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転生少女は欲深い  作者: 白波ハクア
少女学園編
33/64

第31話 二つ持ち

 魔法適性を確かめるのは、丸い水晶玉のようなものを使うらしい。


「はい、それじゃあ、順番にこれを触ってね」


 触れると何か吸われるような感覚があるらしいけど、先生は心配ないと言っていた。

 どうやら触れた対象の魔力を吸って、それを分析。何が適正なのかを水晶が記してくれるらしい。


 さっきと同じ順番で適性検査が始まり、次々とクラスメイトの魔法適性が顕になっていく。


 ……そういえば、私ってどんな適性があるんだろう?

 さっき強欲のおかげで、魔法適性を取得することが出来た。

 でも、何の属性なのかは教えてもらっていない。


「……あまり、緊張していない様子ですね」

「そう言うシアも、緊張しているようには見えないよ」

「ええ、私はすでに王城の方で検査を受けていますから、もう結果は知っています。でも、カガミは違うでしょう?」

「……そうだね。検査ってのを受けるのは、これで初めてだ。でもね、私の適性は気になるけど、別に緊張はしていないんだ」

「そうなのですか?」

「私は剣が主体だから、わかったところで変わらないんだよ。まぁ、魔法ってのには憧れがあるから、使えれば何でもいいかなぁって……」


 地球には魔法がない。でも、この世界には魔法がある。だから使ってみたい。

 私にはそれだけの理由しかない。


 強くなる上で、少しは役に立ってくれるなら頑張って練習して、私に合わないと感じたのなら、剣だけを頑張ればいい。


「次はレティシアちゃん!」

「はい」


 レティシアは平然とした様子で水晶玉に触る。


「おお! 噂には聞いていたけど、本当に二つ持ちなんだね!」


 二つ持ち。先生の言葉に、クラスメイトの大半はざわめく。


「二つ持ち……?」


 唯一、その言葉の意味がわかっていなかったのは、どうやら私だけだったらしい。


「二つ持ちというのは、魔法適性が二属性あるということです。私の場合は、火属性と水属性ですね」


 私が困惑していたのを察してくれたんだろう。レティシアが横に戻って来ながら、二つ持ちについて教えてくれた。

 どうやら、普通は魔法の属性は一つしか持てないらしい。

 それなのに、彼女は二つの属性を操れる。だからそう呼ばれているのだとか。


「へぇ、凄いんだね」

「……いえ、カガミさんに比べれば、この程度霞んで見えるくらいです」


 何でそんなに私を過大評価しているのかわからないけど、ここで反論しても信じてくれないだろうし、私がそこまで評価される人物じゃないってのはすぐにわかることだ。

 なので、行ってくると言ってその場を立ち、私も水晶玉へと歩く。


「本当に触れるだけでいいからね? 他は何もしなくていいからね?」

「……あの、先生? そこまで警戒されると傷つんですけど」

「だって、無駄に規格外なカガミちゃんが悪いんだよ! だから、本当に何もしないでね!?」

「はぁ、わかりました……」


 水晶に触れる。

 体の奥から何かが吸われるような感覚。これが魔力を吸われるってことなんだろう。


「さてさて、カガミちゃんはどんな属性を──」


 先生は水晶を覗き込み、石のように固まった。


 どうしたんだろう?

 そう思って私も覗き込む。


 そして私も、先生と同じようにピシリと固まった。


「二人ともどうしました? 何か問題でも……えっ…………?」


 心配してくれたレティシアが近寄り、呆然とした声を漏らした。


「ぜ、全属性!?」


 水晶に浮かび上がっていた文字には『全属性』とあった。


「か、かかカガミさん! これは一体何ですか!?」

「わからないって! 何で全属性!? 先生どういうこと!?」

「えっ! 私に聞くの!? 先生にだってわからないって! 怖いって! 私、カガミちゃんが怖いよ!」

「ひどっ!?」


 私達は混乱していた。

 予想外すぎる結果に、ただみっともなく慌てふためき、私と先生は互いに互いを質問しあう。


「ちょ、ちょっと壊れたんじゃないの!? カガミちゃん何かした!?」

「してる訳ないですって! 私はただ触れただけです!」

「そんな訳……ああ、本当だ。水晶は正常だ。ちゃんと私の属性だけが浮かんでる」


 実際に触れて壊れていないかを確かめた先生は、はぁ、と小さく溜め息を吐いた。


「とりあえず、これは早急に学園長に伝えなきゃならない。ちょっと先生は行ってくるから、みんなはここで適当に自習していて。それじゃ!」

「あ、ちょ、先生!? …………行っちゃった」


 走り去る先生に手を伸ばしたまま、私は呆然と立ち尽くす。


 今回に関しては悪いのは私じゃなくて、女神だ。

 魔法を使ってみたいと思ったのは認める。でも、全部とは言っていない。


「あの……カガミ? 大丈夫ですか?」

「ああ、うん……大丈夫。でもまさか、こんなことになるなんて、想像もしていなかったよ」

「それはそうでしょうね。私も、まさかカガミが全属性持ちだとは思いませんでした」

「……ごめんね」


 レティシアは、努力して二つ持ちになったんだろう。

 それなのに私は、欲しいと思っただけで全てを使えるようになった。


 きっと、嫉妬されているのだろう。私だったらそうなる。


 でもレティシアは、キョトンとした表情で私を見つめていた。


「何故、謝るのですか?」

「え、だって……私は何の努力もしていないのに、シアより属性を持っちゃったから……」

「……世の中には天才と呼ばれる人がいます。どんなに努力をしても、追いつけない人は何処かに必ず居ます。それが、カガミなのでしょう」

「私が……?」

「実は、私も皆から天才だと言われ続けていました。この学園でもそう呼ばれて、きっと私と並んでくれる人は居ないんだろうなと思っていました。でも、違った。お父様が言った通り、私と並ぶだけではなく、私を遥かに上回る人が現れてくれた。これは感謝です。私はやっとライバルを見つけることが出来たのですから」


 凄いな。と素直に思った。

 自分よりも強い人が居るのなら、それを目指して強くなろうとする。

 志が強い人にしか出来ないことだ。


 私にとって、レティシアが眩しく見えた。

前から予告していましたが、本日2月10日をもって毎日投稿を停止し、週一投稿となります。

ストックが無くなったのです……!申し訳ありません!


『転生エルフさんは今日も惰眠を貪ります』

に関してはまだ毎日投稿を続けます。これも週一投稿することになった場合、事前にお知らせします。


詳しい日程は活動報告とマイページの方に記載するのでチェックお願いします!

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