寝て起きたら異世界転移してました⁈ ~パソコンスキルで大活躍!~
異世界転移物語です。
初心者のため、構成や内容等が拙い等はご了承ください。
※登場人物や場所等と同じ名前が存在するとしても、本作とは関係がないものです。本作は、本作内のみの名前として使われています。
※登場人物や場所の名前に関しては、後書きにまとめてあります。
私は凪、26歳。
趣味といえば、パソコンでいろんなものを作成したり、工作やものをいじること。
それに加えて、料理も結構得意なほうだ。
今日もいつも通り布団に入り、眠りについた。
明るい日差しで目を覚ますと、そこは知らない場所だった。
いつの間にか、小山の上の大きな木の木陰に移動していたようだ。
近くには愛用していたパソコンのみ。
開いてみたところ、電源もないのに不思議と無事に機能するようだ。
そこであたりを見回してみると、近くに村が見えた。
凪はパソコン片手にとりあえず村を目指すことにした。
村についてみると、看板には見たことない文字が書いてある。
でも、不思議と問題なく読むことが出来た。
どうやら寝ている間に異世界転移したのだと凪は気づいた。
そして、この村は『ノイティック村』というらしい。
村の入り口でしばらく立ち止まって様子を見ていると、ひとりの女性が声をかけてきた。
「初めまして。どうかされたんですか?」
それに対して凪は
「ここには始めてきて何もわからないので、様子をうかがっていたんです。」
と答えた。するとその女性は言った。
「そうだったんですね。私はこの町で料理屋 兼 宿屋を行っている看板娘の璃那と言います。もしよければ、この村をご案内しましょうか?」
それに対して凪は、
「有難うございます。私は凪と言います。村の案内、お願いしてもいいでしょうか?」
と答えた。すると璃那は
「もちろん!!」
と、とても嬉しそうに答えた。
凪は、璃那とともに村を歩き始めた。
村にはパン屋や銀行、料理屋に宿屋など、元いた場所とあまり変わらないようだった。
そんななか、璃那が突然言った。
「今日、泊まる場所とかって決まってるんですか?」
それに対して凪は、
「まだ決まってないです。それどころかお金もなくて…」
とこたえた。すると璃那は、
「それならうちに泊まりませんか?ちょうどあと少しで付きますし。」
と言った。だが凪は、
「有難い話ですけれどもお金がないんです。」
とこたえた。すると璃那は、
「お金のかわりに少しだけお手伝いしていただけませんか?それで宿代は無しということでどうでしょうか。」
と、提案してきた。凪は、
「本当にそれで良いんですか?私にできることならお手伝いさせてください!」
とこたえた。すると璃那は、
「もちろん!ちょうど人手が足りなくて困っていたところなので、こちらこそ助かります!」
と嬉しそうにこたえた。
そこから少し歩くと、目の前に『エルティス』という看板が見えてきた。
すると璃那が、
「あのエルティスがうちのお店です!一階が料理屋で、二階を宿として貸しているんです。」
と説明してくれた。
エルティスにつくと知らない女性が出迎えてくれた。
どうやら璃那の母であり、エルティスの女主人のようだ。
璃那の母の名は、㮈羅というらしい。
璃那が事の経緯を㮈羅に伝えてくれ、料理屋の手伝いをすることで宿代は免除ということになった。
どうやら厨房の人手が足りていないらしく、元の世界で料理が得意だった凪は二つ返事で受け入れた。
厨房の中を見せてもらうと、何人かの人が右往左往していた。
凪は少しの間見ていて気付いたが、マニュアルがないのだ。
この方法で作れば良い、この順番に作ると良い。
そういったものが存在していないのだ。
そのため、何をどう行えばよいのかわからない人が増え、その結果として人手が足りなくなっているのだ。
そこで凪は、璃那と㮈羅にマニュアル作成の提案をした。
だが二人とも不思議そうな顔であまり理解していない様子だった。
そこで凪が村を案内してもらっている時から感じていた違和感が、確信に変わった。
