第18話 契約、契約
桜は契約結婚を受け入れることにした。
「わたし、契約結婚をお受けします」
桜がそう告げると、祖父と父は腰を浮かして叫んだ。
「「桜ぁぁぁぁぁぁ⁉」」
「ああ、もう。見苦しいわね、2人とも。契約結婚くらいで大騒ぎしすぎよ」
母は堂々と落ち着いていて、2人をたしなめた。
「ありがとうございます。桜さん」
「ふふ、よろしくお願いします。魁さん」
魁は嬉しそうに頬を赤らめているので、桜もなんてなく頬を赤らめた。
(契約、契約。それは契約結婚なんだから)
桜は自分を落ち着かせようとしてみたが、無理だったので視線をズラして俯いた。
真鬼が書類を取り出して、サッと祖父の前に置いた。
「では、こちらの契約書にサインをいただけますか? まずは、家長である悠さまのサインをこちらに……それとこちらにも……」
「う……うむ」
祖父は諦めたように溜息を1つ吐くと、ペンをとって大人しくサインをしている。
(なんだかんだ言って条件がいいもんねぇ。あれなら我が家はもう働く必要がないでは?)
桜は契約により鬼頭家へもたらされる財について、ちょっとだけ考えた。
魁は、サインを終えた桜の祖父へお願い事をした。
「契約結婚にあたり、お願いしたいことがあります」
「うむ」
(やっぱり他にもお願いするよね~。契約内容よすぎるもん)
「そちらに関しては別にお礼の用意があります。真鬼」
魁が声をかけると、真鬼はサッと書類を出して主に渡した。
祖父に条件を提示しながら、魁は説明する。
「鬼の里へ繋がる洞窟の封印を解いていただきたいのです」
「ああ。あそこか」
「あそこ?」
(鬼の里への通路なんてあるの?)
桜が首を傾げていると、祖父は説明する。
「ああ。いつも儂らがチ……ャンバラごっこをしとる辺りの洞窟……ほら、しめ縄のある大きな洞窟じゃ」
「あーあそこ?」
「ああ。あの洞窟が鬼の里へ繋がっているようだ」
祖父は桜から魁へ視線を移した。
「分かった。封印は解こう」
「ありがとうございます。あと、よろしければ、こちらの敷地内にある家を一軒、借りられないでしょうか?」
「ああ。使ってない建物はいくつかあるな……だが住めるかどうか」
「それは心配いりません。里から若い衆を集めて手入れをさせるつもりですから」
真鬼が後ろの方で頷いている。
「なんだったら、建てますので。許可だけいただければ」
「分かった。許可しよう」
「ありがとうございます」
(……ん?)
祖父に提示された条件が気になっていた桜だったが、引っかかるものを感じて首を傾げる。
(家を借りるって……魁さん、ここに住むっていうこと⁉)
桜は勢いよく魁の方を見た。
魁はニッコリ笑って言いながら首を傾ける。
「これからは家族としてよろしくね」
「……っ⁉」
(けっ契約結婚なのに、住む場所も一緒⁉)
血が急激に昇ってのぼせた桜は、真っ赤になって倒れそうになった。が、耐えた。




