そのおまけ・二高調査報告あるいは第一部人物紹介
「これが調査員から送られてきた報告書です」
どこともしれぬ暗闇の中、女が男に何らかのファイルを差し出す。
男は無言でそれを受け取り、ぱらぱらと捲りつつ内容を確認する。
やがて男の口元がわずかに歪む。それが男にとってかなり珍しい表情――笑みだと知っている女は、訝しげに眉をひそめた。
そんな女の表情を見たわけではないのだろうが、男は無言のまま女に資料を差し出し中を確認するよう促す。
訝しげな表情のまま女は資料に目を通す。その内容とは――
人物紹介 (順不同)
西之谷 夕樹 (にしのたに ゆうき)
本作主人公兼語り部兼ツッコミ兼お色気担当。
かなりごく普通じゃない高校一年生。美少女と見まがうほどの可憐な美少年だが本人すごくアグレッシブ。中学時代は不本意ながらも喧嘩に明け暮れ、スレッジビルガーなどというとっても恥ずかしい厨二的二つ名を付けられるほど名が通っているらしい。
本質的には結構お人好しで平和主義者だが、平和を維持するためには拳をふるうこともいとわない主義。ゆえに喧嘩っ早いと勘違いされる事が多々ある。
校内で行われたアンケートでは男女問わずエロ関係各種一位を総ナメにした。ある意味すごい人気者だが本人全然喜んでいない。(当たり前だが)この要因は多分キャラクター制作時にモデルにしたのが読み切りエロ漫画に出てきたマワされる主人公だった所にあると思われる。もしこの話に続きがあるとすればまたエロい目に遭うのだろう。並み居る女性陣をさしおいて。(笑)
戦闘能力的には某ボガード兄並にあり、キレた全開時には殺意の波動を纏った格闘家に匹敵する……はずなのだが、周囲に次々と変人が現れその事実もかすみがち。
この話の中で自分の周囲が実はかなりの変態だらけと知って相当落ち込んでいるようである。がんばれ、ハイパーがんばれ。
イメージソングはくずで『生きてる事って素晴らしい』。
東山 暢照 (ひがしやま のぶてる)
物語の中心部にいながら完全に置いてけぼりになっている男。だが結果的にはなにもしていないのに美少女達に好かれ二股をかけるという偉業を成し遂げたアメリカンドリームの体現者。
見た目ヤクザ。しかし中身は善人以外の何者でもない。鋭敏すぎる視覚を押さえるためのサングラスがトレードマーク。
喧嘩が強いと思われていて周囲から恐れられているが実際の戦闘能力は主要メンバーの中でも下位。ただし恐ろしく頑強なので物理的ダメージではめったに倒れない。しかし精神的には結構脆いようで、檸檬から告白を受けた時には衝撃のあまり一週間ほど寝込んだ。
無口かつのんびりしているので話の流れに乗れないため、寡黙な人間と勘違いされている。実際主要メンバーのくせに台詞が驚くほど少ないが、それでいてフラグ立て能力は異様に高いようである。へんなフェロモンでも出しているのか。
一部では夕樹とホモい関係だと思われている節があるようだ。無論本人完全にノーマル。とはいっても恋する乙女二名からのアプローチに関してはほとほと困り果てている。なにしろなんで好かれているのか本人には全く見当もついていないのだから。
わりと酷い目に遭っているが本人の反応が薄いためかあまりそうは思われない。結構不憫なヤツである。
イメージソングはTOPSの『気分は地平線』。
南田 香月 (みなみだ かづき)
夕樹と暢照の数少ない友人その一。エセイタリアン。
制服を着崩してソフトハットを被るという普通の人間だったら恥ずかしくてやれないスタイルを貫き通している、ある意味格好いい男。
