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鎌倉時代でバズりたい!!  作者: キムラ ナオト
3.英雄義経編
25/143

1183年2月 教経と義経

平安京・とある神社の境内


「これは裏切りよ! 許せない!」


キララが絶叫すると、舞を観ていた観衆が何事かと振り返った。

静御前の舞と平敦盛の笛が止まる。


「ゼッコーよ!」


キララが神社の外へ飛び出した。


「おい、キララどこへ行くんだ! ああ、ポスターが落ちた」


「へえ、あれが都でバズっている静御前か。綺麗だね」


「見とれてないで、義経様もキララを止めてください!」


優介の横を薫風が通り過ぎる。

振り向くとキララを追う敦盛の背中が見えた。


――――――――――――――――――――


ポスターを拾い終えると、優介は立ち上がって義経を呼んだ。


「早く行きますよ。キララが心配だ」


「優介、静御前は僕にふさわしいと思わないか?」


「はいはい、そうですね。でも今じゃなくていいでしょう」


――史実では静御前は義経の愛妾になる。だけど、それは一年後の話だ。


「いや、早くしないと奪われる。見てみろ」


静御前を大柄の公達が抱き寄せていた。静御前は身をよじって嫌がっている。


「あれは、平教経」


「平家と聞いたからには、ますます譲れないね!」


義経が舞台に向かって駆けだした。


「弁慶、止めるんだ!」


「無駄だ。あの御方は止めても――」


「義経様じゃない! 警固の武士だ! 止めないと捕まるぞ」


――どいつもこいつも勝手ばかりする! 



身軽な義経は飛び上がると舞台に躍り上がった。


「その子を離せ! 嫌がってるだろ。平家は政だけじゃなく、女心もわからないのか?」


「強ければ屈服する。それが女だ。知っているか? 源義朝の愛妾の常盤御前は、義朝が討たれた後、平清盛公の妾になった。強き男は夫を殺された恨みさえ忘れさせる」


「母上の悪口を言うな!」


義経が太刀を抜いて斬りかかった。

教経は静御前を突き飛ばし、太刀をかわす。


「母とな? 静は幸運の女神らしい。源氏という名のツキを運んでくれた!」


教経はにやりと笑うと太刀を抜いた。

舞台の下では弁慶と警固の武士との乱闘が始まっている。


――なんで源氏ってバラすんだよ! アホー!


教経の太刀が唸りをあげて義経に襲いかかる。

それを義経は身を沈め、飛び跳ね、すれすれでかわし続けた。


――お前は不意打ちが得意なんだろ! 正面から立ち向かってどうすんだよ! どうする? 弁慶は手いっぱいだし、俺が助けるしかないのか……。


「義経のやつ、せっかくのキャンペーンがパーだ!」


優介は義経に敬意を払うのを止めた。


舞台の前まで行き、ポスターの束を宙へ投げる。

教経と義経の間に無数の紙が舞い、皆の注目が集まった。


「義経、今のうちに逃げるぞ!」


「嫌だ!」


「弁慶、義経を抱えろ! 力づくでだ!」


――――――――――――――――――――


優介たちは走りながら、平安京の辻を変則的に曲がる。

平安京のいいところは道が碁盤の目状になっているので行き止まりがなく、追う方としても十字路は選択肢が多くて、判断に迷うのだ。


「ゼエ、ゼエ……。もういいだろう。弁慶、大丈夫か」


義経を抱えて走っていた弁慶は答える代わりに大の字に倒れた。

義経が竹筒の水を飲ませて介抱する。


「義経、源氏を名乗ったんだ。もう京にはいられないぞ」


「わかった。ただし、静御前を助けてからだ」


「なんでそうなる! できるわけがないだろ。それに俺はキララを探さなきゃいけないんだ」


「キララならあそこにいる」


「へ?」


道の向こうからキララがスキップしながらやってきた。


「フン、フフーン♪ あっ! お兄ちゃん。アッくんが追いかけてきて謝ってくれたの。ノリくんに静御前と、無理やり組まされたんだって」


「静御前も嫌がってたな」


「やっぱり、そうだったのね! アッくんが、あたしともう一度組んだ時のために曲を作ってくれてたの。会えるかどうかもわからないのにだよ! うれしくて感激しちゃった」



優介がキララと話している姿を見ながら、義経は一人で考えていた。


「これなら、いけるかもしれない。キララ、力を貸して欲しい」


「ヨッシー、もしかしてユニットに入りたいの?」


「平家と組むわけないだろ――優介、静を助ける策を思いついた」


「勘弁してくれよ……」


不敵な笑みを浮かべる義経の横で、優介は頭を抱えていた。

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