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十四話『明日は仕事の予定だからしっかり睡眠とりたいのだけれど』

 色々世話を焼いてくれた神官さん達の顔を潰す訳にはいかない。


(お披露目を成功させる為にも明日からバリバリ働くつもりだったのに)


 何故、あたしはこんな所にいるのか。


「俺に祈ったり質問したからに決まっている」


 あたしの思考を呼んだかの如く答えたのは、真っ正面にいた古代な仮面の人こと暗黒神様。


「と言うことは、ここは夢の中なのかしら?」


「ご名答。まず、二次元に逃避するかだが……」


 頷いた暗黒神様は、あたしが祈った時の問いに答え始め。


「ごめんなさい」


 そう謝りたくなった。


「何を謝る? しもべたる司祭や神官の言葉に答えるのは当然のことだ」


「いえ、わざわざ答えてくれるなんて思わなくて」


 しかも、こちらは質問したことも忘れかけていたというのに。


「それはさておき、大変なことになったようだね」


「えー、まぁ。神殿お披露目のことですよね?」


 このタイミングでわざわざ接触してきた理由が「二次元に逃避するかどうか」について答える為だったら、元々自分が質問した事だって言うのを棚に上げて、あたしはこの神様を問いつめると思う。


「俺としてもそちらの事情は理解している。だから、カムフラージュとして他の神や存在しない架空の神の神殿とし、その神を崇めるフリをしても俺は咎めない」


(やっぱり、変な方に考えすぎたみたいね)


 こちらの立場を理解し、偽装に対してのお墨付きをくれた。きっと、夢に現れたのもこちらがメインなのだろう。


「俺としては君のような神官がありがたくてね。教義を歪めて捉え犯罪を正当化したり、人を掠ってこちらが望んでもいないのに生け贄として殺害するような輩にはうんざりしていたのだよ」


「うわぁ」


 暗黒神の神官と言えばそっちの方が普通ってイメージがあったのだが、口ぶりから察するにお気に召さないようで。


「実際、本物の俺は光神同様にこの世界を見限ろうか迷っているところでね」


 言いつつ、暗黒神様の端末と思われるその人は、ちらりとあたしを見た。


「え゛っ、もしかして……」


「あぁ。正直に打ち明けてしまうと、自分のシステムが資質を与えた異邦人が久しぶりに現れて、気になってしまったのだよ。そう、眠りにつくのを迷う程度に」


「ちょ、ちょっと待てぇぇぇぇっ!」


 それはなんですか、あんこくしんさまがこのせかいをみかぎるかはあたししだいってことですか。


「まぁ、間違ってはいないよ。とはいうものの、君の感覚で言うなら気になるアニメがまだ最終回に至っていないから今日もテレビを付けておこう程度のものだがね」


「えっ、あたしの存在って娯楽相当?」


「俺としては変にプレッシャーを感じて欲しくないからと言った意味の気休めでもあったのだが」


「や、ものにはもっといいようもあるとおもいますよ?」


 思わず時々平仮名になってしまったが、娯楽扱いでもこれはかなり責任重大なのではないだろうか。


「異世界からの漂流者には国を救った者もいれば、倒した者も興した者も居る。これは口外無用に願いたいがね、眠りについた神のかわりにこの世界の神の座に納まった者さえいるのだよ?」


「は?」


「そう言う者も居るのだから、取り立てて凄いという訳では無いと思うのだがね?」


 それはかみさまになったひとがぶっちぎりですごいだけです。


「というか、いっかいのじょしがくせいにはにがおもいとしかいようがありませんよ?」


「大丈夫、君ならやれると私は思う」


 何だか人の人生を間違わせる担任教師の言葉に似たようなものがあった気がする。


「と言うか、プレッシャーが凄いのだけれど」


 押し潰されそうとでも言おうか。人生経験が二十年に満たない少女に、神はなぜこの様な試練を与えたもうか。


「やれると思うから、では不満かな?」


「不満というか、不安ね。期待に応えられるかって言う……」


「基本的に君達に与えた資質は限界まで成長させることが出来れば、本物の俺を凌ぐ事さえ不可能ではない。それ程大きなものだ」


「なんですと?」


 今日は何て爆弾発言を投げられる日だろう。


「ああ、現実ではもう午前0時をまわっている」


「夢の中じゃあたしには解りようないわよ……って、そうじゃなくて」


 努力すれば神様にもなれるって、なにそれこわい。アニメとかライトノベルとか神話には確かに神様になった人が出てくるし、現実でも神様として奉られてる偉人は存在する。


 もっとも、一歩間違うとそのあと魔改造されてゲームのキャラとかにされることもあるのだが。武将と呼ばれる方々が良い例だと思う。戦争物でユニットとして扱われたり、性別まで変えられて恋愛ゲームの攻略キャラにされたり。


(この世界でコンピュータゲームが作られるとしても遙か未来だろうけど、ねぇ……)


 あたしだって、歴史に名を残す英雄になれることを前提にするほど自惚れる気はない。ただ、思っただけだ。何百年も先に一人歩きした伝説によって同胞がとんでもない姿にされるのではないかと。


「あー、えっと、とにかく、あたしにそんな大役が務まるかは解らないわよ?」


「大丈夫さ、君なら」


 平静に告げるその根拠が知りたかったが、たぶんあたしが資質を授かった時点で賽は投げられていた。


「それに、今は明日からの仕事を片づける事でいっぱいいっぱいだから」


 言い訳は、してみる。もっとも、こんなものはポーズだ。


「投げ出せないなら、出来る範囲でやれることをするだけとしか言えないわ」


 しかし、何でこんな事を言ってしまうのだろう。まだ冒険者としても宅配をこなしただけだというのに。


「それでいい。いきなり神になれとは言わないさ。一歩ずつでも進んでいけば、きっと」


「そ」


 やたら確信の籠もった仮面越しの視線にあたしは何か言い返したくなったが。


「あれ?」


 急に襲ってきた倦怠感に意識が遠のき始め。


「仕事前の休息が充分とれるよう小細工をさせて貰った」


 ゆっくり休むといい、という気遣いの声を最後にあたしの意識は完全に途絶えたのだった。



実はチート化して主人公最強ルートもあったというぶっちゃけ話。

選ぶかどうかは主人公次第ですが、当分はそれどころじゃないかな。


続きます。

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