基本傍観者で時々ツッコミ。なにしろ戦闘能力に関しては皆無に等しいので巻き込まれたら僕死んじゃうと自重しているようだ。本来ならばもうちょっと役に立つ兄貴分的なキャラクターのはずであったが、話が進むうちに出番が大幅に削られた不憫なヤツ。(例えばトーナメントの場面では料理研究会引き連れて露店やってたのだが筆者が書くのをすぽーんと忘れていたりする)
もし続きがあるのであれば大幅に地位向上を図ってやろうと思う次第である。
なお全く関係ないが将来の夢は「ドラマの主人公達がたむろするような雰囲気の喫茶店を経営すること」だそうだ。
イメージソングは細川たかしで『うかれ節』。
北畑 星十郎 (きたばたけ せいじゅうろう)
東西南北カルテット最後のメンバー。ザ・噛ませ犬。
見た目はこれ以上ないっていうイケメン(笑)しかし中身はあほ。鳴り物入りで登場しすわ強力なライバルキャラかと思わせておいてなにこのがっかり感。筆者もびっくりである。
彼がここまで予定より落ちぶれた要因は、多分筆者が噛ませ犬的キャラクターが大好きだからだろう。扱い方がぞんざいなのではない、こういう扱いが愛なのだ。(凄い言い訳だなおい)
本来ならば戦国で無双BASARAチックな事が出来る程度には強いはずだったが、生まれた時代と出てくる作品を間違えたのが運の尽き。たとえこの話が続いたとしてもその真価が発揮される事は恐らくない。
ちなみにモデルは某水を被ると女の子になる主人公を一方的にライバル視する剣道部の先輩。そこからしてダメぢゃん。
せめてイメージソングは格好良くXの『joker』。負け犬の歌だけどな。
冬池 檸檬 (ふゆいけ れもん)
多分、恐らく、もしかすると……メインヒロイン。
ひょんな事で暢照に一目惚れし告白したまでは良かったが、思いこみと勘違いと諸事情が重なって状況を悪化させる要因となった全ての元凶。逆に言えばこの話をここまで持ち上げてくれた立役者でもあるのだが、なぜだろう感謝の念が欠片も沸き上がってこないのは。
良いところのお嬢さんで成績優秀容姿端麗。思いこみが激しすぎるのが玉に瑕。当初の予定ではただのお嬢さんとしてその存在を終えるはずだったが、なぜだかZ戦士っぽい領域の戦闘能力を持つにいたる。
メインヒロインのくせに出が遅い。その分を取り返すかのように後半では大暴れ。一から十まで筆者の予定を狂わせてくれた。キャラが立つ前に勝手に動いてくれたのである意味ありがたいつったらありがたい。しかし実の所未だにキャラが掴み切れていない恐るべき女である。
結局どさくさにまぎれて暢照を二人で仲良く半分こしたようだ。
イメージソングはPCゲームブルーブラスター、オープニングテーマ 『LOVE☆Drivin’』。ウォーシミュレーションから持ってきたのが拙かったのか。
春沢 小梅 (はるさわ こうめ)
ヒロイン対抗。デジモンなみに化けたキャラ。
この話の中で唯一のロリキャラ。が、それが生きているところはほとんどない。ツインテールにした意味なんざ欠片もねえぞこんちくしょう。
空気を感じるかのようにナチュラルテイストで暢照に惹かれていたが、檸檬の登場により恋心を自覚する……のはいいのだけれどなぜかだんだんとダメな子になっていった。最終的には東方で負け知らずのじーさまクラスの戦闘能力を持つにいたる。
頭から出っぱなしで檸檬より優遇されているように見えるが、こいつも一度動き出すと筆者の意図を無視して突っ走ってしまう困ったちゃんで勝手に出番を増やしてるだけ。話が進むのは良いのだがとんでもない方向に持っていこうとするため舵取りが大変だった。おかげさまで当初普通の三角関係を形成するはずがバトル漫画テイストに。まあ受けたようだから良しとしよう。
どさまぎで檸檬と共に暢照ゲット。しかし主人公とくっつかないメインヒロインと対抗って正直どーよ?
