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異世界放浪 〜僕の家って何処ですか?〜  作者: 礫(レキ)
第1章 地上編
4/53

無謀って知ってますか?

馬車を走らせていると、ここでも見えてくる浮遊都市『ニホン』、いつになったらあそこにたどり着けるのか。

「おい。悩み事か話してみろ。」

ルシーナが例の如く土足で僕のナイーブな心のなかを踏み荒らそうとしている。

あれを見ていたんだよ。

『ニホン』を指差して言った。

「あれがどうかしたのか?」

「僕はあそこから来たんだ。」

ルシーナは少し考え込んで、

「お前はあそこに戻りたいのか?」

「いや〜、どうなんだろ。どうしても戻りたいって感じでもないけど、ちょっとわからないな。」

ミオは、コースケ達の会話を心配そうに聞いていた。

「ミオさん、どうかしましたか。」

「あ〜。コースケって、やっぱり『ニホン』に戻りたいのかなって。その時私は…。」

「大丈夫ですよ。ミオさんはコースケさんの大事なものなんですから。」

「そっ、そうだよね。」

ジルは、2人の会話を聞きながらため息をついた。

暫くあのふたりには、安息の場所はなさそうだな。

突然、突風に馬車が煽られた。

「うわっ!ジル、どうしたの?」

「外を見ろ!怪鳥が仕掛けてきた。縄張りが近いのかも知れない。」

数メートル先から、怪鳥がこちらを伺っているが、

デカすぎる。

「嘘でしょ。あんなにでかいの?」

「それには俺も同意だ。予測していた10倍はある。」

「ルシーナ、どう?」

「どう?とは?」

「いや、闘って勝てるかという話。」

「馬鹿を言うな、あんなもの。闘うなんて無謀にもほどがあるぞ。」

なるほどな、だから長があんなに慌てたんだ。

「召喚獣で一番デカいのってどのくらい?」

「あれと同じくらいのはいる。」

じゃ、問題ないな。後は僕の精神力がどこまで耐えられるか。

僕は馬車の外に出て、怪鳥と対峙し指輪を翳した。

『精霊王よ、封印したければ封印の谷で私を倒せ。』

僕は頷いた。

『では、その挑戦受けて立つ。封印の谷で待つぞ。』

怪鳥は、飛び立って行った。

僕は、馬車に戻ると早速ミオに怒られた。

「あんなのに勝てるわけないでしょ!何やってるの?!」

ジルとサラは僕を見て困ってるみたいだ。

「ジルとサラの召喚獣でなんとかできるよ。」

「そうなの?」

ミオは、ジルとサラに目を向けたがジルとサラは僕を凄い目で一瞬見た。

「約束は、出来ないが多分勝算はある。」

と、ジルは顔を引きつらせて言った。

ミオはちょっと安心した表情で座り込んだ。

その夜というか夜中、ジルに呼ばれ上に上がった。

「どういうつもりだ。」

「なにが?」

ジルが苛つきながら、

「俺に勝てるなんて言わせるな!」

僕は、目を瞑って 

「あ〜。それか。」

「いきなり、現実見せるの酷だからね。」

ジルは、僕の目を見て、

「いつまで誤魔化せるものじゃないぞ」

「まぁ今回である程度分かるんじゃないかな、僕も覚悟はしてるよ。」

ジルとの話は、取り敢えずこれで終わった。

朝起きると、山の麓まで来ていた。

