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異世界放浪 〜僕の家って何処ですか?〜  作者: 礫(レキ)
第1章 地上編
3/53

人助けって感謝されるって本当ですか?

熱風が、馬車の中を吹き抜ける。

酒場まで着ていた防寒具を脱ぎ捨て、下着同然の姿になってもやたら暑い。

「おい、ここはどこなんだ。」

ジルは僕を睨みつけて言ったが、それはお門違いだ。

僕なんて、毎回わけのわからないところに飛ばされ、わけの分からない司令をこなしているんだから。

「さぁ。人を見つけて聞くしかないよ。」

「うだうだ行ってないで、この山下りないと暑いに決まってるでしょ、あっちこっちで噴火してるんだから。」

ミオがキレ気味でジルに指示した。

ようやく麓まで降りてきたので、馬車から降りると、例の紙切れが漂っていた。

紙切れには、こう書いてあった。

『無償の人助けをしろ。 大地の封印を行え。』

「はぁ。今回は2つか。ひょっとして毎回増える…なんか難易度あがってないかな?」

紙切れをミオに渡した。

「ひっ、人助け?いや〜苦手分野だね。しかも無償でしょ、ありえな〜い。」

ジルとサラは紙切れをマジマジと見て、

「それどころじゃない、大地の封印の方が大事だ。どうやって封印する気だ、精霊師はいないんだぞ。」

ミオは、2人を指差したが、2人は激しく首を横に振り、

「解除は出来るけど、封印は出来ないって言っただろ!」

と、ジルは拒否した。

「取り敢えず、街に行って情報を集めよう。」

僕等は、再び馬車に乗込み街を目指した。

大きなお城が見えるから多分城下町的なものがあるはずという考えで街を目指している。

が、その考えが甘いということを数分後思い知らされた。

僕は、街に着くまでの間、イッポンの図書館で貰った本の翻訳をすることにした。

本を開くと、

『この本を読む僕へ。これから起こることを記す、良く考え、悩み行動してくれ。』

って、…未来日記?今日はこの辺に止めておくか。

嫌な予感しかしない。

馬が急に歩みを止めた。

ジルが何回ムチを振るっても効果がない。

仕方がないので、ジルと一緒に馬車を降りると、

姿は見えないが何やら気配がする。

「う〜ん。何かいるみたいだね。ジル、なにかわかる?」

ジルは持っていた液体を振りかけると、屈強の戦士が槍と斧を持って立っていた。

「うぉっと。これじゃ進めないわけだ。」

「この先は、恐らく精霊の森だ。こいつら門番だな。許可がないと通れないぞ。」

と、ジルは肩を竦めて言った。

「一旦、馬車に戻って考えよう。」

僕達が馬車にもどると、

「どうだった?」

ミオが興味深そうに聞いてきた。

「精霊の怖そうな門番がいたよ。」

「通してくれなそうだから、どうしようかと思って。」

考え込んで、馬車の天井を見上げると、指輪がぼんやり光っているように見える。

何で光ってるのかな…これって精霊に貰ったんだっけ。

「あっ!この指輪使えないかな。ミオ、行ってみよう。」

馬車から降りると、ジルの液体の効果は切れているみたいだ、また見えなくなっている。

「うわっ。睨んでるよコースケ。怖っ。」

「ミオ、見えるの?」

ミオは嫌そうな顔で、

「見えない方がいいよ。」

2人で門番のところまで行き、指輪を翳した。

…。

「あれ?ダメ?」

門番は微動だにしない。

森の奥から年配の女性らしい人が歩いてきて、手で開くような仕草をすると門番達は馬車の前から離れ、道を開けてくれた。

「精霊王よ、無礼をお赦しください。我等の村にようこそ。どうぞこちらへ。」

「あ〜、馬車でいいですか?」

「従者(家来)がいるのですね、本来は駄目ですが王の従者は特例です。」

従者?仲間って捉えていいのかな?まぁいいか。

僕等は、森の奥の村まで入って行った。

驚いたのは、精霊っていうと色々な種類がいるのは知ってたけどみんなごちゃ混ぜで暮らしているんだ。

ただ、人間は嫌われているというのが、彼らの視線から痛いほど分かった。

