書けない
私は何も書けていない
風景が書けない
涙が出るほど美しい朝日が書けない
沈む夕日の美しさが書けない
月明かりの温かさが書けない
冷たく凍えるような砂漠の夜が書けない
春の日溜まりに喜ぶ北国が書けない
動物が書けない
風のように駆け巡る馬が書けない
当たり前に空を飛ぶ鳥が書けない
悠々と水の中を泳ぐ魚が書けない
見たこともない神獣が書けない
聞いたこともない魔獣が書けない
人が書けない
人の歓喜が書けない
人の悲哀が書けない
人の憤怒が書けない
人の善が書けない
人の悪が書けない
私の中にある風景
私の中にいる動物
私の中に住む人間
私はどれも書けていない
私は何も書けない
私は何も表現できない
絵画は全てを見せ付けるけど
小説は全てを見せられない
それでも私は書いている
拙い文で書いている
私の中にある世界
誰かに知ってほしいから
誰かが知ってくれたなら
私一人の世界じゃない
私は今日も書いている
だってなろうの作者だもん
読むのは簡単 書くのは至難