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教育隊 光と影

その後、教育隊は脱走者も出ることもなく、無事に後期教育修了の日を迎えた。


教え子たちは、それぞれ各中隊へと数名ずつ配置されていった。


ある日、駐屯地内で一中隊へ配属された森新兵に再会した。


「班付!」


彼は明るい声を弾ませ、中隊の先輩から「タコ壺(掩体)掘りが上手い」と褒められたことを報告してくれた。

私は教育期間中、彼らに「がむしゃらに掘るな。

魚の鱗を取るようにエンピ(シャベル)を使え」と、私自身が新隊員時代に何度もトップを取った技を叩き込んでいた。先輩から「誰に教わったんだ」と聞かれ、彼は胸を張って私の名前を出したという。


「その勢いで頑張れよ」


私は彼と別れ、確かな手応えを感じていた。


しかし、その数日後。

他の中隊に配置された吉岡新兵が、私の部屋を訪ねてきた。

その表情に、かつての明るさはない。


「……何故か分からないのですが、中隊で差別されているんです」


吉岡は頭も良く、空手の有段者で体力もあった。本来ならどこへ行っても重宝されるはずの男だ。


彼の悩みを聞きながら、私は先月辞めていったもう一人の教え子の顔を思い出していた。

彼もまた、吉岡と同じように不当な差別を受け、自衛隊を去っていったのだ。


その原因が何であるか、私は気づいてしまった。


彼らが「私の教え子」だからだ。私にまとわりつく卑劣な噂が、影のように彼らをも侵食していたのだ。


普通なら、私がその中隊へ乗り込んで決着をつけるのが筋だろう。だが、今の私が前に出れば、彼らは「あのホモ野郎の仲間」として、さらに苛烈ないじめに遭いかねない。

何もしてやれない。守ってやることさえできない。


(俺の噂が、他人の人生までも狂わせている……)


自分はもう、人と関わってはいけない人間なのだ。


自分こそが、この世から消えなくてはならない存在なのだ。そう思うほどに、私の心は闇に深く沈んでいった。


その後、吉岡は連絡先を私に残し静かに自衛隊経験を置いて去っていった。




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