「王よ、我らの長に会って頂きます。」

「あ、貴方が長ではないんですね。」

「私は、長の執事です。」

一際大きい建物に案内され、その奥にいるのが長っぽいが直立不動で立っているどうしたんだろう。

僕等が近づくと、跪き、

「王よ、我が村によく来てくださいました。」

「いやいや、そんな。」

と、僕が言うと顔を引きつらせていたので

「あ〜、ゴメンなさい。僕じゃなくてミオですよね。」

ミオを前に出すとにこやかになったので、精霊王というのは、ミオらしい。

そう言ってくれないと、わからないんだから、言ってほしいんだけど。

「これこれ、影を困らずでない。」

奥から恰幅がいい、年配の男が出てきた。

「申し訳ない。妻が粗相をした様で。」

「こちらは?」

僕が執事の女性に聞くと、

「こちらが、長です。」

「そ、そうでしたか。」

もう、どうでもいいけどね。

長は僕を見ながら、

「ちょっと話をしたほうが良さそうですな。」

長はその場で腰掛け、話始めた。

「精霊王とは、陰陽一体というのは御存知かな?」

「いえ、初耳です。」

「陽とは、光、大地、炎、風を統べるもの、陰とは、水、闇、呪を統べるもの。陰陽一体となりて、世界を統べる…が太古からの言い伝えなのです。」

「しかし、僕は異世界から来たものですし…。」

「陰は例外なく異世界人と決まってるのです。貴方様は偶然ではなく、必然でここにおるのです。」

「いや、しかし。あれは、暇だからブラっと来ただけで。」

「それは、そう運命づくられたものではないかと思います。陽を導くのも陰の務め、その先に何があろうとも。」

この時点で長の話を聞いているのは僕だけだった、他の3人は出された食事を貪る様に食べていた。

「それは…、僕に良くないことが起きるということですか?」

「君は強いからな…なにがあっても平気だろうが、心配は陽じゃ。君に何かあった時どうなるか…、あの子が暴走したらこの世は破滅する。それだけは避けなければ。」

なるほど、ミオは相当な潜在能力はあるがそれを制御する精神力も相当必要だし、力を暴走させないようにしっかりサポートが必要ってことだろうな。

「僕に出来ることをやっていきます。」

ぼくには、それしか言うことが出来なかった。

長は大きく頷き、

「この後は、どうなされるつもりですか?」

僕は頭を掻きながら、

「あてはないのですが、人助けをしないといけなくって…。この先に大きな街があるみたいなのでそこに行けば、誰か困った人いるかなって思いまして。」

長は、ニコッと笑い、

「運に任せて行動するのもまた良いかと思います、今日はゆっくりされて、明日、王都に行ける様に準備させます。」

「ありがとうございます。」

僕は頭を下げ、御礼をした後みんなのところへ戻った。

「ジジイは話が長いみたいだね。」

ミオは、長の心配をよそに失礼なことを言っている。 

「大事な話だったよ。明日にはここを出て、この先の街に行ける様にしてくれるって。」

ミオはニコッとして、

「話せるジジイでよかったね。」

僕は、顔を引きつらせて、

「言葉遣い…。」

ここまで案内してくれた執事の女性がきて、

「宿の手配が出来ましたので、こちらへどうぞ。」

僕らが案内された宿は最高級の宿の様で2人で過ごすのは広すぎた。

「ね〜、コースケ。話が美味すぎない?なんか企んでいるのかな?」

「いや、そういうわけではないと思うよ。」

僕等は、今までの旅の疲れを取ることが出来快適な一晩を過ごすことが出来た。

が、次の朝に状況が一変した。

朝起きたら、そこに困った顔の長がいた。

「どうなされました?」

「ミオ王に聞きましたが、大地の封印をなさるというのは本当ですか?」

「あ、そういうことらしいですが何か問題ですか?」

長は頭を抱えて、

「封印の前に怪鳥をなんとかしないといけません、いきなり試練なんですが…大丈夫ですか?死なれると困るんですよ。」

「あと、封印には贄が必要ですが理解してますか?