上に上がると、ジルとサラが荷造りをしていた。

「この山は馬車では無理だから徒歩でいく。荷物は最低限で平気だ。お前等は手ぶらで大丈夫だ。」

僕等5人は、怪鳥の待つ谷へ行くことにした。

2時間程登ると、怪鳥が待つ谷が見えた。

改めてみるとデカいなの一言に尽きる。

谷に降り立ち、怪鳥と対峙した。

『逃げずにきたようだな、精霊王!』

「頼む!ジル・サラ!」

ジルは地面に手を当てサラが呪文を発動させた。

「召喚術!」

巨大な召喚獣「キュプロクス」が召喚された。

『キュプロクス程度で我に勝てると思うのか?精霊王よ、眼力が落ちたか?』

僕は両手を地に付け、黒い感情を増大させた。

ジルが、全員に声を掛ける。

「こっ、これはヤバい奴だ。全員壁際に退避して自分の身を守れ。」

うっ、ヤバい。肩がもげる、手足の感覚がない、意識だけは失わない様にしないと。

僕の顔は黒く変色しているみたいだ。

フラフラだが、ここまで魔の気を溜めたんだここで倒れるわけに行かない。

「やだ!やだよ。コースケの片腕が無くなってる左足首もないよ。死んじゃうよ…ジル・サラ助けて。」

ジルは首を横に振って、

「これが奴の作戦だ。」

「そ、そんな。」

僕は召喚獣『キュプロクス』と同化した。

魔の気を纏ったキュプロクスは、攻撃力を増大させ、我を失った様に攻撃し、怪鳥は、頭を潰された。

怪鳥は飛び立とうとするが、キュプロクスは頸を掴み地面に叩きつける。

キュプロクスは怪鳥にトドメ刺そうと胴を殴り続ける。

「え、遠慮がなさ過ぎる。怪鳥やられちまう。」

怪鳥は意識朦朧の中、

『ま、参った。認めよう精霊王よ。』

しかし、攻撃が止まらない。

ジルが頸を振る。

「ダメだ。制御不能になってる。」

ミオの震えが止まらない。

「こんなの…こんなの、コースケじゃないよ!」

ミオが激昂して、ルシーナに掴みかかる。

「助けてよ。ルシーナ!精霊王にずっと仕えてたんでしょ!何とかしてよ…コースケいなくなっちゃうよ…。」

「すまん。なんともならん。」

「コースケ!!帰って来なさいよ!!」

キュプロクスの動きが止まり、今度は自分の首を締め上げている。

「ひょっとしたら、自我が戻ってるかもしれない。」

怪鳥は、吐血しながら頸を振って、

『とんでもない、精霊王だな。』

『おい、陽の精霊王、ミオとか言ったな、あのバカを助けるぞ。』

「え?はい。」

ミオはびっくりして、怪鳥の元へ走って行った。

『奴の事だけ考え祈れ、後はなんとかする。』

ミオが祈りだすと、辺り一面が神々しい光で覆われた。

「まっ眩しい。みんな伏せろ、目を開けるな目がつぶれるぞ!」

キュプロクスは、真っ二つに裂け、その中からコースケが現れた。

「こ、コースケ!」

ミオは、コースケを抱きしめ、大粒の涙をながして

「コースケが帰って来た、ありがとう。とりさん」

『とりさん…ま、いいか。』

僕は、ミオの泣き声でうっすらと意識を戻した。

「ゴメン、ミオ。やっぱり、君がいないと僕は何もできないみたいだ。」

「こっ、今度こんな事やったら、殴るよ。」

バキ。

「あ〜、殴ったな。トドメ刺したんじゃないか?」

ルシーナがスタスタ歩いていき、コースケの目を確認して、

