第22話 挙式!
正絹に鳳凰の舞う華やかな錦織の白無垢を、お引きずりでしずしずと畳の上を進む花嫁。
金に近い茶色の長い髪は結い上げて、角隠しをつけている。
魁の白無垢姿は綺麗だ。
「契約結婚とはいえ、こんなに綺麗な人と結婚できるなんて……」
金屛風の前に立ち、感激の涙を流す桜は、紋付き袴姿だ。
暦の上では秋だが、実際はめちゃめちゃ暑い9月。
桜と魁は結婚式を挙げた。
契約結婚な上、人前式である2人の挙式は、わりと自由だ。
綺麗になった応接間で2人の挙式は行われた。
出席したのは鬼頭家の面々と、鬼側の代表者だ。
魁の執事である真鬼の姿はあるが、移動には洞窟を使うようになったので運転手の姿はない。
花嫁と花婿を見て楽は母に向かってコソッと言う。
「何か間違ってるよね?」
「そうねぇ」
母は首を傾げた。
父は引きつった笑みを浮かべて言う。
「いいんじゃないか? 契約結婚なんだし」
「そうじゃな。契約結婚なんだから、こんなもんじゃろ」
同じく引きつった笑みを浮かべた祖父が言った。
挙式といっても契約結婚なので、簡単かつ変わったものだ。
盃を交わした後は、選手宣誓のような誓いの言葉を2人で言って終了した。
「緊張したぁ~」
紋付き袴姿の桜は溜息を吐いた。
「ふふ。お疲れさまでした」
魁が白無垢姿で桜をねぎらう。
(なんかもう、なんかもう、美人を妻にした新郎の気持ちが何か分かるような気がする~)
桜は感動しつつも、契約結婚なので気は楽だった。
「魁さんもお疲れさまでした。契約結婚とはいえ、疲れますよね。魁さんは白無垢姿ですし。きつくないですか?」
「ふふふ。そうでもないですよ。僕、鬼なんで。こう見えて体力はあるんです」
魁はおどけて白無垢姿のまま力こぶを作るポーズをとってみせた。
「そうでしたね。はははっ」
(そうだった。魁さんは鬼だった。普段は忘れちゃうなー。まぁ、覚えている必要性もないし)
桜が自分に突っ込んでいる間に、魁はボソッと言う。
「今回は契約結婚だから……本番では……」
「え? 何か言いましたか?」
「ううん。何でもない」
魁がうふふと花のように笑う姿があまりにも美しかったので、桜は頬を桜色に染めた。