「贄ですか?」

「生きてる、王の一部を差し出す必要があります。」

「髪の毛とか爪は駄目ですよね?」

長は大きく頷く。

「仕方ない。しょうがないですよ。」

僕はもうボロボロになるしか無いと心に決めた。

部屋を出ると、ミオが大騒ぎをしている。

「どうしたのミオ?」

「あ、コースケ!みんなが封印なんか危険だからやめろって言うんだよ。」

「あー、そのことなら長と話しつけたから平気だよ。」

ミオはその話をすると不機嫌になった。

そろそろ出発だというのに、一言も口を聞いてくれない。

「どうしたのミオ、もう出発するって言ってるのに。行きたくないの?ここに残る?」

ミオは凄い顔をして、僕を睨みつけた。

「私がコースケと一緒に居たくないわけないでしょ!でも、全部1人で決めて1人で背負って…どこか行かないで。」

そっか。疎外感を感じさせてしまったか。

「ゴメン。説明が足らなかったね。馬車の中で説明するよ。みんな待っている行こう。」

ミオはやっと機嫌を直して、僕とみんなの待つ馬車に合流することが出来た。

「あ、ミオさん。大丈夫ですか?」

「ゴメン、ゴメン。大丈夫。」

「ほら、行くぞ。」

ジルが馬にムチを振るうと馬車が動き始めた。

僕はまず、昨日の話を掻い摘んで話した。

「精霊王は、陰陽で成り立っていると言う話でミオは陽、僕は陰でミオの力は強過ぎて制御が難しいから僕のサポートが必要だと言う話だったよ。」

ミオはふ〜んという感じだったが、サラとジルは明らかに顔が青ざめていて、何かを知っているようだった。

後で話をしないといけなさそうだ。

「今日の話は封印の話だね。なんでも封印の前に怪鳥をどうにか手懐けないと封印の場所まで行けないみたいなんだ。」

「かっ、怪鳥?」

「そっ、怪鳥。火を噴くらしい。」

「その後に、封印するんだけど、その時に贄が必要で贄は精霊王の一部でないといけない。」

「ど、どういうこと?精霊王の一部って私達の肉体の一部を差し出せってこと?」

「ま、そういうことだね。術の完成度を考えると僕の肉体の一部を差し出すのが妥当なんだけど、痛いの嫌いだからミオとサラで回復よろしくね。」

ミオが僕を睨んで、

「貴方はなんでそこまでするの?!」

「ミオにさせるわけにはいかない。僕の大事なものは誰にも壊させない。」

ミオは俯いて黙ってしまった。

少し顔が赤いような気もする。

馬車を飛ばしたが、街までは意外と遠く、その日のうちには着かなかった。

その日の夜、ミオが寝ついたあと、僕は1人起き上がり上に行き、ジルとサラと話すことにした。

口火を切ったのは、ジルだった。

「コースケ、お前人間をやめる気か?」

いきなりきたな。

首を振って、

「そんなつもりはないよ、なんとかなるよ。」

「でも、陰の精霊王は悪魔そのものでしょ!」

サラが厳しく問い詰める。

「僕はならない。言い伝えがどうであるかは知らないが、僕は悪魔にはならない。」

「怪鳥には、どう挑む気だ?」

「召喚術を使ってくれ、召喚獣と同化して戦う。」

「馬鹿いうな。同化は簡単だが分離は至難の技だ、無理だ。」

「精霊王なら可能だ。僕にはその絵が浮かんでいる。」

「ミオが、錯乱したらどうする?それで全て終わるぞ。」

「君達が平然としていれば何の問題もない。」

「俺達に、ミオに嘘をつけと言っているのか?」

「嘘ではない。僕は大丈夫と言っているんだからそのまま、動揺しないで伝えればいいんだ。」

サラとジルは黙ってしまった。

ちょっと厳しくいいすぎたかな。

「万が一ですよ、コースケさんに何かあったらどうするんですか?」

「絶対に僕を死なすな、ミオのため、世界のために。どんな形になっても、僕は構わない。」

「キマイラみたいになってもか?」

ジルが意地悪そうにいったので、

「望むところだ。」

と笑って言った。

僕等は話を終えて、休むことにした。

次の日、起きると既に馬車は動いていた。

ミオは未だ寝ている様なのて、起こさない様に上に上がった。

いつもの様にサラが朝食を用意してくれていた。

「サラ、いつもありがとう。」

「いいえ、私はこれしかやってないので。」

「そろそろ着くのかな?」

「そうですね。城門が見えてきたので、もうすぐですね。」

馬車が止まって、通行証をみせているみたいなので、もうすぐ街に入れそうだ。

通行証は、精霊の長から貰ったものだ、非常にたすかる。

街に入るとミオが起きてきて、キョロキョロ外を見ている。

「コースケ、すごいよ。色々なお店がいっぱいある。」

僕は咳払いをして、

「まずは、目的の人助けするひとを見つけよう。」

僕等は、ジルを留守番にして、人助けする人を探しに出た。

しかし、人助けする人を探すって変な話だよな。

普通、その場で困っているのを助けるのが人助けだよな。

探すって…人助け?なのか?

