第2話
担任から名前を呼ばれて、
可愛げのない返事をしたコイツこそ、
中1の頃から俺が好意を寄せている相手。
感情に素直でコロコロと変わる表情と、
男っぽい性格の中にたまに現れる
女の子らしい優しい一面に惚れた。
最初、普通にクラスメイトの1人として
仲がよかったころは、どちらかと言えば
男子を相手に話しているような感じがしてならなかった。
中学に入って急激に増えた、可愛い子ぶる女子。
女子は隠しているつもりらしいが、
裏の怖い顔も男子はちゃんと知っている。
鼓膜を刺激する作りものの高い声、
いつも同じ仮面のような笑顔、
そして、その仮面の裏に隠された腹黒い影・・・。
でも、アイツはそんなクラスの女子とは少し違った。
外見だけ見れば、普通の女子生徒。
髪も長く清潔感があり、
一般的に言う女の子らしい部類に入るんだろう。
でも性格は他の女子と少し違った。
少し荒っぽい言葉遣いや、男勝りな性格。
嬉しいときには感情のままに喜び、
悲しいときには落ち込み、
腹が立てば素直に怒りを表し、
楽しいときは思い切り楽しみ、笑う。
可愛くみせたいが為に表情を作り、
自分のマイナスの感情を見せないよりも
よっぽど人間らしく自然な人間だった。
だけど、アイツには好きなヤツがいる。
アイツにとって俺は、クラスメイトであって、
男友達であって悪友でしかない。
言い方を変えれば、恋愛対象として
多分見られていない。
でも、それでも構わないと思った。
それがたとえ、悪友と言う関係でも、
クラスメイト以上の関係で居られる。
そして、アイツの力に少しでもなれて、
アイツが笑っていられるなら、それでいい・・・。
「蓮、おっはよ~!」
移動した教室で、出席番号順に並ぶ
前の席からアイツは元気よく声をかけてくる。
俺にこんなシリアスな雰囲気は似合わないや。
これから2年間、まだ同じクラスで居られるんだから、
アイツみたいに素直に喜ばないと。
「おう。また2年間同じクラスだな」