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事故 水没車

M&A。

この大手運送会社は、事故を起こすと個人情報と事故事例を写真付きで全国へと配布する規則があった。

この規則で、あの忌まわしい過去が浮き上がってくる事もこの時点で私は想像していたのかもしれません。


数ヶ月後、親会社から新所長が赴任してきた。

私は新所長に対し改善してほしいことがあるとお願いしました。

業績が悪化し、リストラも2度あり激減するドライバー難の中、過酷な労働化で多くの社員が辞めた事。その後も更なる異常運行体制でドライバーが食事もとれない状態へ悪化。短期間に多くが退職してしまった。

休憩と食事がとれる配送へ改善してくださいと切実なお願いした。

しかし、その後所長から具体的策が出ることもなく状況は変わらなかった。


そんなある朝、私は通勤中の自家用車で凍結道路にて事故を起こしてしまった。

廃車を選ぶほどの大破損だった。

所長から「知り合いの車屋なら格安で購入できる。廃車手続きも無料だ」と紹介された。

これが、更なる亀裂の始まりでした。

翌々日、所長から渡されたのは、購入品(車両)未記入の「白紙のローン用紙」を渡された。

所長は「心配しなくていいから書いとけ」と強要したが、不審に思った私は信販会社に直接電話した。

信販会社は「金額未記入の契約書で審査などあり得ません。一体どこの会社さんですか?」いったいどこの車屋か」と驚愕していた。

この時点で、全てが異常だった。


勤務は相変わらず過酷な勤務が続いた。

私は早朝5時に出勤して配達へ出発。夜の9時半にようやく帰社した。ホーム作業をしていた時、所長から「これから車屋が車を持ってくるから見ろ」と言い出した。

時計の針は、夜の11時になろうとしていた。なぜこれほど長時間働いた後に、しかも雨上がりの中で、傷など確認すらできない夜中に車を見なければならないのか。

車屋が持ってきたのは希望とは違う10年落ちのタント。ドアを開けると車内から泥の匂いがした。

その時点でお断りしたが、どうしてもこれにしてほしいと置いていかれてしまった。


日曜日、車内からの異臭、原因を探すため椅子など外しカーペットを剥がすと、底にはサビと大量の泥が付着し泥まみれのレジ袋も出てきた。

すぐにわかった。

これは津波被害を受けた「水没車」だ。

さらに妻の指摘で、リアのロゴが貼り直してあることに気づいた。

初めて車屋にあった時、修理したのは前面のフロントだけ、また親戚にスクラップ屋があると言うことを話していたことを思い出した。


私はこれまで新所長の顔を立て怒りを抑えてきたが、我慢することができなくなった。

さらにこんな車屋を紹介した新所長への不信感。

所長はこのことを知っていながら、この商売に加担したのではないかと言う疑惑も生まれた。

この際、あの新所長がどんな人間かを知るべきだと考えた。

車屋に電話し、喧嘩腰で怒りをぶちまけ、さらに新所長への不満もわざと新所長に耳に入るだろうと心の思いをぶち撒けてしまいました。


「一体どこからこれを拾ってきたんだ!お前らはもう信用しない。ディーラーで総点検整備させるから費用は全額負担しろ」


翌日、耳を疑う電話が入った。

車屋は一転してローン全額を一括返済し、車も引き取ると連絡してきた。


私は車を返し、自分で中古店を探し購入、新所長へ車はキャンセルしたと詳細は話さず報告した。


その後、いつ頃からか忘れたが所長は私を睨みつけるようになった。

ある日、私が作業中に不運な事故を起こした際、ついに所長の怒りが爆発、車屋の件を話し始めました。

一時間近く広島訛りで怒鳴り散らされ、


「お前はクレーマーらしいな! 車屋から全部聞いたぞ。あの人は空手二段なんだぞ、二度と連絡するな! わりゃーどんな人間なんじゃ!」


所長は、水没車、なぜ購入しなかった理由も部外者の車屋友人へ私が悪口を言ったとそればかりで己のメンツを潰した事への怒りしか表さなかった。

赴任直後に頼んだ改善策もなかった。

この所長の人間性を知るために車屋へ不満をぶつけた。

私は確信した。こんな奴の下では働けない。


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