なぜに彼女ができぬのだ!
1995年 学生だった頃のお話
まだ学生だった頃、友人同士がお付き合いを始めた。
青天の霹靂!親友だと思っていたその男は、相談どころか女の影を全く感じさせることなく、いつの間にかクラスメイトとのお付き合いを始めていたのだった。
うぬぉれ!一体どうやって!?どういう経緯で!なんで俺じゃあないんだよぉお!
いやいや、落ち着こう。決して悔しくはない!悔しくはないッ!!、、、が何だ、後学のためにどっちが、どうやって告白したか聞いておこうじゃあないか!何だかちょっぴり楽しくなってきた。嫌がらせじゃあないぞ。私にだってそんな日が来るかもしれないだろ。
2週間前に男3人で出かけた北海道1週ツーリング。その同じコースを彼女と一緒に巡ったのだとノロケ話を聞かされ、あのツーリングは下見だったのか、そしてホテルでいやんいやん、などとあらぬ想像をしてしまった仕返しなどでは決してない!
もし、もし私に好きな人が出来たとき、人見知りで奥ゆかしい私にどうやって告白しろというのだ。その成功体験を収集し、分析し、来たる日に備えなければ私に彼女が出来ることはないであろう。
これは非常に重要な事案だ。ぜひ聞かねばならない。
2人に聞いた。別々に聞いた。からかっているのではない、情報の正確性を期すためには必要な事なのだ。そうこれは必要な事なのだ。2人は共に顔を赤らめ、同じ答えを言ったのだった。
「なんか、告白とかそういうのはなくって、自然に付き合うことになった」
うぉおおお!何だその答えは!俺に対する情報隠蔽か!
「どうやってお付き合いに持ち込むか」これは少子化を避けるために必要な国家レベルの情報ではないのか。なるほど、この有益な情報で特許を取得し会社を設立、モテない男共をカモにした独占企業を立ち上げようというのか。ついでに私に情報を与えず、彼女を作らせまいとしているのではないか。なんという嫌がらせだ!黒幕は誰だ!
今の時点で彼らの答えから分かる事は、私に彼女を作らせまいとする勢力があるという事と、2人の間が以心伝心であるという事だけだ。悔しい、、、。しかし万が一、彼らの言うことが本当であったなら、2人の間には一体どういう力が働いているのだろうか。
私は「彼氏彼女」の関係を築く上で「告白」と「同意」の2つは必須だと思っていたが、どうやら現実は違ったようだ。必須科目は「告白」ではなく「自然」だった。人は自分でも気付かないうちに自然に彼女が出来てしまうらしい。そんなことも知らなかったとは、モテない私を笑うが良い。そういえば適齢期の男女がこう言っているのを聞く。
「お見合いとかじゃなく、自然な出会いで恋愛したいんだよね」
そうか!自然とはこういう事か!なんてためになるんだ。なんとなく出会って、なんとなく恋に落ち、いつの間にか両親への挨拶も済ませて、気が付けば入籍、知らない間に子供が3人、、、出来る気がしねぇ、、、。
やはり、私に彼女を作らせまいとする陰謀があるようだ。春は遠い。
2021.04.27 タイトル変更 旧「不自然な自然」→新「なぜに彼女ができぬのだ!」