この世界では、元の世界のような店もあるしほとんどのことが同じであるが、インターネットの発展が元の世界よりは非常に遅れているのだ。
そこで凪は、㮈羅に厨房で行うことや料理のことなどを聞きマニュアルを作った。
元の世界ではコピー機で印刷してしまえば簡単だが、インターネットの発展が遅れたこの世界にはそれがなかった。
そのため、紙とペンを借りてそれを書き記した。
そしてそれを厨房の人達に見てもらい、その通りに行動してもらうようお願いした。
すると、今まで右往左往していた人がいなくなり、料理の提供も格段にはやくなった。
璃那と㮈羅にはとても感謝された。
そんなこんなで、その日はエルティスの宿屋に泊まらせてもらった。
部屋に案内されると、それなりに広くとてもきれいな部屋だった。
疲れが溜まっていた凪はそのまま布団に横になると、いつのまにか寝てしまっていた。
次の日、なにやらにぎやかな声が聞こえると思い部屋を出て、一階の料理屋に顔を出してみた。
すると客で大賑わいだった。
そしてその客たちの話題は、昨日凪がマニュアル作りをしたことで仕事がスムーズになったことだった。
どうやらこの世界では、インターネットの発展がもとの世界よりも遅れていることで、困りごとが多いようだった。
そんななか、凪に気づいた一人の男性が近づいてきた。
「君が凪さん?僕は柊麻。すぐ近くでノトラックってパン屋をしている者です。エルティスの厨房の件、聞きました!僕、どうしても計算が苦手で、会計の際にいつも手間取るんです。どうにかしてもらえないでしょうか?」
と急に相談を受けた。凪は少し考えたあとに、
「まずは普段の様子を見させていただけますか?」
と言った。すると柊麻は、
「もちろんです。いつでも構わないので見に来てください。」
とうれしそうにこたえた。
凪は、その日はエルティスの厨房で料理の手伝いをしたり、部屋で休んだりして一日を過ごした。
翌朝、柊麻の頼みに応えるためにノトラックに向かった。
エルティスから近く、徒歩10分くらいの距離だった。
店外から中を覗いてみると、ちょうど柊麻が会計の計算に困っている様子だった。
紙とペンを使って、時間をかけて一生懸命に計算していた。
そんな様子を見て、何か計算を楽にする方法がないかと考えた。
その時、凪は思いついた。
インターネットの発展が遅れている世界とはいえ、小型のパソコンに似たような機器は存在していて普及しているようだった。
その機器の名は『ノコサップ』というようだった。
そこで凪は店内に入り、客が落ち着いたところで柊麻に質問をした。
「このお店にノコサップってありますか?」
すると柊麻は、
「ありますよ!ただ使い方が難しくて、全然使ったことは無いですけど…」
と答えた。そこで凪は、
「少しの間、ノコサップを貸していただけませんか?」
と聞くと、柊麻は快く承諾してくれた。
柊麻にノコサップを借りた凪は、元の世界の電卓のような機能を作った。
使い方もとても簡単で、商品の値段や個数を入力するだけで会計ができるようなシステムだ。
元の世界での経験も役に立ち、その日の夕方過ぎ頃には出来上がった。
完成後すぐにノトラックに持っていたが、その日の営業は終わってしまっていた。
そこでその日は柊麻に使い方だけ説明し、翌日から使ってみるということになった。
翌日、凪は気になってノトラックに様子を見に行った。
すると、まだぎこちない部分があるとはいえ、以前の紙とペンで行って居た頃よりも確実にはやくなっていた。
この様子だと慣れてくれば、客が込み合う時間でも対応ができるようになるだろうと思った。
そんななか、一通り客の対応を終わらせた柊麻が凪に気が付いた。
「凪さん!とてもいいモノを作っていただきありがとうございます!おかげで計算スピードが格段にはやくなって、お客様を待たせてしまう時間も減りました!」
と、柊麻は興奮気味に教えてくれた。
他にも時計屋やレストランなど色々なところの人から、助けてほしいという願いがあった。
凪は、エルティスの厨房の手伝いをしたり、時には借りている部屋で休んだりしながら、それぞれのお願いに対応していった。