「心配ない、気絶してるだけだ。ま、けが人には手加減したほうがいいぞ。」

ルシーナがジル達のところに戻ると、ジルが

「お前、ひょっとして医者か?」

「失礼な。ひょっとじゃなく正真正銘の名医だ!」

ジルはため息をつくと、ミオ達の方に歩いて行った。

「腕なくなったからな、代わりだ。」

ジルが召喚獣の腕をコースケの肩に付けると、

「行くぞ。」

召喚獣の腕が動き出し、コースケの腕と融合した。

「この召喚獣は、再生力が化け物だから何回ぶっ壊しても平気だぜ。」

ジルは、コースケを背負うと、

「さぁ、先に行くぞ。早くしないと日が暮れる。」

サラ、ルシーナ、ミオは怪鳥に乗って移動した。

封印の遺跡の前でコースケが目覚めるのを全員で待つことにした。

「なんか、とりさん大きくて話づらいね。」

ミオが呟いた。

「そんなのしょうがない…。」

『スマン、気が付かなかった。これでいいかな。』

怪鳥が小鳥サイズまで縮小した。

「まじか…。」

ジルは、あの怪鳥がここまで手懐けられるとは信じられなかった。

「最初からこうしてくれれば良かったのに。」

ミオは、ちょっと怒り気味で言ったが、

『あれは、古から伝わる試練、不可避だ…が、このバカは、余りに無謀だ、この先が心配でならない。』

ジルは怪鳥を睨みつけ、

「あ〜でもしないと勝てなかったんじゃないか?」

怪鳥は、頸を振り、

『修練をして技術を身に着ければ、可能だ…しかし、陽の力は歴代精霊王の中でも桁外れだ、制御する技術を身につけないといけない。』

「コースケさんはダメなんですか?」

サラが素朴な疑問をぶつけてみた。

『ダメというわけではないが、あのバカは己の力量を知らないとダメだ。今のところは陰の精霊王としては失格だ。』

ジルが不思議そうに聞いた。

「体張ったんだから良しじゃないんだ。」

『陰の精霊王には知の力が求められるが、此奴は今のところ皆無だ。』

サラが顔を引きつらせて、

「厳しいですね。」

ミオが難しい顔をして、悩んでいるのでジルが声を掛けた。

「どうした?なにかあるのか?」

「う〜ん。いつまでも『とりさん』じゃ駄目だよね、なんかいい名前ないかな〜。」

俺がバカだったよ、真面目に聞くんじゃなかった。

「そうですね〜、ファイヤーバードだとながいですよね。」

と、サラがミオに便乗した。

コースケの様子を見ていたルシーナが、

「おい、そろそろ目を覚ましそうだ。」

コースケが目を開けると全員と目があった。

「あっ。みんな無事だったみたいだ。良かったよ。」

ルシーナは頭を抱え、

「人のことより自分のことを見たほうが良いぞ。」 

「あ、あれ?腕が…、あるね。足首も。」

ルシーナは呆れて、

「馬鹿につける薬はないな。腕はジル、足はミオが再生してくれたのだ、ちゃんと礼をしとけ馬鹿者。」

コースケは、頭を掻きながら、

「みんなに迷惑かけちゃったみたいでゴメン。」

サラが何か思いついたように、コースケに声を掛けた。

「そうだ!コースケさんに決めてもらいましょう、この子の名前を。」

コースケは、小鳥をよく見て、

「ブサイクな奴だな。チキンと言いたいところだがチキでいいんじゃないか?」

「チキ…チキかいいかも。チキ、よろしくね。」 

