表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
美容系アイドルとイケメン院長の独占欲♡秘密の診療室で溺愛されて困ってます~推しの秘密は蜜の味〜  作者: はなたろう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/13

最終話

「本当に行かないの?」


「貴重な休日に、なぜわざわざアラタを見に行く必要があるんだ?」



クリニックの院長室。克哉はパソコンの画面から視線も上げずに、心底面倒そうに答えた。


私はその横顔に唇を尖らせながら、手慣れた手つきでスマホを操作し、ついに『チケット応募』のボタンをタップした。


dulcis〈ドゥルキス〉のアジアツアーだ。



「当たるかなぁ……当たれ、当たれ……!」


「そもそも、なぜそんな面倒な手順を踏む?」



克哉はキーボードを叩きながら、呆れたようにため息をついた。



「アラタに言えば、関係者席のひとつやふたつ、すぐに用意してくれるだろう」


「わかってないなぁ。それは『ファン道』に反します。私はアラタの彼女である以前に、dulcisの熱狂的なファンなの!聖域なの!」



チケットは自力で勝ち取ってこそ、神に、そして推しに捧げる価値がある。


コネや転売なんて言語道断。それが私の譲れないポリシーだ。



「それより、休暇申請はちゃんと受理してくださいね」


「有給は社員の権利だと言いたいんだろう?全く……」



克哉は眼鏡を押し上げ、完全に呆れ顔だ。



「克哉にもアラタの本当の姿を見てほしいのになぁ。ステージの上ではキラキラして、最高にカッコいいんだから」


「それを言うなら、ベッドの中こそが彼の本当の姿だろう」


「な!」


「すっかりトラウマを克服したようで何よりだな」


「もう、その話はしないで!」



私が真っ赤になって抗議すると、克哉はふっと意地悪な笑みを消し、真面目な顔で画面を指差した。



「そのアラタから、予約が入っている。今夜、愛香に残業を命じた本当の理由だよ」


「えっ!」



克哉に手招きされてパソコンを覗き込む。


そこには、限られた人間しかアクセスできないV.I.P.専用の予約画面が表示されていた。


【予約者:ARATA】


【時間:今夜21:00】


【メニュー:美容点滴】


【備考:オプション希望あり】




「オプションね……。帰国して早々、本当に元気な男だ」


「ハードスケジュールで疲れてるのよ!ケアが必要なの!」



アラタは海外ジュエリーブランドのアンバサダーとしてフランスへ渡航していた。



「愛香が癒やしてやればいい。今夜はデートの予定だったんだ」


「院長としての仕事をしてください、もう!」



でも、かすかな期待に胸が疼く。


顔が熱くなるのを隠すようにデスクの端に目をやったとき、私はある「異変」に気がついた。



「ねえ、こんなの……前からあった?」



克哉のデスクの隅、目立たない場所に置かれた小さなタブレット端末。


そこには、見覚えのある室内がリアルタイムで映し出されていた。



「これ……V.I.P.用の個室?ま、まさか、克哉……!」


「ふふ。バレてしまったら仕方ないね」



克哉は悪びれる様子もなく眼鏡を外した。その口元には、余裕たっぷりな微笑みが浮かんでいる。



「ま、まさか――ずっと見てたの?」


「言っただろう?僕は君たちが幸せになるのを、心から応援しているんだ。愛香がアラタに溺れ、アラタが愛香を貪る。僕が手掛けた2つの美しい肌が絡み合う……。そう、ルーブル美術館でもお目にかかれない至高の芸術品だ」


「……この、超絶ド変態院長!」


「僕にとっては最高の褒め言葉だ。今夜も楽しみにしてるよ、愛香」



「克哉の、バカバカ!」



私は恥ずかしさのあまり叫び、タブレットをひったくって逃げ出した。


「あ、コラ、それはクリニックの備品だ!」



椅子から立ち上がって追いかけてくる。


院長室の中でドタバタと追いかけっこが始まるが、診療時間はとっくに終わっている。



「あらあら、元気なこと」



ガチャリとドアが開き、百合さんが優雅に顔を出した。



「百合さん!聞いてください、克哉が盗撮してたんです!これ、今すぐ粉々にして捨ててください!」


「物騒な話ねぇ」



百合さんがひょいとタブレットを受け取り、画面を覗き込む。


「なぁんだ。バレちゃったの?残念ねぇ、面白かったのに」


「え……!ゆ、百合さんまで……!?」



絶句する私をよそに、百合さんはタブレットを愛おしそうに克哉へと戻した。



「バレてしまったなら、もうおしまいね。院長」


「そうだな。面白味がなくなった」



白衣を着た完璧な美男美女が、揃って私を面白そうに見下ろす。


揃いも揃って、うちには変態医師しかいないのか!



「そうそう、お客様がいらっしゃいましたよ。……まぁ、私の可愛い『弟』ですけどね」



百合さんがにこりと告げる。



「出番だな、愛香。もう盗み見はしないから、しっかり癒やしておいで」



克哉も満足げに私の背中を軽く押した。



「な、なんなのよ、もう!」



私は二人から逃げるように院長室を飛び出し、廊下を全速力で駆けた。


アロマの香るあのV.I.P.ルームのドアを開けると、そこには満面の笑みを浮かべたアラタが立っていた。



「愛香、会いたかった」



そう言って、アラタは私を優しく抱きしめた。


私の甘く騒がしい日々は、これからもずっと、終わらない。

ご覧いただきありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