死神と結婚することになった話
ニーソとタイツってどっち派?
「ま、待った。どう言うことだ?俺の命日?俺は健康体そのものだし、誰かに恨まれるようなことをした覚えはない」
「どっちもハズレだ。君は今日、事故に遭って死ぬ」
それなら家に1日動かないでいた...
「家に1日動かないでいたらいいんじゃないか?と言いたげな顔だね。でも残念な事に君がこの運命に抗うことが出来ない」
なっ...!
なんてクソみたいな作品なんだ。こんな爆速で余命を言われるなんてどっかの100日で死ぬワニでしか見たこと無いぞ!
「今日のどこかのタイミングで君が死ぬような事故が絶対に起きる。それは車に轢かれるのか、通り魔に刺されるのか、このホテルが一般通過爆弾魔によってホテルごと消滅するか、君がどのような死に方をするか、詳しくは分からないが、君が死ぬ運命は変えられない」
嘘だろ...?俺の人生これで終わりなのか?
てか一般通過爆弾魔ってなんだよ。そんな平然と爆弾魔がいてたまるか。
「田中晴斗君。私は今日死ぬ予定の君を哀れんで1つ君のお願いを聞いてあげたんだ」
どうせ「死ぬ前に童貞を捨てたい」とか「エロいことしたい」とか言ったんだよ...な.........
「...ってちょっと待て」
「またかい?...それでどうかしたかい?」
「俺の名前...田中晴斗じゃなくて佐藤優斗なんだけど」
「へ?」
「え?」
「すまない。よく聞こえなかった。も、もう一度君の名前を言ってくれるかい...?」
死神ちゃんは明らか動揺しているようだった。
運動した訳でもないのに汗がダバダバと垂れている。
「佐藤優斗と申します」
「これはどうもご丁寧に...ってえええええええええええ!?」
この反応からするに人違いだったんだろうなぁ...
良かった。俺の人生は無事に続くようだ。
とここで俺は重大なことに気づく。
先程死神ちゃんはこう言った。
———お互いに初めて。
———君のお願いを聞いてあげた。
と。
つまり死神ちゃんは処女だったにも関わらず自分の仕事の為にやむ終えず見ず知らずの男に自分の貞操を捧げたと言うこと。
この時点でまぁまぁ酷い話だがよりにもよってその貞操を捧げた男が人違いだったということだ。
つまりは知らない男に初めてを取られただけ。色々な物を失ったのに何も得るものが無かったということだ。
「...大丈...夫.......?」
無言になった死神ちゃんの方を向くと、死神ちゃんは顔を真っ赤にしながら肩を震わせていた。
絶対大丈夫じゃない奴だ。
「............ってく...さい...」
「え?」
「責任...取ってください...」
死神ちゃんは声を震わせながらそう呟いた。
「私...初めてで...」
そう言うのと同時に死神ちゃんの目から涙が溢れ始めた。
「え、あ、落ち着いて!えっと、深呼吸!まずは深呼吸しよう!はい、ひっひっふー!ひっひっふー!」
今考えると、落ち着いてと言った割に俺も大概だと思った。
それから数分後...
「えっと......取り乱してすまなかった...」
「い、いや大丈夫だけど...」
取り乱すどころかキャラ崩壊してたよな...
あのクールな口調はキャラを作ってるのだろうか。
死神ちゃんはそこそこ落ち着いてくれた。
「そ、それでどうしてくれるんだ?」
「え?」
「責任を取るという話だ。死神とは言えど私の初めてを奪ったのだぞ。「はい、人違いでした」で終われる話ではない。それ相応の落とし前をつけるのが当然だろう?」
そう言って死神ちゃんは頬をプーっと膨らませた。
「落とし前と言うと...指詰めるとか?あ、死神だから魂寄越せとか?」
「違う。死神は死んでしまった人間の魂を回収するのが仕事だ。人の命を奪い取る仕事ではない。私が言う落とし前というのは...その...」
そこまで言ったところで急に口籠る。
「その?」
「その......けっ......結婚のことだ。どうなんだい?私と結婚するのは嫌かい?」
「嫌って訳じゃないし、こんな可愛い子と結婚出来るなら嬉しいんだけど、俺で良いの?俺らって結局一回セックスしただけじゃん」
「かわっ、セっ、!?そ、そんな言葉を平然と話さないでくれ。そういうのは苦手なんだ」
「あ、ごめん。でそこの所どうなの?」
死神ちゃんは少し顔を赤らめて少し話すのを躊躇したが、口を開いた。
「.........君なら嫌じゃない...かな」
なんだこの子可愛すぎか?
「ってひゃあ!何で君のジョニー君が元気になってるんだ!?」
「あ!ご、ごめん!死神ちゃんが可愛くて、つい!」
「可愛いとか言うな...!...えっと、末永くよろしくお願いします...?」
「あ、えっと...こちらこそ」
こうして俺は死神と結婚することになった。
趣味がゼンカ○ジャー