と言ってミオがニコッとわらった。

『ま、解せないが、良しとするか。』

「え?しゃべったよ。こいつ。」

コースケは、目を白黒させて、ビックリしていた。

「怪鳥さんなんだよ、チキは。」

「小さくなるんだ…、ずっと小さくしておいたほうが良さそうだ。」

『その言葉覚えておくぞ。』

そう言ってチキが遺跡の中へ入っていった。

コースケ達もチキに続いて行った。

中はあまりにシンプルだった。

祭壇と呼べないような、小さな段差に小さい器が置いてあるだけだった。

『これ?って本当に封印の遺跡なの?』

『贄を置けば分かる。ほれ、貴様の左足首だ。』

チキは、どこからともなく僕の失った足首を取り出し僕に放り投げた。

自分の足首を持つのはなんとも違和感があったが、

僕はその足首を小さい皿の様な器に置いた。

置いた瞬間足首から大量の血が流れ始めたが、その血を皿がグイグイ飲み込んでいった。

すると、室内が一変し、豪華な装飾な飾られた部屋になった。

貧相な皿も、豪華な盃に変貌していた。

「コースケ、あの皿凄いよ。」

「なんだろ、ちょっと友達にはなれそうにないタイプ名気がする。」

『馬鹿言ってないで、封印を始めるぞ。二人とも背中合わせに盃の前に座れ。』

チキに言われるがままに、ミオと僕は背中合わせに

座った。

『指輪を額にあて、封印することだけ考え祈れ。』

僕は言われた通りに祈ると体軽くなる感じになって

次の瞬間辺りが真っ暗になった。

ジルが慌てて、

「おい、2人とも消えたぞ!どういうことだ?」

『う〜ん。ま、そうだろうな。封印前にちょっと話があるから呼ばれたんじゃないかな?』

サラが怪訝な表情で聞いた。

「誰から呼ばれたんですか?」

『わたしの主だ。』

気がつけば、真っ暗な闇の中にいた。

人の気配はない。

みんなはどこに行ったんだろう。

「お〜い、ミオ。お〜い、ミオ。」

返事がない。

僕だけ、飛ばされたのかな。

「おじさん!趣味の悪いことしないで、要件だけ済まして私達を帰してよ!」

ミオが男に怒りをぶちまけていた。

『おじさんではない。八大精霊のファイアだと言ったろ、あの男はこのまま行かせるわけにはいかない。魔の気を背負い込みすぎた。このままでは早かれ遅かれ、魔に取り込まれる。』

「で、なんでみてるだけなの?」

『まぁ、見てれば分かる。』

僕は取り敢えず、前進してみることにした。

前に進んでいるはずなのに、進んでいる感じがしない。

闇が深すぎて自分の足すら見えないなんてあるのか?触ろうとしたら足がない。

そりゃ、前に進まないはずだ。

足がなきゃ這って行けばいい。

でも進まない…手も無いのか…僕にはなにがあるんだ。

「大丈夫。僕には誰もいなくても、ミオがいる。」

「ほら、手も足も戻って来た。」

『ほう。幻覚の魔には自力で勝ったか。次はどうかな。』

ようやく自由に動ける様になったけど、なんだったんだろう。

なんか、息苦しくなってきた。

立てない、意識が…クソッ。

「ナイフがあって助かったか。」

僕は腹部にナイフを突き刺しなんとか、意識を保てた。

第二段がきたか、次はどこを刺すか、太腿がいいか

ふくらはぎか?それとも眼球か?

