4 砕けた目標
目標を失い砕けた無駄な自衛隊生活に思えた。
もう二度と逢えない。
失恋から食欲不振で、無気力な日々が続いた。
自分だけではどうにもならない彼女との関係が消えた気持ちと向き合いながら、訓練にも集中できなかった。
国を守る。
そんな使命感に溢れた志ではない入隊。ただ彼女を失いたくない一心で入隊した言わば不純な動機。
方言さえも解らない山陽。自分は邪道だ!と考えるようなっていた。
同棲中にどうしてもっと全力で二人の人生を無我夢中で努力しなかったか。
彼女は本当に素晴らしい女性だった。
しかし、この彼女との五年間の付き合いがなければ、自分のその後の女性を見る目や結婚感・夫婦感は養われなかったと思う。
年数を重ねる度に彼女へ対する感情が次第に感謝へと変わるが当時の自分にそんな余裕はなかった。
数日後、香田班長から外で一杯やろうと後輩の山本と誘われて3人で酒を呑んだ。
香田班長は真面目で人間的にも頼もしいタイプで尊敬できる人だった。
班長の行き着けの小料理店に入った。
酒のせいで失恋してしまった事を明かした。
お店の女将さんもとても優しい人柄で班長らとまるで自分の事のように接して泣いてくれた。
その晩、流れる涙を隠すことができなかった。