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転職への不安

転職にあたり、私は面接で自衛隊時代の誹謗中傷という過去をどこまで話すべきか、深い悩みを抱えていました。

以前、委託配送の移行業務に携わった際、転職理由と共に過去の事実無根の噂を正直に伝えましたが、逆に誤解を招いた苦い経験があったからです。

しかし、この話を理解してもらわなければ先に進めない。それが就職先への誠実な配慮だと考え、履歴書にも事実を記載しました。その結果、不採用が続きました。

退職から約二ヶ月が過ぎた頃、ようやく一社の採用が決まりました。

私は面接で部長へすべてを話し、「できれば、こんな変な奴が面接に来たと社員へ話してほしい」とお願いして席を立ちました。

三日後、家族四人で朝食を囲んでいる時に採用の電話が鳴りました。

やっと自分を分かってくれる人に出会えたと家族の前でしたが、涙を隠すことができませんでした。

しかし、その感動は出勤後すぐに潰されました。

部長はプライバシーへの配慮から社員へ私の過去を伝えていなかったのです。

「私は貴方のその噂を知らないから」

という部長の言葉によって、私の覚悟は空回りし、入社早々から会社の歯車とは完全にかみ合わなくなりました。

私がなぜ就職で不利な話をしたか理解してもらえませんでした。

入社後、二週間の業務指導を担当したベテランの野田は、会社への不満を語るばかりで、仕事の教育は何一つ教えてはくれず、私は会社から渡された作業基準書を読み込み、独学で仕事を覚えるしかありませんでした。

相手の人間性を知りたいと考えました。

同乗中に過去の誤解について話すと、野田の態度は一変して険悪なものとなりました。ある時、野田が作業基準書で禁止されている固縛法を行った際、私がなぜその方法がダメなのか理由や事故例を尋ねると、彼は鬼のような形相で激昂しました。

運転中の私を助手席から靴で蹴るような行為まで受けましたが、やっと採用された会社。

私は湧き上がる怒りを必死に我慢しました。

野田は私に「マニュアル」という蔑称をつけ、毎日そう呼ばれる苛立ちに限界を感じた私は、会社に申し出てもう1人で走れますと独立しました。


この会社は大手鉄鋼メーカーの下請けとして配送を担っていましたが、積込先の倉庫にいたクレーン担当のMという男が、数ヶ月前から私への積込み作業を露骨に乱暴操作し始めました。

わざと重量物の吊り荷を激しく揺らし回転しながら、車両に落下させるような危険な行為を繰り返すMに対し、私は「いつか殺される」と直感しました。


その日、私はメーカーサイトへ「この下請け会社倉庫へ監視カメラを設置しなければ事故が起きる」とメールを送りました。

その直感は現実になりメールを送信したその日となりました。

Mは数百キロ近いパイプの束を荒く吊り上げ、回転させながら私の待つ荷台へと近づけてきました。


私が逃げると予想したのでしょう。

当たれば死ぬ。しかし、私は逃げませんでした。


「生きていれば、二度と歩けない体にしてやるここで終わらせてやる」という猛烈な復讐心を抱きながら、荷台から降りなかったのです。

回転するパイプの束に直撃され、荷台から地面へと叩きつけられました。

落下の瞬間、幼少期からの人生が数秒で脳裏に浮かぶフラッシュバックを経験し、「ああ、みんなこれを言ってるんだ。これで死ぬんだ」と感じました。

しかし、私は数秒後生きていました。

全身を激痛が襲う中、私は怒鳴りながらMを叩きのめすため走ろうとしました。が、3歩で背中と腰に激痛が走り動けなくなり倒れ込みました。

額からは血が流れ、ふと見た左手の親指は180度回転して自分を指していました。

救急車に同乗してきたのはあの野田でした。

Mと仲の良かった野田は、いつもの横柄さを消え大量の汗をかき、慌てふためいていました。

搬送されたのは、かつて母の骨折を誤診した病院で今回も単なる打撲と誤診されました。が、翌日、寝ることもできない激痛の中、別の病院で検査を受けました。

「腰椎の複雑な圧迫骨折」と判明し、全治二ヶ月の重傷でした。

また会社は労災手続きさえ渋り、自宅へ来た社長は「なぜ逃げなかった、危険回避しろよ」と言い放ち、私の抗議

「これは事故でなく事件なんです。」

聞き入れず全面的に私だけが加害者扱いでした。


復帰後、私は怪我を負わされた会社へ行き頭を下げさせられました。

部長からも「あんたほど問題のある奴はいない、一触即発な態度が悪いんだ」と罵倒されました。


一触即発な態度?

野田が嘘を吹き込んだのは明白でした。

さらに、社内主要免許取得後の昇給約束も私だけ反故にされてしまい、この会社ほど出勤したくないと思った場所はありませんでした。


年末仕事納めの日、大掃除作業中に私は額から骨が見えるほどの傷を負いましたが、誰一人声をかける者もなく病院へ行き五針縫ってから忘年会に向かいました。

遅れて着いた私が座ると、隣から「最悪」と一言告げらそ無視と冷笑があるだけでした。


数ヶ月後、私は非情なここへ辞表を出しました。


日常生活が突然崩れ始めるあの憤りは、経験した者にしか分かりません。

先に話しても誤解され、放っておけば勝手に周りが騒いで事実を塗り替えていく。

この「小説」に思いを書き留めても、悔しさは消えません。

しかし、私には家族を養う責任があります。あんな小さな田舎から出てきて、家族を持ち、ここまで必死にやってきた。私はこの怒りと悲しみをエネルギーに変えて毎日仕事に向かっています。

噂を流す輩はどこに潜んでいるか分からず、常に崖っぷちに立たされている心境です。

しかし、私は他人へ危害を加える境界線だけは決して越えるまいと生きています。

傷つけているのは自分だけです。



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