イメージソングはいきものがかり『夏空グラフィティ』。
夏川 かりん (なつかわ ――)
サブヒロイン。鉄拳乙女いや漢女。
180を優に超える背丈と海外モデル並のスタイルを誇る女丈夫。わりと常識人だが喧嘩っ早くすぐに手が、いやさ“足が”出る。
一部では疾風怒濤などという大仰な二つ名で呼ばれ夕樹と互角以上の戦闘能力を誇るが、約二名ほど人類外の領域まで至ったやつらがいるためあっという間にその事実が霞んでしまった。
実は可愛い物好きでちょっと腐女子入ってるがあまり表現されなかった。まあ下手な弄られ方するよりはマシであろう。よく考えてみれば当初の予定通りに動いてくれた数少ない貴重なキャラクターだったりする。
夕樹とくっつきそうで距離が縮まっていない微妙な立ち位置。話が続くのであれば次は彼女がメインに来るか? 香月と組ませるのも面白いかも知れない。
過去に何かありそうな雰囲気も臭わせているが、それが表現されるかどうかは神のみぞ知る。最低でも筆者には分からない。
イメージソングはアニメオーバーマンキングゲイナー、エンディングテーマ。(題名忘れた)
秋沼 林檎 (あきぬま りんご)
こいつをサブヒロインと呼ぶにはかなり抵抗がある。はっちゃけ百合娘。
メガネにひっつめ髪。外見はクールっぽい美人さんだが中身はあほ2号。ともかく思考がまともじゃなく最初から最後まで話を引っかき回してくれた。
真っ当に会話が成り立っている場面がほとんどないという美少女にあるまじきキャラクター。本人は至極真面目なつもりなんだろうが。あれだな、動物の面白い習性ってどんなにおかしく見えても本人大まじめだもんな。
女の子が好き。特に檸檬が大好き。で無論男が嫌い。なにか過去にあったのだろうがちっとも知りたくないと思うのはなぜだろうか。
戦闘能力は皆無に等しいはずだが、なぜか根拠なく自信満々で他人を挑発する。ある意味フリーダムな女。
今後があるとしても恋愛関係で真っ当な道に進むとは思えない。むしろ他人の恋愛をしっちゃかめっちゃかにする方向で大活躍すると思われる。そしてしばき倒されるのだろう。
なお気付いている方もいらっしゃるだろうが、夕樹達野郎メインキャラ4人の名前は「東西南北、田舎、空」を、メインキャラ女性陣は「春夏秋冬、水辺、果物」をベースに名付けられている。どうでもいい事だが。
イメージソングはPCゲームフーリガンより『フーリガン』。
天野 翔 (あまの かける)
不良教師。仮面のヒーロー。
夕樹達東西南北カルテットの担任で園芸愛好会顧問。態度はいい加減だが首になっていないところを見ると教師としては有能なのかも知れない。日本の教育現場の腐敗の象徴なのかも知れないけど。
ツッコミだが全般的にやる気がない。しかし生徒や自身が窮地に陥るとシリアスモードに切り替わる。まるでどこぞの万屋のようだ。
謎のPDAを所有しそれを使うことによってなにやら凄い力を発揮する事が出来るらしい。本人曰く現役時代は一年ほど頑張ったそうだがなんの事かは不明。不明ったら不明。
なお余談だが彼の愛車はモデルが存在する。だからどうした。
イメージソングはユニコーンで『PTA』。
麗射 淡夢路 (れい あむろ)
先輩。ツッコミクイーン。
二高生徒会の名実共に対抗組織である風紀委員会委員長兼世界規模の地下組織犬派二高支部支部長。どちらも本人が望んでその立場になったわけではないところがミソ。
周りにろくでなしが多いせいか高度なツッコミ能力を保有する。唯一生徒会長をある程度とはいえ制御できる人間なので一般人からは頼りにされている。事実上影の生徒会長と言っても過言ではない。
戦闘能力はかなり高め。かつては白い悪魔などと呼ばれ恐れられていたらしい。そのツッコミによってろくでなしを制してきた結果なのだろう。
言うまでもないがモデルは某有名モビルスーツ乗り。しかしツッコミに特化させたせいかその原型はほとんど残っていない。
イメージソングはTMネットワーク『メビウスの空を超えて』。
預菜振 詩亜 (あずなぶる しあ)
生徒会長。クールボケ。
二高学生の頂点たる生徒会の会長。及び世界規模の地下組織猫派二高支部支部長。嬉々として人の上に立つ女。
クールかつ冷静な女性に見えるが、その実とんでもないレベルのあほ。ただ頭は切れ高いカリスマのような物を持つために信奉者が多い。その能力をまともな方向に使わないのが問題だが。
淡夢路と違い望んで猫派に加わる心底からの猫好き。実は星十郎を猫派にスカウトしたのは彼女。
常に傍らに美少女を控えさせており百合なのではないかと思われているが実は両刀。夕樹とかりんを引き入れようとしていたのは狙っていたからだという疑いもある。
戦闘能力は高いと思われるが、それが発揮される前にいつも淡夢路にしばき倒される。二人の掛け合いは最早名物。
モデルは勿論赤いあの人。台詞の端にその原型が垣間見えるが時折別な人も混ざっている。面影が残っているのは女にだらしないところぐらいか。
イメージソングはこれ以外に有り得ない『シャアが来る』。
渋井 勘司 (しぶい かんじ)
校長。ダンディズム。
二高の校長。ダンディなおじさまと言う物が実体化したらこうなるのではないかという人物。
温厚かつ柔和。なぜか異常にダンディという言葉にこだわり会話のほとんどをダンディに結びつけようとする。それ以外は毒にも薬にもならない人物と言われている。
基本的に教師連や生徒達の行動に手を出さない。助言くらいはするようだが。一見放任主義かとも思われるが……?