目の前で、貴族っぽい人が商人を怒鳴りつけている、これはまた絵に書いたような困った人が人助けを必要としているシチュエーションだな。

仕方無いから声を掛けてやるか。

「あ〜、すみません。困っているみたいなので、その辺にしておいたら?」

「バカモノ!困っているのは私だ!借金のカタに屋敷と全財産を没収され、今は着ている服もすべて差し出せというのだぞ!これで怒らぬ者がいるのか!」

貴族の少女は僕に涙いっぱいの目で訴えてきた。

「あ〜、商人の人。あまり阿漕なことはやめた方がいい、身ぐるみを剥ぐというのは見過ごせないよ。」

「じゃ、アンタが肩代わりしてくれるのか?」

そうきたか、面倒だけど人助けだから少し深入りするか。

僕はため息をついて、

「ま、それは簡単かも知れないけど、そもそも借金ってそんなにあるの?証拠見せてくれない?この子が肩代わりしなきゃいけない証拠も合せて出してね。」

商人は、突然ドギマギしはじめて、手元にある紙をだそうか躊躇していた。

僕はそれを見て、紙を剥ぎ取った。

「ここに書いてある人の名前知ってる?」

「それはお祖父様だ。」

「これは?」

「お父様だ。」

なるほど、ま、よくあるパターンか。

「君、家督は継いでる?」

「継ぐ前に父が亡くなった。」

「兄弟は?」

「私1人だ。」

「自動的に継いじゃうのはいいとして、本物かどうかと資産価値と借金が合うかとそもそも借金が本物かどうかというところか。」

「商人さん、僕と僕の仲間が手伝って、仮に虚偽だった場合はそれなりに請求するけど大丈夫?この借金の10倍は軽く貰うよ。」

商人は青ざめて逃げて行った。

「っと、いうことで一件落着だね。それじゃ。」

僕は、シャツを掴まれるとともにミオの強烈な怒りに晒されることになった。

「コースケ!また、女の子に手を出してる!!」

またってなんだよ。そんなことしたことないぞ。

「聞いて、人助けだって。でも終わって一件落着。」

ミオは疑念の目を僕に向け続ける。 

「まだだ。私は屋敷と土地を取り返さないといけないついて来てくれ。」 

仕方なく僕等は、貴族の少女の後について行った。

屋敷は、業者らしき者たちが荷物を運び出していた。

泥棒もここまで大規模にやれば、大掛かりな引っ越しにしか見えないな。

僕は、そこの作業者の責任者を呼んで貰った。

そういえは、元の世界じゃ僕はこんな交渉どころか人と話すことも出来なかったのにいつの間にこんなことが自然に出来る様になったんだろう。

厳つい責任者が出てきたが、差し押さえするなら証拠とさっきの話をしたら、突然青ざめて逃げて行った。

「これで屋敷は大丈夫だね。土地は誰に取られたの?」

「国だ。税が未納だとかで取られた。」

…。それは、仕方ないんじゃ。

「いや〜、流石に国はね。」

「駄目だ。私は良くても領民が困る。」

ご立派な領主様だ。

「じゃ、何処へ行けばいいのかな?」

「税務官のところだ。」

税務官は苦虫を潰した様な顔で僕等を見た。

どうせ、面倒な奴等が来た程度に思ってるのかな?

