緊急招集編 1.狼を訪ねて
「…彼がAの創設者、売府一郎氏だ」
一葉はやれやれといった感じで目をつぶった。
「え、なんでそんなすごい人が俺とレオのことを?」
「それは私にもわからない。でも、破天荒という言葉の擬人化みたいな人だから気をつけるべきだよ」
それは一葉も大概だろ、とフーリは思った。レオは目を細めて空気をじっと見ている。
「ってかあの地獄のトレーニングはどうなるんだよ…」
「安心しろ」
音々がフーリの肩に手を置いた。
「努力はムダにならない!」
音々はグーサインを作り、爽やかな笑顔で言った。
「そんなあ。せっかくここで発揮できると思ったのに…」
トレーニングというのは思い出したくもないほど凄惨な内容だった。
「もう鳥の胸肉、食べすぎて口の中パッサパサでしたよ」
「でも、おかげでだいぶ筋肉はついただろ?」
フーリは自分の腕を見てみた。
「…まあちょっとは」
「後退してないんだからいいだろ?」
鬼畜というよりもはやサイコパスだろう。ライムとの戦いで一層、そのイメージは強固になった気がする。
「おい、レオ」
フーリはやっとレオに話しかけた。
「とりあえず行こうよ、フーリさん」
レオは人差し指でジェスチャーをした。
「それがいまいちピンとこなくてさ、」
フーリは首を傾げた。
「緊急招集って言われたけど、どこに行きゃあいいんだよ」
「その点については心配しなくても大丈夫だよ」
と、翠玲が言った。
「あの人は、ずっと狼と一緒に山にこもって僕らに指示を出してる」
「どの山なの?」
「それは…多分この紙切れに書いてあるんじゃないかな」
フーリはさっきの紙切れを拾った。レオはフーリの近くに行き、のぞきこんだ。
「地図…だな、…ん?『俺様の山!!!』?」
「…そういう人だっていうのは覚えておいた方がいいかもしれないね」
翠玲や一葉は支店長なのでよく呼び出されているのだろう。
「んー…じゃあ、行く?レオ」
「行こっか」
会ったばかりなのに二人で大旅行をすることになってしまった。
「私を忘れるにゃ!!」
寝起き10秒のアサがフーリの頭を殴った。
「え、お前も来んの?」
「なんで嫌そうにしてる!?!?」
「いや、てっきりめんどくさいから行かないのかと思ってたわw」
「wじゃないにゃ!!」
レオはさっきから何かを考えているようだ。
「何考えてんの?レオちん」
唐突なレオちん呼びを無視し、レオは指を2本立てた。
「二日で行けるってこと?楽勝じゃん」
レオは今にも泣きそうな顔で首を振った。
「歩いて二週間。交通手段は徒歩以外にない」
フーリとアサは互いに顔を見た。
「「は、破天荒だぁ…」」
一方で売府一郎。
「本能覚醒、ねえ…。あの一般魔獣が、ねえ…」
一郎はあごに手をあてた。
「まあいいや、考えるのめんどくさーい!!」
一郎は床に寝っ転がった。壁には赤い宝石が埋めてある片手剣がかかっている。
「あの三人が来るまで、寝るか」
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