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謎多き私

一体何が起きているのだ?魔導士コーエンは考えていた。ドラボール家に放った密偵が全て帰ってこない。密偵と言っても、彼が魔力で作り出したものだ。


「なぜ戻ってこないんだ?」


彼の能力には、遠隔視がないため、確認はできないでいる。しかも、お金で雇った密偵もろくな報告をしない。


「記憶をコントロールされているにちがいない」


しかし、それを試す手段がないのだ。一応、フリージアがいる治療室にも密偵をだしているが、ここ数日、彼女が帰宅した形跡はない。


「一体どうなっているんだ?」


彼は知らなかった。ライデンがいることを


「どうした?コーエン」


「ロイド様、実は、ドラボール家に放った密偵が戻って来ぬのだ」


「それはどういうことだ?密偵が戻ってこないということは、あの作戦ができぬではないか」


あの作戦、それはドラボール家に謀反の疑いをかけることで、そこの娘フリージアと彼女の師匠をしているマーリンにも謀反の疑いを掛けさせるというものであった。しかし、密偵自体が帰って来ないだけでなく、ドラボール家についた時点で消息が途切れている。


「実は、密偵は、ドラボール家について直ぐに消滅している。相手は相当な魔力の持ち主だ」


「それは、マーリンなのでは?」


「相手がマーリンだったら、こんなに困惑はしていない」


「だったらだれだ?まさか、ドラボール家の娘とかいうのでは」


「それも違うのだ、二人のところには密偵がいて監視をしている。だから、違うことは確かなのだ。ただ」


「ただ…どうした?」


「俺が気づかないほどの魔力を持っていると言ことは、相当な魔力の持ち主だ」


「つまり、そんな奴がドラボール家にいるということか?」


「わかりませぬが、状況証拠からそういうことになります」


「そうか…では、そのような強い魔力を持っているものを王国に報告しないこと自体が謀反の疑いがあるという証拠にしてはどうか?」


「確かに、その方がこちらの手を汚すことなくできますな」


「だったら、その者が誰であるか、早急につきとめよ」


「は!!」


しかし、いくら能力が高い魔導士ととは言え、相手は#魔将軍__デーモンジェネラル__#見つかるはずもなく、ただ、無駄に時間が過ぎていくのであった。



今日もオリバーソースがやって来た。


「今日は何の用でしょうか?」


「左手を負傷しまして」


オリバーは包帯にまかれた左手を差し出してきた。そして、包帯を外すと痛々しいやけどの跡、こんなのを平気な顔をして見せているこの男はサド?それとも怪我をしてきていることから考えるとマゾと考えた方がいいかも、いや、きっとマゾだ。前回もぶっとく大きい注射をしたのに、ここへ来るなんて、絶対そうだ。元婚約者は、よほどの変態と考えてよさそう。


「あの~左手を治してほしいのですが」


「わかりました。これは、ヨクナルンヘイチナンコウを使って、火傷をいやした方がいいかもしれませんね」


「え?魔法で治すのでは?」


「魔法は緊急事態の時にしか使用してはいけないと言われているので」


「え?嘘だろう」


彼が驚いているというより顔が引きつっているのは当然だ。ヨクナルンエイチナンコウはよく効くのだが、反作用として激痛を伴うのだから


「では、これを塗りますよ」


「や…やめてくれ」


「やめるとその火傷治りませんよ」


「うっ」


顔が青ざめているけど、そんなことは置いておいて、ナンコウを塗ると塗った表面がスーッと青白く光りだした。


「う…ひぃぃいいいいい!!」


完全に硬直している。しかし、これからが更に激痛が走る。それは、傷口を急激に修復するから表面の傷がいったん剥がれ落ちて、表皮がむき出しになる時の激痛は相当なものらしい。やがて、青白い光から赤く光りだした。表皮が落ちる時だった。


「うぎゃあああああああ!!」


その叫び声に思わず耳を塞いだ。


***


ぜぇ~ぜぇ~ぜぇ~…


「治療は終わりましたよ」


オリバーソースは私を睨んでいる。治療をした私を睨んでいる。なぜ、睨まれるのかはわかるけど、心外としか言いようがない。


「あの~どうしました?」


「あ…いや…」


「それでは、次の方が待っていますので」


「ありがとうございました」


めっちゃ不服そうな顔をしているが、オリバーソースは部屋を出て行った。しばらく、数人を治療した後にやって来たのは王子様だった。


「フリージア、あなたのことが好きになった」


「王子様、それはなりませぬ」


「どうしてだ」


「王子様、私は22歳です。あなたより7歳も年上ですよ」


「わかっている。わかっているけど」


「では、あきらめてください。これは一時の気の迷いです」


「そんなことはない」


「これはよくある気の迷いなのです。思春期になると年上の女性が気になるものです。しかも、王子様は私の魔法を見ていますのでなおさらです」


「そんなはずはない」


すると部屋にマーリン様が入ってきた。


「王子様、フリージアは修行の身、しかも、この国を救う為、彼女は結婚はできないのじゃ」


「そんな…」


「では、フリージア…修行へ行くぞ」


「は…はい」


その言葉を聞いた王子様は


「俺も見に行ってよいか」


この質問にマーリン様はいいぞと答えて、エターナル平へ向かうことになった。今回は、風の魔法ウィンドカッターだ、今回は、目の前の大きな石に向かって発射するということになっている。


「フリージア…見本はこうじゃ」


『ウィンドカッター』


目の前の大きな石がスパンと切れたのだった。


「いいかわかったな」


「はい」


『ウィンドカッター』


私が魔法を使ったら、目の前の大きな石はスパンと割れながら崩壊していった。更に、その向こうにある山がスパンと切れてがけ崩れを起こしてしまっていた。


「「・・・」」


マーリン様も王子様もその様子に声を失っていたのだった。


「フリージア…まだ修行が必要じゃな」


「はい…」


こうしてしばらく。王子様は治療室に来ることはなくなった。











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