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相棒と掴んだ権利

入社して4年目が経つ頃、倉庫長からツーマン(2人1組)の配送コースである「赤坂」に空きが出たからやれ、と告げられた。

しかし、その条件はあまりに過酷なものだった。

ツーマンの仕事を1人でやるか、あるいはこれまで通り2人でやるなら、別のトラックが担当していた「六本木」コースをプラスして、2倍の配送エリアをこなすかの選択を迫られた。


「どちらも承知できないなら会社を辞めろ」


最後通告だった。


私はツーマンを選んだ。

肉体的には限界を超えるかもしれないが、選んだ以上はやるしかなかった。


あまりのハードさに、それまで赤坂コースの助手だったアルバイトは数日で来なくなりました。

そこで社員として私の相棒になったのが、松本だった。

松本は根性があり、人情に厚い若者だった。

困っている人がいればすぐに加勢し、曲がったことが大嫌いな、喧嘩っ早い性格の持ち主でした。


午後の六本木は、時間との壮絶な闘いだった。

ロシア大使館周辺の交差点は、右翼車両と機動隊員らの睨み合いで連日のように渋滞し、30分以上も進めない。私たちはいつも時間との闘いでした。

赤坂と六本木の午前便を終えた後も、走行中のトラックの荷台に松本が乗り、ビールの選瓶せんびん作業を行わなければならないほど、毎日が時間に追われていた。警視庁の前で白バイに何度も注意される日々でした。


ようやく昼飯にありつけるのは、夕方5時近く。

会社はこのコースがいかにハードであるか、気づいてはいませんでした。


そんなある日。またも飯倉片町の交差点に右翼が来て大渋滞発生、六本木交差点へ進めなくなった。

ついに助手の松本の痺れが切れた。


「ガチャンッ!」と激しくドアを閉めて飛び出した。


松本は荷台から一升瓶を掴み出すと横のガードレールで叩き割った。そして鋭利な先端を片手に、奇声を上げながら機動隊の渦中へと走り出し、揉み合いになる。


飯倉片町の交差点に、松本の怒鳴り声が響き渡る。


「いったいいつまで待たせんだコラーッ!」


機動隊員に取り押さえられ、色白だった松本の顔が怒りで真っ赤に染まっていく。


こうした松本のキレ方は日常茶飯事でしたが、私たちはとにかく必死に二人で仕事をこなしました。


この松本と組み、過酷な毎日をやり抜いたことで、倉庫長もようやく私を認めてくれるようになった。


私は、採用してくれたこの会社に対して「5年間は不満を口にしない」と心に決めていました。

恩を仇で返したくはなかったからです。

そして、5年が過ぎたその年。

私は常務に時間をいただき、正面から向き合った。


「この会社は労働基準法第39条に抵触しています」


私は有給制度を設けて休暇を取れるようにすべきだと話しました。


翌月から、会社は有給休暇が取得できるよう制度を改め了承してくれた。

それは、理不尽な重労働と沈黙の5年を経て、自らの実力と誠実さで勝ち取った、確かな一歩でした。




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