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二十三話「修行してパワーアップするって展開ありがちだと思うのよ」


「流石神官長様ですね」


「ええ、そうね」


 とりあえず同意はしておいたが、あたしが心ここにあらずなのは言うまでもない。


(小説とかアニメみたいに面白みのないシーンだからとか言う理由でスキップしてくれればいいのに)


 お偉いさんへの報告が終わったアレクとあたしが向かうのは、中庭。


「さぁ、楽しい修行の始まりですよ?」


 何てことはアレクも言わない。


(というか、言ったらいいのに)


 そうすればあれくにつっこみをいれてそののりでいろいろうやむやにしてかえれるのに。


(はっ、あたしは何を?!)


 こう、何だろう。小学校の予防接種の列に並んでいた時の様な気持ちが、あたしの心をダークサイドに引き込みかけていた。


(はぁ、何をされるのかしら)


 立派な神官として独り立ち出来るお手伝いとアレクは言っていたが、嫌な予感しかしない。


「せいッ、せいッ、せいッ!」


「腕の振りが小さぁい!」


「オオッス!」


 中庭で修練を積む神官さん達の声、というよりもその合間に聞こえるビシッとかバシッという音があたしを更に帰りたい気持ちにさせていた。


(瞑想とかならこんな動き回れる場所に連れてくる必要ないものね、ということは……)


 たぶん、この時のんびり考えていないで脇目もふらず逃げ出すべきだったのかも知れない。


「さて、此処で少し待っていてください」


「え?」


 あたしが我に返った時、アレクは中庭の片隅にあった物置の様な小屋に入って行くところで。


「状況判断を鍛えるなら、模擬戦だと思うんですよ」


 数分後、笑顔で出てきたアレクの腕には複数の木製武器が束ねて抱えられていた。


「それに話してくださったことを加味すると、出来るだけ早く強くなっておく必要もありますし」


「ま、まぁ間違ってはいないわね……」


 そもそもあたしが出くわしたのが三馬鹿暗黒神官ではなく危険な方だったら先日の時点で詰んでいた可能性だってあるのだ。


「安心してください、私の奇跡なら骨折だって数秒で完治させられますから」


「あんしんしたくないですよ?」


 そもそも、それはけがをぜんていとしたはーどなくんれんするってことじゃないですかやだー。


「そう言わずに。痕だって残りませんし」


「言うわよ。痛いのは嫌なの!」


 誰だって嫌だというツッコミはご遠慮頂きたい。何故なら。


「うわぁ」


「……アレク様、そう言う趣味が」


「「えっ」」


 たぶん修練の為に物置に何かを取りに来たっぽい神官さんが二人、振り返ったあたしとアレクを形容しがたい顔で見ていたのだ。


「そう言えばあなた、アレク様が好きだったわよね? 励みなさい、応援するわよ?」


「ちょっ、待ってください。私っ、痛いの駄目なんですぅ! って言うかご本人の前で何言ってくれてんですかぁ!」


 一人がもう一人に噛み付き始めたとかはどうでもいい。


「なんだかもめてるみたいですが、どうみてもごかいされてますよね?」


「え、ええ」


 問題は、今アレクとあたしに誤解からあらぬ疑いがかけられていることだ。


 というかこのせかいにそういうちきしというかしゅこうがにんしきされてたんですねどうせひろめたのせんぱいのだれかだろでてこいぶんなぐってやる。


<物語の途中ですが失礼します。主人公がMであったことが判明した為、次回からタイトルは「M神官が行く」に変――


「変更すんなぁぁぁぁぁッ!」


 気づけばあたしは、思わず脳裏に流れた謎のテロップに脊髄反射で叫んでいた。


「「ひッ」」


 何だかもめてた神官さん達が怯えた顔でこっちを見たが、もうそれはいい。


「ふふふ、誤解は正さなくちゃね、アレク?」


「えっ、ええ」


 ここでこの神官さん達に逃げられたら社会的にあたしが死ぬ。なぜアレクまで引きつった顔をしてるのかはわからないが、これは譲れない。


「まずはOHANASIしましょ?」


『その前に落ち着かれた方が良いでしょう』


 ただ、気魄を滾らせ一歩前に足を踏み出そうとしたとたん、聞こえてきた声は。


「光神様?!」


 まぎれもなく先日この神殿で聞いた声だった。


タイトル変更は、当然嘘です。

うーむ、4/1にやるべきだっただろうか。


ともあれ、M疑惑に取り乱した主人公。忘れた頃に回収されるフラグ。

一般神官さん二人もいるのに叫んじゃって大丈夫だったの、主人公?


そんな感じで続きます。


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