「要件は?」

「土地を返してくれ。」

「昨日も言ったよね、税が未納だって。」

ミオがチラっと僕を見る、サラは睨んでくる…わかったよ。

「あ〜、帳簿見せて頂いていいですか?」

税務官の眉がピクっと動いた。

帳簿をみると、未納は見当たらなかった。

「何処が未納なんですか?」

「ここだよ。」

指を差した場所は、最近の場所で戦役免除税と書かれてる。

「なんです?これ?」

「男子が戦役に出ない場合は、国に税を収めるんだ。」

「男子って?」

「いるんじゃないの10歳以上の男子が…、こっちは戸籍に基づいて徴収しているだけなんだよ」

貴族の女の子をみんなで見る。

「…、実は男?」

「そんな訳、あるか!!父上の願望だ。10歳前には変更しておくと言っていたのを忘れたのだろう。」

「…っということで。不法徴収になるので早目に現状回復したほうがいいですよ。」

僕等は税務官事務所から屋敷の方に戻ると使用人たちが荷物を屋敷に戻していた。

執事らしき人が駆け寄ってきた。

「お嬢様。全て元通りになったことお聞きしました。ありがとうございます。」

「殆ど、この者どものお陰だ。」

「そうですか。一同、感謝します。」

「私は感謝などせぬぞ。あたりまえだ。この私の苦境を助けるのは当然出会って感謝するものではない。」

僕とミオとサラは呆気に取られた。

「あっ、そうですよね。失礼しました。」

いまひとつ納得出来ないものがありつつ、僕等は帰ろうとした。

「待て!お前等は何処へ行く?」

「そんなのあなたに関係ないわ!」

ミオがちょっと怒り気味で言った。

「関係はある。私は、お前等が気に入った。今からお前達は私の家来だ。」

ミオの拙い堪忍袋の緒が切れる音が聞こえた気がした。

「だ、誰がお前の家来だって?!」

「おい!お前の妻は教育がなってないな、私に口答えするなんて。」

…。これは、どうやって事態を収拾すればいいんだ?

「いや〜。家来ってのはあれだけど、どうしても一緒に来たいっていうならしかたないな。」

「お嬢様は一緒に来たいの?危ないけどね。」

まず確認しないとな。

「だから、どこに行くんだと聞いている。」

「ほら飛んでるだろ、火山の近くに赤い鳥が。あの鳥が守っている封印があると思うのでそこまで行く。」

「だが、あの封印は解かれてる、あの怪鳥が飛び回っているのが証拠だ。」

「封印しに行くんだよ。」

貴族の少女は鼻で笑って、

「あの封印は、誰でもできるわけじゃない。精霊王のみがなし得ることだ。」

どうだまいったかという表情だが、

「だから、その精霊王です。僕等が。」

貴族の少女は態度を一変し、

「数々の御無礼、お赦し下さい。我家は代々精霊王に仕えし一族。是非、御同行させて下さい。」

サラが意地悪そうに、

「じゃ、感謝してますか?」

「いや、精霊王ならばこの程度やって当然なお、当たり前のことだ。」

「え?精霊王を信仰しているわけでは?」

「違う。精霊王とは仕えると言っても主従ではなく戦友みたいなものだ。」

ジルが退屈そうに待っているところに僕等は戻ってきた。

ジルは僕等を見て早々、

「どういうことだ?」

当然だね。そういうと思ったよ。

「人助けしたら、付いてくるって言い出したの。」

ミオはそういうと馬車に乗り込んだ。

「は?意味わかんねーけど?」

「使用人、よろしくな。」

「な、何言ってるんだ。俺は認めね〜ぞ!」

僕とサラは、静かに馬車の中に入って行った。

馬車の中に入ると僕がジルに、事の次第を話した。

「借金取りから財産を守ったまではいい。目的通りだ、なんでコイツついてきてるんだ、だいたいこいつの名前は?」

「我が名は、ルシーナ。高貴な名じゃろ。」

…。 

「そんなことはどうでもいいが、なんでついてくるんだ。」

「代々精霊王に仕えて来たんだって。」

「精霊王に?精霊王に人間が仕える何て聞いたことがない、詐欺じゃないのか?」

「え?」

ルシーナをみんなが見る。

「わかった、わかった。」

指をパチンと鳴らすと、エルフ?ちょっとちがうなケンタウロスみたいな。

暫くすると元に戻った。

ジルは、首を横に振って、

「役に立てばいいがな。」

「で、こいつどこで寝るんだ。」

「私は嫌です。」

珍しくサラが、拒否した、相当相性悪いのかな。

「そうすると、コ…」

「ま、待て。流石に精霊王夫妻のところで寝るわけにはいかん。私はここでいい。」

「意外と常識的なとこもあるんだな。」

ジルが感心していた。

「じゃ、怪鳥が棲む谷に出発するぞ。」

ジルがムチを振るって逆方向の城門に向かって、馬車を走らせた。

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