幼馴染みにはかなわない
「なるほど……、つまりお前が牡丹様で俺に国々の交流の手伝いをしろと……。そう言う事か?」
巻き込まれるのはいつものことだからいいとしても、この国、大丈夫なのかな……。トップがこいつとか不安しかないのだが。
「そうそう!流石は幸くん♪……余分なこと考える暇があるなら、もちろん協力してくれる……よね?」
ニコッとした笑みと共に言う。
「はい、喜んで!」
超能力者か?恐るべし、幼馴染み……。
「あ、そうそう、元の大陸には戻れないからね〜、お母さんに許可は貰ったし、学校もこっちに転入してもらうから〜♪クラスは松組で、授業内容は妖術と普通の科目だから〜。学校と仕事の両立頑張ってね♪」
「勝手に色々決め過ぎだろっ! 妖術って何だ、俺は祈祷魔法しか習ってねえ! そもそも人間だし……。」
「あ、それに関しては大丈夫♪ちょっとこっち向いて……?」
「あ、何だよ。」
仕方なく花穏の方に振り向く。
「んっ……。はい、OK♪」
何だ、今唇に柔らかいものが触れた気が……もしかして……これは……
「い、今何した……」
「何って……。キスだけ…ど?」
ぶいっとそっぽを向きながら言う。ヤバイ、可愛い……顔真っ赤だし、狐耳がピクピク動いてる……っておい!落ち着け、落ち着け俺。相手はあの花穏だぞ…。
「いや、俺が聞いてるのは何で突然キ、キスしてきたのかってことであってだな……」
「……この大陸では国の王族に力を継承する能力が受け継がれてるの。つまり、幸くんは今から妖術を使えるようになったってことだよ」
「……は?」
え?妖術ってそんなに簡単に使えるものなのか……?
「てか花穏、王族だったのかよ! 人気投票とかじゃないのか?」
「選挙なんてないよ〜。どこからどう見ても王族でしょ」
……見えません。
「ああそうそう、姿は変わらないから安心していいよ~。
……遺伝子的に若干変化したけどね♪」
「遺伝子的にってなんだよ! 遺伝子的にって!」
どう安心すればいいんだよ!
「気にしちゃダメダメ♪諦めて?」
「はい……」
わーい……黒いよー。
「とりあえず学校に行くのは夜だから……まずは部屋を案内するね♪」
立ち上がりふすまを開けながら言う花穏。
ついて行くしかないか……。
────俺はどうしてもこいつからは逃げられないらしい。