体から何かが抜けたみたいだ…めっちゃ疲れて、めっちゃ痛い…助けて…。

「…助けて…ミオ。」

ミオが、ファイアに掴みかかって、

「もういいでしょ!これ以上やるなら私がお前を殺る。」

ファイアは首を横に振って、

「わかった。大人しく封印されてやる、あの馬鹿者に言っておけ、魔の誘惑に簡単に乗るなとな。」

「出口はどこ?」

「お前の歩いたところが出口となる、迷うことはない、さぁ行け。」

「なに言ってんの、意味わかんない。」

ミオは、反転して、コースケのいるところへ走って行った。

「コースケ!コースケ!死んじゃダメだよ。いま回復するから。」

「ゴメン。また、迷惑かけたね。」

「余計なことはいいから。」

ミオは全力で回復術で治療し、その場に倒れ込んでしまった。

いつの間にか、ミオとコースケは元の封印の遺跡に戻っていた。

2人が出現するとジルが慌てて、

「ルシーナ!2人の容体を確認だ。」

「はいはい。人遣いが荒いんだよ。」

ルシーナは、ミオ、コースケの順に診た。

「ミオは、術の使い過ぎの疲労、コースケは出血したのかね、その疲労みたいだね。今は傷も塞がっているから問題なし。」

ジルは一息ついて、

「全く、こいつらは心配かけるよな。」

遺跡の外に出るとチキにコースケとミオを馬車まで運ぶようにジルが説得した。

基本的には快諾したが、『お前の命令じゃない、お願いで行くんだ。それを忘れるな』と、捨て台詞を吐いてコースケとミオを運んで行った。

ルシーナがジルに、

「次はどうするんだ。あてはあるのか?」

「わからんが、例の如く扉がウロウロしてるぜ、きっと。」

「意味がわからんが、もう少し戦力と作戦を練らないとあの2人がつぶれるぞ。だいたい精霊王自らボロボロになるまで闘うなんてナンセンスだ。」

ジルは肩を竦めて、下山した。

馬車まで戻るとチキが待っていた。

「おい、チキ。2人は?」

『…馬車の中に運んだ。』

「さ、俺達も今日は寝ようぜ。」

ジル達も馬車の中に入り、休むことにした。

僕が翌朝起きると、チキが目の前にいた。

「あ、おはよう…。ひょっとずっといた?」

『そこまで暇じゃない。』

「あ〜、良かった。で、なんだろう?」

『これからは、お前の手足となる、この前の戦いの様な真似はやめろ。私を使え。』

僕はため息をついて、

「なんか、みんなから言われたんだけど、そんなにダメだったかな?」

『無謀という言葉を知っているか?』

「無謀かな?」

『魔のリスクを考えてない…力だけでは戦いにはならない、私だけでなく仲間の力も借りることだ。』

いつの間にか、ルシーナが入ってきていて、

「その考えには賛同する。お前は全部自分でやり切ろうとする傾向がある。ま、私は戦闘には役に立たないがな。」

「ルシーナ…。」

『あの2人を有効利用することだ。』

「ジルとサラか。」

『妹の方は、ほぼ全ての魔術に適性がある、兄の方は召喚術のレベルは相当なものだ。陽の精霊王は言うまでもない。』

「わっ、わかったよ。これからは、皆んなに協力をお願いするよ。」

チキは、コースケをするどく睨み、

『自己犠牲は何も産まない、失うだけだ。』

「わかったって。もうしません。」

いつの間にか、全員集まって僕を取り囲んでいた。

「はい。二度と独断で考えたり行動したりしません。本当にゴメン。」

その後は、みんなで上に上がって朝食を食べた。

ジルが朝食を食べた後に、

「この後はどうするんだ?」

と、聞いてきたがちょっと考えて

「う〜ん。ミッションは終了したから、次にはいけるはずだけど、その前に精霊の森の長に会っておきたいんだ。」

「わかった、取り敢えず精霊の森に向かうぜ。」

ジルは馬たちにムチを振るい、馬車を出発させた。

僕はミオとサラのところに行き、チキの言っていたことを確認した。

「あのさ、チキがサラには殆の魔術が使える適性があるっていうんだけど…どうなのかな?」

サラは照れながら、

「いや〜、そんな、そんなですよ。褒めすぎですよ。確かに初級魔術は使うますけど、それ以上は…。」

「出来なかったのか?」

「いえ、知ってる人がいなかったので、それっきりです。」

まじか、隠れた天才の可能生か。

知ってる奴…、ここにはいないな…精霊の森にいけばいるかも。

丁度いい、聞いてみよう。

「これから行く、精霊の森の長に聞いてみよう。」

小一時間すると、精霊の森が見えてきた。

僕等の馬車が精霊の森の前まで来ると、森から沢山の精霊が出て来て迎えてくれた。

