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砕けた絆

目標を失い、自衛隊での生活がひどく無意味なものに思えて仕方がなかった。

もう、二度と逢えない。

失恋のショックから食欲は失せ、無気力な日々が続いた。自分一人の力ではどうにもならない「終わり」という現実。それに向き合おうとするほど、訓練への集中力は削がれていった。

「国を守る」

そんな高潔な使命感を抱いて入隊したわけではない。

ただ彼女を失いたくない、その一心で選んだ道だった。言わば不純な動機だ。


言葉の壁さえ感じる山陽の地で、「自分は邪道だ」という思いが日に日に強まっていった。


同棲していたあの頃、なぜもっと二人の人生のために死に物狂いで努力しなかったのか。彼女は、それほどまでに素晴らしい女性だった。


しかし、彼女と過ごした五年間がなければ、その後の私の女性観や結婚観が養われることはなかっただろう。


歳月を重ねるごとに、彼女への感情は「後悔」から「感謝」へと変わっていったが、当時の自分にそんな余裕などあるはずもなかった。


数日後、川島班長から「外で一杯やろう」と声をかけられた。後輩の武田と三人、班長行きつけの小料理店へと向かった。



川島班長は真面目で、人間的にも非常に頼もしく、心から尊敬できる人だった。



酒の勢いもあって、私は胸の内にあった失恋の痛みをさらけ出した。お店の女将さんは慈愛に満ちた人で、班長たちと共に、まるで自分のことのように涙を流して私の話を聞いてくれた。

その晩、溢れ出す涙を隠すことは、どうしてもできなかった。


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