プロローグ
突然ですが、皆さんは幽霊という存在を信じていますか?
この問いに対して
「あっ!?そ、そんなのこの世に存在するわけねぇだろうが!!し、シバくぞ、こらっ!?」
と、強がるヘタレヤンキーがいれば、
「幽霊はこの世に存在するのよ!!何故なら私が幽霊なのだから!!私はこの世を滅ぼさんとする悪の霊達、その名も悪霊レイズ達と闘うために甦った幽霊。その名も…」
と、中二病を全開で発動しまくるオタク女もいるだろう。
幽霊がこの世に存在するかしないか。その答えは人によって様々であろう。
ちなみに数日前までの僕は迷わずこう答える。
「幽霊は存在する訳がない」と。
何故数日前なのかって?それは数行後に分かる事だから気にしなくていい。
幽霊は存在しないという根拠なんてものはない。願望だ。
何故なら幽霊は存在する価値がない生物だからなのだ。
よく考えて欲しい。
ある映画で登場する幽霊は、
「貧血ですか?大丈夫ですか?」
と、心配してしまうくらい真っ青な表情で、やたら血走った眼球でメンチを切りまくる危ない人として登場したりする。
また、ある作品ではごく普通の家庭に勝手に住み着いて、働きもせず飯だけ喰らう、ならず者の極みとして登場する。
人を恐怖に陥れるかただ飯を喰らうしか能がない幽霊に、果たして存在意義はあるのだろうか?
全く存在する必要がない!!
あえて二度言おう。
全く存在する必要がない!!
だから僕は幽霊の存在を信じない。この世に幽霊ほど不確かで不要な者は存在しないのだから。
……と、数日前までの僕はそう思って生きていた。
だが、今の僕は違う。
「幽霊は存在すると思いますか?」
と、訊ねられたら迷わず答えるだろう。
「あっ、はい。いるっす!幽霊は間違いなく存在するっすよ!」
と、軽く答えるであろう。
何故なのかって?
答えは簡単。
今、僕の隣に不確かで不要な者である幽霊が存在しているからである。