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アルタイリク  作者: 芙蓉桜華
花園の夢
8/28

「りんご飴~♪りんご飴~♪」


隣の花穏は尻尾を大きく左右に揺らしつつ、嬉しそうにりんご飴を食べていた。


「花穏はりんご飴好きだな。」


祭りに行くたびによく買ってあげたものだ。

・・・もちろん今日も。おかげで財布は空に近い。


「幸っ!」


花穏は立ち止まり、こちらを振り返る。


「ん?どうした?」


「そ、その・・・今日はありがとう・・・。」


満面の笑みでそう言う。


「あ、ああ。」


花穏に素直にお礼を言われるのはどうも慣れない。


「わ、私はこれから仕事があるから・・・またね!」


そう言い捨て、尻尾を振りながら走り去っていった。


「忙しそうだな・・・。」


取り残された俺は、残りの資料でも読もうかと屋敷を目指す。


どんっ。


「おっと、すみません。」


通行人とぶつかってしまい、慌てて倒れた相手に手を貸す。

「ありがとうございます。こちらこそすみませ・・・、幸さん?」


「夢さん!」


ぶつかってしまったのは夢さんだった。


「どうして・・・。このタイミングで・・・・。」


途端に泣きそうな顔になった。


「え!ど、どこか痛かったですか!?」


ケガをさせてしまったのかと思い、焦る。


「だ、大丈夫です。何でもないです。すみませんでした、失礼しますっ!」


そう言い捨て走り去ってしまった。


「夢さん!」


後を追いかけようにも夕方になることもあり、増えた群衆に押され見失ってしまった。


「夢さん・・・。」


仕方なく、屋敷へ帰るのだった。





夢は一人家を目指して走る。


「なんで、どうして・・・。」


泣いてしまった。裏切ったのは自分のほうなのに。

涙は次々溢れてくる。


「どうして・・・。」


―――夢は走る。家を、ワヨウノクニを目指して。

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