表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鎌倉時代でバズりたい!!  作者: キムラ ナオト
9.大姫入内編
86/143

1190年10月 頼朝上洛

平安京郊外・特設ステージ


キララは上洛する幕府軍一万人が収容できるように洛外に公方上洛記念ライブ特別ステージを作った。和楽器のオケーストラを揃え、バックダンサーの白拍子も百人用意した。他にも火を使った派手な演出もある。


ステージの下で待機しているキララには頼朝を満足させる自信があった。


「坂東武士の度肝を抜いてやるわ」


「ねえ、これ怖いんだけど……。着地できるかしら」


屈強な男たちが支える板の上に乗っている静御前が不安そうに言った。


「登場は派手にいかなきゃ。みんな、シズ☆キラを舞い上がらせてね。前奏終わりで行くから、よろしくぅ!」


「「「「ウッス!!」」」」


前奏が終わり、銅鑼が鳴ったタイミングで、せいやっ!と男たちが板を高々と持ち上げる。シズ☆キラは舞台の下から空へ舞い上がって登場した。二人は回転しながら着地する。


「決まったね! シズ!」


「キラ、あそこ――」


静御前は特等席がある桟敷を指す。そこには苦虫を噛み潰したような九条親子。その横には北条政子に大姫――だけだった。


「頼朝がいない! っていうかガラガラじゃん!」


――――――――――――――――――――

平安京郊外・特設ステージ楽屋


「このステージにどれだけお金をかけたと思ってるのよ! みじめったらありゃしない!」


ライブの後、手拭いで汗を拭きながら、キララは怒った。頼朝がいないことを知った御家人や貴族たちが参加を見合わせたせいで、客席はガラガラだったのだ。


「関白様の計画が裏目に出たわね。ガラガラの客席を見た貴族たちは、関白様の時代が終わったと感じたのではなくって?」


「ヤバいのはシズ☆キラも同じ。京の人間は流行りに敏感よ。人気が落ちたってイメージがついたら、一気に人が離れていくわ。対策を考えないと――」



「キララ様、御台様と大姫様がお話したいと申しております」


侍女のアユが北条政子と大姫を楽屋に案内してきた。

キララが目配せをすると侍女たちは部屋から出て行く。


「お姉ちゃんもお兄ちゃんも、凄かった!」


「あらあら、大姫。興奮しすぎるとまた倒れますよ。大姫もずっと病がちだったのに、シズ☆キラの歌を聴いたら、すっかり元気になって」


「ご無沙汰しております」


「シズは静御前だったのですね。舞台を観ながらもしやと思っていたのですが、驚きました」


「御台様、もっと驚かせましょうか?」


キララはサングラスを取って顔を見せた。


「まあ……」


「キララだー!」


「頼朝様には内緒でお願いします」



それからキララは鎌倉から逃げた後のことを二人に話した。


「身一つで逃げたキララがここまでになるなんて、あなたたち兄妹は余人とは違うのですね」


「関白様の援けもありました。ところで頼朝様はなぜいらっしゃらなかったのですか?」


「それは――」


政子は大姫を見る。大姫の顔が急に暗くなった。


「大姫の入内について、土御門卿から急な話があると言われて――」


「土御門のせいだったのね! あのおじゃる丸!」


「キララ、姫は入内したくない。助けて!」


「大姫……」


キララは黙り込む。


史実では大姫入内は五年先の話だ。しかし大姫は病に伏せってしまい、七年後に亡くなる。史書である吾妻鏡には病の具体的な内容は書いて無く、婚約者であった木曽義仲の嫡男・義高が斬られてから、床に伏すことが多くなったとしか記されていない。


「キララ、何で黙っているの?」


「後鳥羽帝とまだ会ってないんでしょ? 案外いい人かもよ」


――大姫が入内すれば、七年後に死なないのでは? 後鳥羽帝が大姫の心の病を治すきっかけになるかもしれない。


「みんなと同じことを言うのね。キララは他の人と違うと思ってたのに! 会った後に断れないことぐらい、子供の姫でもわかる。馬鹿にしないでよ! コホッ、コホッ!」


「大姫、落ち着いて。息をゆっくり吸うのです」


「母さま、入内を進めれば、姫は深淵に身を投げます! コホッ」


「母から御父上にもう一度、話してみますから」


「信じない! 優介は京にいるんでしょ。優介を呼んでよ!!」


――――――――――――――――――――

京郊外・東山にある優介の家


キララが訪ねた優介の家は庶民の家と変わらない広さだが書斎部屋があり、本棚には優介が作った教科書が何十冊も並べられていた。


「――というわけなの。お兄ちゃん、どうすればいい?」


「後鳥羽帝への入内を薦めたのは、マズかったな」


「何でよ! 入内を断ることが死亡フラグかもしんないじゃん! 黙って歴史通り、死ぬのを放っておけっていうの!」


「入内が嫌すぎて死んだとしたらどうする? 大姫は病気になり続ける以外、入内を拒否することはできなかった。そのせいで病を治さなかったとしたら、大姫は間接的に自殺を選んだことになる」


キララは大姫の激しい拒絶を思い出した。


「ウソ! じゃあ、もう死亡フラグは立ってしまったってこと?」


「いや、入内が無くなれば、死なずにすむ可能性はある」


「だから、もう頼朝とおじゃる丸で話がついてるんだってば!」


「まだ方法はある。大姫に覚悟があればな」


優介はキララと流為に指示を出した後、大姫に会いにいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