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鎌倉時代でバズりたい!!  作者: キムラ ナオト
4.源平合戦編
33/143

1184年3月 影武者

平安京・源義経邸


屋敷が狂気に支配されていた。


吉次が義経の遺体をの影武者と呼び、遺体の血を流為が丁寧にふき取る。弁慶が遺体を隠す穴を掘り、キララが義経の鎧を着て「あたしが義経にならなきゃ」とつぶやき続けている。


正常なのは俺なのに、俺の意見だけが違った。

なぜなら、みんなが狂っているからだ。


「出来の悪い悪夢だ。みんな冷静になれ。身代わりなんてできっこない。少しの間、誤魔化せばいいって話じゃない。義経は大将だ。大軍の目にさらされるんだぞ!」


「某たちがキララ殿に誰も近づけさせはせぬ。バレたら、そのときに考えれば良いではないか。どう転んでも今より状況が悪化することはない」


弁慶の意見に吉次が賛同する。


「義経様は病気で顔が崩れたことにし、仮面を被るのです。声も病気で変わったことにすればいい」


「適当すぎる! 思い付きで人を騙せるなどと――」


「もう事は始まっているのです。邪魔をするのなら一人で奥州へ帰りなさい」


「キララ一人、残して帰れるわけないでしょう!」


キララが籠手を着けた手で優介の手を握った。


「協力してくれるのね。ありがとう。お兄ちゃん!」


「何でこうなるんだあああああああっ!」


優介は狂人のように叫んだ。


――――――――――――――――――――


その日の夜に義経の遺体は埋葬され、優介兄妹は義経邸に住むことになった。

優介の頭にはいろいろな考えが巡り、結局、一睡もできなかった。


「これだけは言っておかないといけない」


優介は井戸で気合を入れるように顔を洗うと、吉次と弁慶を呼び出した。


「キララを身代わりにさせるのなら、俺の計画に従ってください。絶対にです! もし反対するのなら――」


「いいんじゃないですか。私は秀衡様に報告に行かねばなりませんし」


「某も考えるのは苦手でな。優介に任せる」


――はぁ? ふざけんな! 全部、俺にぶん投げる気か! お前らをどう説得しようか考えていた時間を返せ!


希望通りの展開だったのだが、優介は無性に腹が立った。


――――――――――――――――――――――


優介は、義経は重病ということにして、どうしても人前に姿を見せなければいけないとき以外は、誰にも会わせないというルールを決めた。


「お兄ちゃん、何を彫ってるの?」


「キララの仮面だろ。義経は鞍馬出身だから、天狗がいいかなって」


「ヤダ。ダサイ。あたしそんなのつけたくない。猫にしてよ。あたしがハロウィンイベントのライブ配信で付けてた舞踏会っぽいやつ。見てたでしょ」


「猫バスみたいって言われたやつか?」


「今は太ってないし! 猫じゃなきゃ付けないからね!」


キララは弁慶と義経の口調の練習をすると言って出て行った。



――ああ、面倒臭い!


優介は仮面作りを後回しにして、今後の計画を考えることにした。


一番、重要なのは歴史の変化を少なくすることだ。そうしないと、俺の最大の武器である史実の知識が役に立たくなる。


これから先、義経が何をしていたか思い出す。


とりあえず今年は戦の心配はない。平家追討をするのは源範頼で、義経は京の治安維持に専念することになる。勝負は翌年だ。屋島の戦いに壇ノ浦の戦い。そして奥州への逃亡。奥州へ逃げ込めば、もう義経の活躍はない。死んだことにしてキララに戻せばいいだけだ。


――そこまでは何としてでも生き抜かなければならない。


庭に出ると、弓の稽古をしている流為に言った。


「俺とキララを鍛え上げてくれ。戦で生き残れるように」


――――――――――――――――――――

二カ月後、平安京・源義経邸


「ああー、忙しい! 忙しい! 殿も少しは手伝って下され」


「ダメだ。晴兵衛は大臣になる男だろ。それぐらいこなせ」


書類の山を抱えて安倍晴兵衛が文句を言う。


「ああー、うずうずする。歌いたい! 踊りたい!」


「ダメだ。もうすぐ豪族が訴えにくる。キララは黙って座ってるのが仕事。その横で話を聞いて解決するのが晴兵衛の仕事だ」


戦に出ないからといって、仕事が無いわけでは無かった。畿内の武家・豪族の揉め事を裁いたり、畿内の軍の編成や組織作りをしなければならなかった。


晴兵衛が豪族のリストを親鎌倉派と反鎌倉派に整理する。


「一年前はまさか京で政をしているなど思いも寄りませんでした。それも英雄・義経様の腹心。武士どもが頭を下げる様は大臣になったような気分でございまする。殿、これは好機です。このまま京で勢力を拡げれば――」


「その気はないよ。俺は平和主義だから」


「腹黒主義のお間違いでは? 義経様の地位を簒奪する謀略など、余人にはなかなか思いつきませぬ」


「俺が考えたんじゃない!」


――くそう。俺が計画を考えているから、首謀者みたいになっている。バレたら歴史書に大悪人と書かれそうだ。



弁慶がドスドスと足音を立ててやってきた。


「また静御前が来た。毎日毎日しつこい女だ。ひっぱたいて追い払うか」


「義経が惚れた女性によくそんなことを言えるな」


「今は危険な女でしかない」


「天下一の白拍子と一ノ谷の英雄との恋だと、世間の噂になっている。対応を間違えると、義経の評判を落とすことになる」


――それに、この恋愛イベントが、歴史に影響を与えるかどうかが読めない。


「静御前に、夜に会うと伝えてくれ」

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