始まり
「うーんこれかな?それとも…こっちかな…?」
目の前に広がる色とりどりの浴衣たち…。
花穏は着ていく浴衣に悩んでいた。
「お祭り…幸とお祭り…♪」
心はうきうき、耳はピクピク、尻尾はブンブン。
周りに花が見えそうなほど嬉しそうである。
「迷うけど…牡丹の柄にしよう。」
―パサッ。
部屋着を脱いで、着替え始める。
「失礼します、そろそろ行かないと遅れてしまいますよ牡丹様。」
「へっ?わっ!あ、ありがとっ!」
急いで待ち合わせ場所を目指すのだった。
✲
「お、お待た…
幸を見つけて声をかけようとすると、幸は夢と話していた。
「私と…デートなのに…」
途端、耳と尻尾がしょぼんとなる。
「お待たせ!幸っ。」
思い切り二人の間に割って入る。
「花穏、苦しい苦しい。」
「あ、ごめんごめん。」
必要以上に恨みまで込めてしまったらしい。
夢はいつの間にか去っていた。
♦
夢は厨房での仕事を終え、牡丹の部屋を目指していた。
今日の仕事も無事に終わり、残されたやるべきことはただ一つ。
ガチャリ。
資料だらけの書棚と、仕事机が部屋の中央に一つ。
「さて、と。」
緊張から耳をピンと立てながら、机の引き出しにポケットからカギを取り出して入れる。
カチャリ。
静かな音と共に引き出しが開く。
「どこかなあ?」
ガサゴソと中を漁り、目的の資料を見つける。
「あった。」
資料をコピーして魔力を少し込める。小さな火と共に資料は転送される。
出した資料たちを元通りに引き出しにしまう。
「・・・任務完了です。」
カチャリ。
部屋は入る前と変わらぬ状態になり、その日彼女は屋敷を出た。
「戦争・・・です。」
今日はどんどんいくです(p`・ω・´q)