみ与えられるほど低い数値で落ち着いた。


教室の後方の少年たちが笑い出した。

「マジか? それだけか?」一人が叫んだ。「それより魔力のある台所のメイドを見たことあるぞ!」


「あんな奴がどうやって王立学院に入れたんだ?」別の者が嘲笑した。


クロウは単に微笑んだ――小さく、臆病で、“平均的な”微笑み――そして席に戻った。気にしなかった。彼にとって、笑い声ははるかに大きな交響曲の中の背景雑音に過ぎなかった。


それからレイの順番だった。


部屋を静まらせる優雅さで進み出た。クロウと違い、すべてを隠さなかった。滑らかで制御された魔法の脈動を生み出した。リングはただ輝くだけではなかった。周囲の光を呑み込むかのような、深く脈打つ紫の色合いで共鳴した。


「あれは希少な魔法だ…」と教官は身を乗り出して囁いた。「人間用の闇魔法はこの王国では乏しい」


「彼女は没落した貴族の家の出身か?」学生たちは好奇心を刺激されて囁いた。レイは彼らを見なかった。クロウを振り返り、鋭くウインクした。忠誠心は、自身の力の華々しい表示の背後に隠されていた。


---


教室のドアが重く、意図的なドスンという音と共に開いた。新しい人影が部屋に入るにつれて、おしゃべりはたちまち静まった。


背が高く、注意を要求せずに掌握する落ち着いた物腰だった。鋭い茶髪と、深く澄んだ海の色の目をしていた。


Bクラスの他の者と同じ標準の黒い制服を着ていたが、神々しい…と感じられる自信で歩いた。


「ああ…遅れてすみません」と少年は丁寧で気楽な笑みを教師に向けて言った。「新入転入生です」


教師は書類に目を通した。「名前は?」


少年の微笑みは揺るがなかった。「リュウトです」


クロウの目が一ミリメートルの何分の一かだけ細められた。その名前…ただ親しみを感じるだけではなかった。幽霊が背骨に触れるように感じられた。ヴェルグリスの記憶を探り、さらに遠く、東京の灰色の血に染まった記憶へと遡った。


リュウトは部屋を見回し、クロウを見つけるまで視線を学生たちに留めた。歩み寄り、すぐ隣の空席に座った。


「ねえ…君がクロウ・ヴェルグリスだよね?」リュウトは友好的だが探るような声で尋ねた。

クロウは軽度の驚きの仮面を維持しながら眉を上げた。


「そうだ。私だ」


リュウトは手を差し伸べた。「よろしく。僕は新入りなんだ。ちょっと様子見しててさ。後で案内してくれない? 静かな場所を知ってそうな感じの人に見えるから」


クロウは一鼓動の間、手を見つめた。心は何千ものシミュレーションを疾走した。


彼は光の英雄だ。エルミリアが俺を滅ぼすために召喚した者。そして彼はまた、同じ世界から来て、かつて俺が友と呼んだ少年でもある。


クロウは手を伸ばして握手した。

握手はほんの少し長すぎた。掌が出会うと、沈められた血統が深く沈んだ。形而上学的な衝突だった。クロウは瞬時に感じ取った――リュウトのマナは単に高いだけではなかった。純粋だった。魔族的にも人間的にも感じられなかった。肉体の器に閉じ込められた太陽のように感じられた。ほとんど…神的だった。


リュウトも同じことを思った。クロウの取るに足らない顔を見て、強い疑惑の痛みを感じた。


こいつには何かがある。魔力の数値は哀れだったが、心臓が警戒しろと絶叫している。影しか映さない鏡を覗いているような感じだ。


二人は同時に微笑んだ――前世からの友人、現世での敵、共に礼節の仮面をかぶって。

こうして、ゲームが始まった。


---


✦ つづく…

第13章を読んでいただき、ありがとうございます!

ついに「光の英雄」リュウトが登場しました!クロウがBクラスで無能を演じている隣に、あえて神の使いが座るという展開……。これからの化かし合いが楽しみでなりません。

そして、朝のレイのシーン!「主様の影を知る者」としての特権を存分に使う彼女の可愛らしさに、癒やされた方も多いのではないでしょうか。

「英雄リュウトとのヒリヒリする関係が最高!」「レイのヤキモチ(?)がもっと見たい!」と思っていただけたら、ぜひ下の**「★」評価やブックマーク**をお願いします!

次回、放課後の案内。探り合う二人の天才。

第14章も、どうぞお見逃しなく!

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