するとある日、凪のうわさを聞き付けた一人の男性がエルティスに来店してきた。
その男は暁留という名前で、この世界の銀行に勤める偉い人らしい。
この世界は、インターネットが発展しきっていないため現金の管理が大切となる。
そのため、そんな現金を扱う人たちは得難い人物とされているらしい。
そんな人が自分に何の用があるのだろうかと疑問に感じつつも凪は話を聞くことにした。
「あの…、何か私に用があるって聞いたんですけれども…」
と、どう切り出すべきか困って曖昧な話し方になった凪に対して、
「突然、訪問するかたちとなってしまいすみません。私はノイティック銀行に勤める暁留と言います。凪さんの件を伺い、ぜひわが銀行にもその力をお貸しいただけないでしょうか?」
と、暁留は丁寧な口調で聞いてきた。
暁留の勤めるノイティック銀行はこの村で最も大きくしっかりとした銀行だそうで、そんな大手からお願いをされることに凪はとても驚いた。
困っている内容を聞いたところ、ノコサップも導入はされているが、結局は上手く使えずに紙とペンでの作業がメインのままなのだという。
そのため、引き出し用にと客に渡していた紙の紛失や改ざんなどが起きてしまい、非常に困っているのだという。
凪は、もし自分にできることがあるのなら力になりたいと思ったが、すぐには対応策が思いつかず少し時間をもらうことになった。
数日後、凪はふとこの世界にはメールのようなものがないことに気が付いた。
伝達方法が、直接会って話すか手紙を書いて送るしかなかったのだ。
そこで凪は自身の愛用するパソコンで元の世界でのパソコンスキルを使い、メールのように電子上でもやりとりが出来て使い方が簡単なプログラムをくみ、それを「リーネ」と名付けた。
そして㮈羅に軽く事情を説明し、エルティスのノコサップを借りてリーネが正確に作動するか試させてもらったところ無事に機能した。
次の日、凪はノイティック銀行の暁留のもとを訪れた。
その時、暁留は別の件の対応中だったため応接間へと通され、そこで待つことになった。
『さすがは大手。広くてきれいだし、人も多いなぁ』なんて凪が考えていると、暁留がやってきた。
「凪さん、お久しぶりです。お待たせしてしまいすみません。以前相談させていただいた件でのお話に来たと伺ったのですが?」
と言いながら、暁留も席についた。そこで凪は事のあらましを話した。
そして凪は、
「今後は、今まで通り紙での書類を発行するのと同時に、リーネでもお客さんに同じ内容を伝えるというのはどうでしょうか?そして、その両方を見せてもらったうえで取り扱いを行うようにするんです。」
と提案をした。すると暁留はとても驚き、少し考えた後に
「良いですね。万が一お客様が紙をなくしてしまっても、リーネでのやり取りを見せていただきこちら側の書類が確認できれば取り扱いが行えます。それに、リーネの内容の改ざんは難しそうなのでそういった問題も減るでしょうし。」
と、前向きなこたえだった。
その後、暁留が上に掛け合い、実際に採用されることとなった。
凪はというと、大手であるノイティック銀行の困りごとまで解決したことでより有名になっていた。
そんな凪は、エルティスの手伝いをしながら新たに様々な困りごとを、元いた世界のパソコンスキルをフル活用で沢山解決し続けていた。
いつしかノイティック村の住人の一人として完全に馴染んでいた。
村の名前: ノイティック村
料理屋 兼 宿屋の名前: エルティス
異世界のパソコンの名前:ノコサップ
★凪 (なぎ) 女性
26歳、よくパソコンをいじっている。
物いじりも好きで工作等も好き
料理も得意
★璃那 (りな) 女性
凪が初めて話す人物。
料理屋 兼 宿屋の娘。元気はつらつ!
料理屋 兼 宿屋「エルティス」の看板娘
★㮈羅 (なら) 女性
璃那の母親。
料理屋 兼 宿屋「エルティス」の女主人。
★柊麻 (しゅうま) 男性
パン屋 (ノトラック)の店主。
計算が苦手なため、いつも会計時に困っていた。
★暁留 (さとる) 男性
異世界の大手銀行 (ノイティック銀行)に勤めている。