表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鎌倉時代でバズりたい!!  作者: キムラ ナオト
6.奥州獲り編
57/143

1187年4月 教経見参

奥州とある学校砦


優介が由利維平率いる僧兵によって窮地に陥ったとき、平教経が現れた。長刀を振り回し、次々と僧兵の首を刎ねている。


「平家に仇を為した僧兵め。その白頭巾を見ると虫唾が走る!」


由利維平が教経に向かって歩く。


「赤い鎧の豪傑。蝦夷の赤鬼ってのはてめえか?」


「田舎者は野暮で困る。鬼が洒落た鎧を着るか?」


教経は新調した鎧をポンポンと叩いた。


「うるせえ! 俺様の郎党を殺りやがったな!」


「あの鼠どもの飼い主か? どうりで臭う」


「てめえっ!」


由利維平が飛び掛かり、二人の斬り合いが始まった。

優介は流為の元に駆け寄り、法然を守る。


「流為、ここに来る前に蝦夷の里へ行ったんだな」


「……兄様に話した」


吉次は表立って蝦夷の兵を出せない代わりに、教経に護衛を頼んだらしい。


流為は独楽のように回りながら、僧兵を斬りつけていく。

優介は峰打ちで倒しながら叫ぶ。


「流為、殺すな!」


「……無理。守り切れない」


法然が俺の前に出る。


「流為よ。この法然を守る必要が無ければ、殺生をやめるか?」


「上人、命を粗末になさらないでください!」


「南無阿弥陀仏」


法然に僧兵が大勢で打ちかかった。


だが、次の瞬間「発っ!」という声と共に僧兵たちが吹き飛ばされた。

法然が深い呼吸をしながら、両手を前に出している。


「上人!? 何が起こったんです!?」


「この法然、真理を求めるため、比叡山の書物を読み漁った。知識をすべてこの身で試した。唐土の秘法に気功というものありけり」


「凄い! 流為、上人は自分の身を守れる。だから殺すな!」


「……わかった。半殺し」


流為は僧兵の脚を狙って斬り続けた。

優介が教経と由利の戦いを見ると五分五分だった。


――このまま僧兵を退け続ければ勝つ。問題は気力が続くかだ。


しかし、思ったより早く、僧兵がひるみはじめた。

逃げ散った民衆が戻ってきて、僧兵に投石を始めたのだ。


「「「出てけ! 出てけ! 出てけ!」」」


「由利殿、退きの合図を! このままでは我らのほうが危うい!」


僧兵の一人が教経と戦っている由利に向かって叫んだ。


「チッ、何という有様だ」


「密偵下手に、戦下手。上手なのはしくじりだけか。ハハハハ!」


「黙れ! 邪魔なんだよてめえは!」


「遊んでやる、下郎!」


大将の由利が指揮を放棄して戦い続けたため、僧兵たちは逃げることもできず、次々と倒され、民衆に取り押さえれていった。


「上人、もう安全です。流為、教経を援護するぞ」



優介がほっとしたとき、民衆のさらに奥から声がした。


「不埒者ども騒ぎをやめろ! この砦は包囲されている!」 


いつの間にか民衆の輪の外をさらに囲むように兵がいた。千は下らない数だ。

民衆を割るように、騎馬が進んでくる。


「泰衡!」


「様が足りないぞ、優介。この騒ぎの元は貴様だな」


「とぼけるな! 仕掛けたのはお前だろ!」


「言っている意味がわからんなあ」


「証拠ならあそこに――」


優介が指した場所に由利の姿は無かった。教経が首を振っている。兵の中に紛れ込んだのだろう。


「さっきまでユーリが敵の頭としてここにいた!」


「貴様の言葉は信ずるに足りぬ。おい、天台宗の頭は誰だ! 出てこい!」


「――拙僧にございまする」


そう言って、手を上げたのは小太りの僧兵だった。


「違う、違うなあ、優介。言いがかりは止めろ。これは天台宗と浄土宗の争いだ。騒ぎを起こした罪は両者にある。天台の頭と法然、優介を捕えろ!」



優介と法然は後ろ手に縛られた。


「泰衡、騒ぎを起こした張本人がお前じゃなければ、誰がお前に伝えたんだ?」


泰衡は馬を降りると優介の耳元でささやいた。


「晴兵衛だ。由利だけでは失敗するかもしれんと言ってな。実に頭が切れる。貴様にはもったいない男だ。いや、もう私の家人か、ククク」


「晴兵衛の策なのか……」


「絶望しているな、優介。いい顔だ。私はずっとその顔が見たかった。父上に命乞いしようと思っても無駄だぞ。平泉に着く前に貴様の首を刎ねる。これも晴兵衛の策だ。くやしいだろう? ハーッハッハッハッ!」


勝ち誇った泰衡の高笑いが砦中に響き渡った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