お世話係
「で、部屋はここね♪」
障子が開かれた先には大きな和室。何畳くらいあるのだろうか…。奥には窓が見える。
中央には黒い大机があり上には急須や湯呑、お菓子が置かれている。
右側には掛軸、奥には簾が掛かっている。
左側には文机と本棚、奥には4畳分少し高くなってるところがあり、布団が畳んで置かれている。
「右側奥にある簾の先の戸がお風呂場の入口で、左側の段になってるとこが寝室。正面は通りが見えるよ~。必要なものがあったら言ってね。夕食は6時にここに届くから~。学校は9時からだからゆっくりしてて~♪」
「あ、ああ…ありがとう。」
「ん、またね~♪」
花穏が出て行く。正直この部屋で生活するとか緊張する。どこの旅館だよここ…。
「失礼します…。」
入ってきたのは桃色の髪に桜の着物を着た夢先輩。ショートに猫耳可愛いなあ…。
「今日から幸様のお世話係になりました…。よろしくおねがい致しします…。」
そう言って先輩は正座で頭を下げる。
「は?え、お世話係?」
「はい、何でもお申し付け下さいませ…。」
「いや、だってあの…先輩がお世話係って…。」
「私はここの使用人で先輩ではありません。そして、今日から私の仕事はあなたの専属使用人です…。御用がありましたらお声がけ下さい。」
「いや、あの…えっと…敬語をやめてくれると助かり…ます。」
「仕事なので無理です。」
きっぱりと言う、どうやら諦めるしかないようだ。
「えっとじゃあ…ここを案内してくれませんか?来たばかりで玄関とかも分からないので…。」
「かしこまりました、それでは行きましょう。」
そう言って先輩…夢さんは立ち上がる。後について行く俺に彼女は耳元で言った。
「それと…敬語はいらない…。私が怒られちゃうからやめて…?
部屋では私も敬語使わないから…。」
悪戯っぽい顔で言う、その小さな声は、俺の耳元に吐息と理解を与えた。
更新遅れてすみません((。´・ω・)。´_ _))
別の短編を書いていたので…
後でそちらも掲載します。