ワノクニ『花園』
「幸さん……大丈夫ですか?起きてください……。あの……」
……誰だろう。俺は何をしていたのだっけ?確か光に……って!
「ここどこだ!?」
「きゃっ」
勢いよく起き上がると、周りの景色は先程と一変していた。
俺がいたのは畳の敷かれた部屋だった。どうやら気を失って、部屋の中央の布団の上で眠っていたようだ。なぜだか懐かしい感じのする和室であり、見回せばそばには花園先輩。
夢先輩は心配そうに頭の上で耳を動かしながらこちらを見ている。ああ、垂れた耳が可愛いが、状況が飲み込めない……とりあえずっておい!
「先輩なんで猫耳っ…てか動いてる!?」
「あ、そのぉ……これが本当の私……です」
恥ずかしそうに俯きながら猫耳がぴくぴくと動く。
「はい?」
「ここは『和の国』と言う名の国で、私はこの国の出身なんです…。外…見てください…」
「外…??」
言われて窓から外を見る。どうやらこの部屋は2階にあるらしく、通りが見おろせる。
通りでは人々が話をしながら通り過ぎたり、店を開いたり…。和風な建物が建ち並んでいて、下町のように見える。
「っておい!みんな耳ついてるぞ!!」
何なの?みんなコスプレしてるの?あれ?でも動いてる。耳動いてるよ!
「……お分かりいただけましたか?ここでは…この国ではケモ耳の方しかいないのです」
「……」
「あの……?幸さん?」
そうかそうか、ケモ耳だけの国……ケモ耳……ケモ耳……
「……さ、最高だーー!!」
「……落ち着きましたか?」
「ああ、理解した」
「えっと……じゃあ説明、しますね……。聞いてないようなので……」
「ああ、頼む」
「私の国はひとつの大陸にあります……。大陸の中には、個々の文化に溢れた国々があり、今まで交流もなく、国はそれぞれ壁に囲まれていました……。あれですね」
花園が指差す先を見ると、窓の外の遠くの方に、壁が並んでいて、配置からするとどうやらまわりを囲んでいるらしかった。
「それを壊し、交流を始める計画をこの国の王たる牡丹様が立案したのです……。ただし不安要素が多いので、審判として誰かを連れてこようという事になりまして……。あなたが牡丹様に選ばれたのです。……話は聞いていたものと思っていたのですが」
「えーと、何も聞いてないぞ。そもそも牡丹…様?という方も知らないんだが……」
「え?あぁ……その、牡丹様はそちらでは
パシンッ!ふすまが勢い良く開く。そこに立っていたのは銀狐の少女。毛並みは月の光そのもののように銀の光を発し、艶やかな短髪が動きに合わせて跳ねる。髪留めには蓮の飾り、服にも蓮のうず模様があしらわれ、丈は機動力を重視してか、短い着物だ。
「夢〜!ここに連れてきちゃったって、報告があ……」
夢に抱きついた少女の視線が俺に向く。
「はあ?!」
そこに居たのは紛れもなく花穏だった─────。
ケモ耳は可愛いのです♡正義なのですw
次回も頑張りますっ´ω`*