以前来た時とは、大違いだ。

前回は門番しか居なかったが今回は長自ら出迎えてくれた。

「良く無事戻ってきた。素晴らしい、流石は精霊王様だ。」

コースケは頭を掻きながら、

「いや〜、全然無事じゃなくて。ほら腕がね、無くなっちゃってこれ代わりにつけたんだよ。」

ミオが、コースケに乗っかりながら、

「ほーんと。大変だったんだから、チキと戦ったり八大精霊のなんとかは出てくるし。」

長は身を乗り出し、

「な、なんと八大精霊様にあったのですか?」

「う、うん。」

「八大精霊様はなんといわれましたか?」

「コースケのところを馬鹿者っていってた。」

どいつも、こいつも…人のことバカ呼ばわりしやがって。

「ほう。気に入られたようですな。それは良かったです。」

僕は会ってないんでね、どうなんだろうね。

「こいつが、怪鳥こと、チキだよ。」

長は目を丸くし、

「ほ、本当に手懐けたのですね…素晴らしい。」

僕は頭を掻きながら、

「そんなに懐いてないけどね。」

そんな感じで雑談を小一時間したところで、

長が僕が目的を忘れているのを見抜いたのか、

「今日は、どういったどうなされましたかな?」

と、言ってきた。

「そうでした、今日は御礼と聞きたいことがあって。」

と、照れながら言った。

「聞きたいこと?なんでしょうか?」

「仲間の中で魔術の特性が、わからない者がいまして、どれくらいの特性があるのかしらべたいのですが?」

長は快諾してくれ、

「わかりました、魔術に精通したしたものを連れてきましょう。」

長が連れて来たのは年配のエルフの様だった。

「で、どちら様かな?魔術を知りたいのは?」

僕はサラを前に出して、

「この子です。」

年配のエルフは、手を翳し軽く微笑んだ。

「お人が悪い、私を試したのかな。全魔力を抑え込んでますね、しかも、微量に漏れる程度にまでコントロールして。」

「そうなのか?サラ?」

「いや、私そんなこと出来ません。」

と、サラは緊張した面持ちで言った。

年配のエルフは、サラをじっと見て何かに気がついた。

「これは?」

と、サラの前髪を上げて聞いた。

「これは、村のおまじないです。これがあればわるいことに巻き込まれないって。」

年配のエルフはため息をついて、

「まぁ、嘘じゃないけど今の貴方にはこれは不要だね。」

年配のエルフは、そのまじないの紋章を打ち消した。

サラの姿が一変した。

「エルフ?」

「やっぱり、同族だね。長、私はこの子に術をおしえるから、精霊王と旅に出るよ。私の最期の仕事だ。」

場の雰囲気としては、殆の魔術に適性があるんだろうけど、一応聞いておこう。

「あ、それで、結果は?」

「聞きたいかい?」

「それは、まぁ。」

「後のお楽しみだね。」

「…。」

困ったババアだな。

「ま、最低限あんたの期待には応えるよ。」

「そうですか、ありがとうございます。」

僕は、長の所に行き、

「色々と助かりました。これからどこへ行くかはわかりませんが、先に行こうと思います。」

長は頷き、

「ま、余り無理はしない様にな。近くに来たらまた寄って下され。」

「ありがとうございます、では行きます。」

僕達は馬車に乗って、出発した。

「サラちゃんだったかね。」

エルフの婆さんが、サラに優しく声を掛けた。

「はい。」

サラはまだちょっと緊張しているようだ。

「私のことはミラ婆とでも呼んでおくれ。」

「ありがとうございます。」

サラはぺこりと頭を下げた。

ルシーナが、

「でも、どこで寝るの。流石におばあちゃんをここに寝かすわけにいかないでしょ。」

「大丈夫、私はサラちゃんと寝るから。ね。」

「は、はい。」

馬車を走らせていた、ジルが

「ババア、なに言ってんだ。サラはオレと寝てるんだぞ。」

「ガキは、黙ってな。」

「クソババア、いつか葬ってやる。」

ジルはイライラしながら手綱を操っていた。

「おい、いつものがいたぜ。」

僕も、ジルの横で確認した。

「ちょっと、怒ってるみたいだね。」

「ああ、寄り道したからじゃないか?」

ドアが怒りながら馬車に近づいてきた。

『あのね、寄り道するなら言ってよ、見捨てて、どこかにいったのかと思ったよ!!』

次の瞬間、ドアに覆われ別の場所へ移動した。

そこは、辺り一面が海だった。


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