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転生少女は欲深い  作者: 白波ハクア
少女学園編
35/64

第33話 新たな友達

 次に私が目覚めた時、そこは見覚えのない天井だった。


「ここ、は……?」

「──気が付きましたか?」


 白いカーテンの奥から、女の人の声。


「レティシア?」

「はい、私ですよ」


 カーテンの間を割って来たのは、この国の王女様、レティシアだ。


「ここは、何処なの?」

「医務室です。カガミさんが倒れているのをとある生徒が発見して、運ばれたんですよ」

「…………そう」


 そうか……あの時、私は気絶しちゃったのか。

 ダメだな。まだ、私は弱いなぁ……。


 あの人は発作で見えた幻影だというのは理解していた。

 でも、そう理解をしていても、脳と体が恐怖を覚えている。

 いざ前にしてしまうと、あの時の悪夢が蘇る。


「──っ、何処か痛いのですか!?」


 そんな焦った声を上げたレティシア。

 すぐにその理由がわかる。


「泣いているの……?」


 私は泣いていた。

 これは父親からの恐怖ではない。

 悔しくて、ここまで強くなったのに、何も出来なかった私がみっともなくて、泣いているんだ。


「……剣。私の剣は何処?」

「剣ですか? はい、どうぞ」



 レティシアが渡してきたのは、黒と白両方の剣だ。

 魔剣アトラク・メレヴァは側に置いて、私はもう片方の剣。エリスからの贈り物を抱きしめた。


 ──良かった。

 これがなければ、私はもっとダメになっていた。


「……余程、大切な物なのですね」

「うん、エリスがくれた、一番大切な物」

「これもあなたを運んだ生徒が持ってきてくれたらしいですよ──っと、噂をすれば、帰って来ましたね」


 廊下から響く足音。

 それが徐々に近づき、ガラガラと扉が開かれる音が聞こえた。


「ごめんねぇ、先生への事情説明が長引いちゃって……」

「いえ、今ちょうど起きたところです」

「おー、それは好都合だぁ」


 ピョコっとカーテンの間から、女の子が顔を覗かせる。


 人形かと思うくらい可愛い子だ。

 でも、不思議と目は何処か気怠そうに細められている。

 灰のように真っ白な髪を、大きく二つに纏めていた。


「初めましてー、無事に目が覚めたようで、安心したよー」

「あなたが私を運んでくれたの? ありがとう。私はカガミ、よろしくね」

「ボクはミーアだよ。平民だから下の名前はないんだぁ。よろしくねぇ」


 私とミーアは握手する。

 びっくりするくらい冷たい手だった。


「本当に驚いたよ。校内を散歩していたら、倒れている人を見つけちゃったんだもん。しかも、その人は今一番注目を浴びている子だったからねぇ」

「私のことを知っているの?」

「勿論だよ。入学式で騎士隊長様と一緒に来て、しかも人数に限りがある特生クラスに入ったんだもん。これで注目しないなら、何に注目しろって言うの?」

「うぐっ……確かにそうだね……」

「本当は何かして上げたらお金をもらうのが、ボクの主義なんだけど……今回はサービスしてあげる。その代わり、お友達になってよー。君達といると、面白そうだ」


 その言葉に、少し違和感を感じた。


 でも、ミーアは別に変わった様子はない。

 ちょっと、人間不信になり過ぎているのかな。

 きっと勘違いなのだろうと、私はそれ以上気にしないことにした。


「私は喜んで」

「ええ、私も、お友達が増えるのは嬉しいことです」

「やったー、何か困ったことがあったら、ボクに言ってね。これでも結構顔は広いんだぁ。良い情報をあげられるかもしれないよ。勿論、次からは情報料を貰うけどね」


 本当に不思議な子だな、と思った。


 私相手にはまだいい。

 でも、王女様相手にしても、ミーアは一切緊張した様子は見せない。


「それじゃ、もう遅いからボクは帰るね。またねー」


 ヒラヒラと手を振って、ミーアは医務室を出て行った。

 残された私とレティシアは、その自然な素早さに呆気にとられていた。


「なんか、不思議な子でしたね」

「そうだね……」


 でも、あの子は情報屋として優秀なのかもしれない。

 注目の的である私達相手に、嘯くメリットがない。

 だから、信用していいと私は思う。


 私はまだ何も知らない。

 この学園のことも、異世界のことも何もかもだ。


 だから、こういう味方がいれば少しは心強い。


「それで、カガミはどうして倒れていたのですか? 外傷は見えないとのことでしたが……」


 レティシアは心配したように、私の顔を覗き込む。


 その問いに、私はまたあの時のことを思い出して────


「うっ! ……くっ、ああ」

「大丈夫ですか!?」

「……はぁ、はぁ……ごめん…………今は、言いたくない」

「…………わかり、ました。もし、何かあったらすぐに言ってください」

「うん、私は大丈夫。大丈夫だから、心配しないで……」


 私は、レティシアを心配させないために頑張って笑顔を作る。

 ……でも、その笑顔は、上手く出来ていなかったんだろう。


 レティシアの瞳に映る私は、魔族を単独で撃退した少女とは思えないほど、とても弱々しく見えた。

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