学園に危機が訪れた時、彼の姿は校長室内に飾ってあるマスクと共に消えるという。
イメージソング……というかこの歌からこの人は生まれた。谷村新司『ダンディズム』。
マスク・ド・ダンディ。(ますく・ど・だんでぃ)
二高が危機に陥った時、何処からともなく現れる覆面紳士。
圧倒的な威圧感と内申書をちらつかせる事によって場を支配し、問題を解決に導く傑物。基本的に暴力に訴えることはないが、言葉で問題が解決できなくなると脱衣によって戦闘形態マスク・ド・ダンディ・ウェット&ワイルドへと二段変身。圧倒的な力によって困難を駆逐する。
その正体は謎。バレバレでも謎。
イメージソングは、これ歌ってる人なんつったけ『マッスルレボリューション』。
戦闘員の皆さん。
正確に言えば犬派過激派戦闘部隊「ケルベロス」と猫派過激派戦闘部隊「CAT」の面々。所詮やられキャラなので一緒くたにしておく。双方共に過半数が女性という設定だったがまったくもって意味がなかった。なんでこんな設定にしたのか自分でも良く分かりません。
ケルベロスのリーダーは挟上。実は九江洲に片思いしているが相手にされていない。
CATのリーダーは九江洲。淡夢路の言ったとおりすごいあほで百合。
これ以外に特筆することなど……あ、コスは皆で揃って一生懸命作りました。
イメージソングは纏めて筋肉少女帯の『タチムカウ』。
一応ラスボス……なのか?
生物部と科学部の皆さん。つか生物部部長と怪生物くらいしか印象が残っていないと思われる。特に科学部は存在のそのものにあまり意味がない。もしも今後この話が改訂されるのであれば消え去ることは間違いない。
頭がいいはずのになぜここまであほなんだろう。いや大好きだがこういうキャラクター。でも扱いはぞんざい。
イメージソングは氣志團の『OneNightCanival』。
その他の方々。
七井……生徒会書記。ちろっとだけでた。詩亜のお手つき。
落とし穴に落ちた生徒会メンバーの生徒……本名牛根居。こいつも九江洲に片思い中。あのあんぽんたんのなにがいいのか。
剣道部の皆さん……天国の後に地獄を見た人達。特待生を取るほどの強豪であったが、ぶち切れた夕樹一人に壊滅させられた。
放送部員(♀)……ノリと勢いだけで生きている女。天野先生とちょっとだけフラグが立った。名もないのにイメージソングだけはある。ポルノグラフティで『マシンガントーク』。
「………………」
なにこれ。女はそう口に出したいのをぐっと堪え、資料から目を離し男に視線で問い掛ける。
……いや良い笑顔でサムズアップしてんじゃねえよ。がっくりと肩を落しながら、女は気が進まない様子で口を開く。
「多々問題はあるようですが……状況は理解しました。続編を望む声も少しとは言えあるようですので、調査の続行という方向でよろしいのですね?」
女の言葉に男は頷くだけで応える。頭痛を憶えながら、女は溜息と共に言葉を続けた。
「まさかとは思いますが、我々の本編とうじょ……じゃなかった、直接介入とかありませんよね? 一発キャラですよね?」
男は良い笑顔で答えた。私は一向に構わん、むしろウェルカムと。
一方女はかなり本気で辞表の文面を考え始めた。
〜とりあえずおわっとけ。〜
これにて第一部は完結となります。
はい、第一部と謳っておりますので続きます。続ける事にしました。折角なので行けるところまで逝ってみましょう。
しかもただの続きではありません。次回は皆様の度肝を抜く展開が待ち受けている……可能性がなきにしもあらず。適度にご期待下さい。
………………他のネタも浮かんでるってのに、大丈夫か自分。(汗)




