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二十四話「来ると思ってたわよ」


「えっ」


 これが初めてで無いことを知っているからか、アレクの驚きはそんなに激しくなかった。


「「……えっ?」」


 もっとも、やっぱり聞こえてしまったらしい神官さん二名は疑問符付きの言葉を発して完全に固まってしまっている。


「うわぁ」


 今度はあたしが顔を引きつらせるターンである。というか、どうしよう。


(落ち着かないと、こういう時こそ冷静に)


 うやむやにするか、それとも腹をくくって話すか。アレクの修行という訳でも無いのにいきなり判断力試される状況になっちゃってるのは何故だろう。


「なんで、なんでほかのかみさまをあがめてるひとにこえがきけてわたしたちにはこえがきけないのかしら?」


「しれんですぅ、きっとかみはわたしたちをためしてられるのですそうにきまってるですぅ」


 目が死んでしまった神官さん達が何かブツブツ呟いているような幻聴が聞こえてきた気もするが、あたしは気にしない。


(何か、打開策。こう、この状況をまるっと解決してくれる素敵な方法は……)


 人でも良い。


(そう、例えばアッバスさんとか。もうこういう時の為の人材よね)


 頭の中で浮かべれば次の瞬間脈絡もなく登場して、「うむッ」とか鷹揚に頷いてくれる人。


(ふふ、今回はツッコまないわよ? むしろいつものことのように動じず、挨拶してみせるわ)


 決して現実逃避などではない。あたしは気づいていたのだ、人の気配と大柄な人物のものと思われる重量感ある足音に。


「また会ったわねアッ――」


 確信を込め、あたしは振り返る。


「あらぁん、先日ぶりぃ♪」


 ほぅらおもったとおり。きんにくしつのだんせいがたっていました。


「なんでここでう゛ぇごんさんなんですか」


 確かアレクに感謝のプレゼントを渡しに行った帰り、中庭で思わず目を留めてしまったおねぇな男の人がそこにいたのだ。ないわー、こういう時に限って思いっきり別人とかないわー。


「決まってるじゃなぁい? 今日も修練よぉん」


 ああ、あれきょうもやってたんですね。こころここにあらずだったからきづきませんでしたよ。


「そんなことよりぃ、お困りの様子じゃなぁい? は・な・し・て・み・な・さ・い・よ、男は包容力、良かれは良きなり、力になるわよぉん?」


「えーと……」


 いつもおもうのだが、あっばすさんといいこのひとといいどうかんがえてもいろものなのに、なぜみょうなところでまともだったりりょうしんてきなそんざいだったりするのだろうか。


(というかここで話したらうやむやになるどころかかえって話が広がっちゃわないかしら)


『私としては神官達の善性を信じたい所ですが、おそらく貴女の懸念は間違っていません』


 というか、まだ居られたんですね光神様。


『不意に声をかけた私にも責任はありますし、ここは私に任せて頂けますか?』


(えっ、ええ)


 突然の申し出に思わず心の中で頷くことしかできなかったあたしは、この直後後悔する。


 あんな事になるなんて思っても見なかったのだ。



いつから登場するのがアッバスだと思っていた?


ちなみにヴェゴンさんの初登場は十一話です。

いやー、伏線って難しいですね。


続きます。

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