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鎌倉時代でバズりたい!!  作者: キムラ ナオト
3.英雄義経編
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1183年11月 義経入京

奥州平泉・伽羅御所


秀衡は奥州の豪族を伽羅御所に集めると、優介が持ち帰った宣旨を掲げた。


「奥州藤原家は朝廷から奥州を任された。もう二度と朝廷から貴族が天下ることは無い! ついに奥州は奥州人の物となったのだ!」


秀衡が宣言すると歓声が沸き起こった。中には感極まって泣いている者もいる。


「この交渉をまとめた男を紹介しよう。優介だ!」


優介は小声で吉次に言う。


「吉次さん、俺は鉄船の借金がチャラになるだけでいいって言ったでしょ」


「秀衡様は手柄を独占するような小さな器ではありません」


「そうじゃなくって。あれを見てください。小さな器が俺を睨んでる」


藤原秀衡の嫡子の泰衡が苦虫を噛みつぶしたような顔をしていた。


「元々嫌われているから同じでしょう。早く行きなさい」


「フォローになってないですって……」



優介が秀衡の横に立つと再び喝采が起こった。

秀衡が優介の肩を抱く姿を絵師が描いている。次のポスターに使うのだろう。



伽羅御所への宴会が終わった後、吉次の屋敷で二次会が行われた。


「吉次さん、約束を果たしました。もう流為の見張りは必要ないはず。婚約を解消します。俺は流為にはふさわしくない」


「なぜ、そう思うのです」


「俺はキララを守ることだけを考えて生きています。流為には流為のことを一番に考えられる男と結ばれて欲しい」


「――残念ですね」


――――――――――――――――――――


年が明けると、優介は吉次に伽羅御所に呼ばれた。

鎌倉軍が木曽軍を破ったというニュースが飛び込んできたからだ。

鎌倉軍の大将は源頼朝の異母弟の源範頼、源義経だという。

黄金の椅子に座っている秀衡が白い歯見せて笑った。


「義経は大した男だ。やはり、わしの目に狂いはなかった。吉次、義経の戦勝祝いに行ってくれ。義経は奥州と鎌倉をつなぐ架け橋となろう」


――実際は架け橋どころか、導火線になるんだけどなあ。


「弁慶たちにも褒美を渡したいと思います」


「おお、たっぷりと弾んでやれ。義経の心が奥州から離れないように、やつらには働いてもらわねばならぬからのう」


俺の複雑な思いとは裏腹に秀衡は終始上機嫌だった。


―――――――――――――――――――――

奥州・石巻津


湊で吉次と出航の準備をしているとキララが乗り込んできた。


「これからは、源平の争いが激しくなる。キララは平泉にいるんだ」


「ヨッシーに話したいことがあるの」


「敦盛様と仲良くしろっていうつもりか。言っておくが史実では――」


「関係ない! あたしがアッくんを助ける!」



優介がため息をついていると、流為が現れた。


「もう許嫁じゃない。俺を守る必要はないんだ」


「……優介は関係ない。兄様に頼まれた」


流為は不機嫌な顔で言うと、プイっと顔を背けた。


――キララも流為も、なぜ俺の優しさをわかってくれないんだ。


優介はため息をついた。


―――――――――――――――――――

二週間後、平安京・源義経邸


平安京に来た優介たちは、戦勝祝いを持って義経の六条館を訪れた。

久しぶりに見た義経の顔は以前とは違い、自信に満ち溢れていた。


「これからもどんどん手柄をあげる。バズるってやつだね。キララ、君の言葉があったからこそ挫けずにいられた。感謝している」


「なら、アッくんを助けて。ヨッシーは大将なんでしょ。一人ぐらい助けてくれたっていいじゃん」


「――キララの頼みなら何でも聞いてやりたい。でも平家だけは別だ。敦盛は清盛の甥。御家人たちにとって手柄首だ。邪魔をすれば僕は大将から外される」


「どうしても?」


「どうしてもだ。今は平家に勝つ方法しか考えたくない。あれだけ惚れていた静御前とも会っていない。なぜだと思う? 余計なことを考えれば源氏が負け、僕が死ぬからだ。戦場を甘く見ないでほしい」


「わからずや! だったら、あたしが助ける!」


キララが部屋を飛び出した。

優介は慌ててキララを追いかけて、肩を掴む。


「もっと頼み方っていうのがあるだろ。生け捕りにしてくれとか」


「あんな冷たいと思わなかった。あんなんだから、頼朝さんに殺されるのよ!」


「シッ! 声がでかい」



優介の背中がゾクリとした。


「――なぜ僕が兄上に殺されるんだい?」


振り向くと義経が立っていた。マズイ、聞かれてしまった。


「そ、それはその、頭に血が昇っておかしなことを言っているだけだ」


「キララに聞いている! 答えろ!」


「理由なんて知らないわよ! 勉強してなかったからね!」


「キララも止せ。義経、キララの戯言だ。気にしないでくれ。さあ、行くぞ」


「何よ。もっと言わせてよ!」


埒が明かないと思った優介はキララを襟を掴んで引きずるように連れていった。



「兄上がどうして……」


優介が振り返ると、義経が呆然と立ちすくんでいた。

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