別荘
私は、マシーンになる、所だったが。
私の知らない所で、回避できた。
私は私の為に。猿共を駆逐する。
目の前に、ゴスロリを着た。おっさんがいた。
カイチューは、私に見向きもせず。
ソーイングマシーンを、尋常でない素早さで漕ぎ。布と布を留めて。
目に見えるスピードで、服を仕上げている。
「貴女、何者なの。マリア様を、使うなんて。街の人間を、敵に回すわよ」
全然、手を止める気配を、感じなかった。
カイチューは、独り言を喋るみたいに。
マシンに、語りかけている。
「マリア様の大事な物を、海で拾って届けただけよ。良いでしょ」
カイチューは、私の言葉が、勘に触ったらしい。
手を止めて。こちらを振り向いた。
私は、グローブを外し。襟のボタンを外さずに、頭を抜いた。
袖も、同様に抜き。一度、ゲル状になり。
メイド服を落とすと、元の体型に戻った。
「貴女何者なの。妖精か精霊の類なの」
カイチューは、私に興味を示し。
ミシンから立ち上がり。私を観察し始めた。
「少し前に、剣士上がりの側室のドレスを、作ったの。彼女の体型も素晴らしかったけど。それを簡単に凌駕するわね貴女」
私は、裸で仁王立ちをしている。
「この体を作るのに。1日費やしたからね。馬鹿にさらたら、ぶっ飛ばしているところよ」
私は、散らかっ服に、頭と手を通して。グローブをはめた。
「それに、私は精霊でも妖精でもない。簡単に言えば、化け物ね。味方なら女神で。敵なら悪魔よ」
カイチューは、私に触れようとしたが。私が拒否した。オスには、変わりない。
「採寸は、なさらないのですか」
侍女の1人が、声をかけた。
デザイナーのカイチュー様に、服を作ってもらうチャンスなのに。何故か、疑問を持ち。声が出た。
「問題ないわ。明日の朝、玄関に木偶を置けばいいのでしょ」
カイチューは、デザイナーらしく。ペンと紙を持ち。私の要望を聞こうとした。
「何処に出しても、恥ずかしくない服を作ってみせるわ。それこそ、王族が側室に欲しがるくらいのやつを」
私は、カイチューの腕を見くびっていた。
たが、私が欲しい服は、違う正装のドレスだ。
「私は、側室なんかに興味もないし。縛られるのはゴメンで。私が欲しいドレスは。喪服よ。未亡人風のドレス。黒のベールを、沢山重ねて。それでいて、マリア様の葬儀に出でも、恥ずかしくないやつをお願いできるかしら」
カイチューは、少し恐怖を感じ。
「貴女、まさかマリア様を、殺す訳ではないでしょうね」
そうか。そう思うよね。普通は。
「私に、何のメリットもないわよ。逆に、マリア様には、長生きして欲しいもの。私は、表に出たくないだけよ」
私は、服を着終えて。カイチューの家を出で。
バヤナルトの馬車に乗り込み。
ビニガーの執務室へ向かった。
私が、到着すると。マリアの首から、チョーカーは外され。テーブルに置かれていた。
「真理子様、大変申し上げにくいのですが。街に出入りする為のプレートを、明日まで待って頂けませんか」
ビニガーは、申し訳無さそうに、テーブルに頭を擦り付けた。
「真理子様の名を。誤って『マリーン』と、付けてしまい。明日の朝、訂正させますので。本日の取引は無しで。テーブルに置かれた、200枚の金貨で、許してもらえませんでしょうか」
金貨は、10段が20列に並んでいた。
私は、テーブルのプレートを確認して。
「そんな事は、とうでも良い。名前など、今更で。マシーンでも、良かったぐらいですよ」
クラゲに、名がある方がおかしいのだよ。
「ねっ。言ったでしょ。真理子は、気にしないって。考え好きなのよ。ビニガーは」
マリアは、直ぐにテーブルのチョーカーを取り。
私の首元を飾るのが、当然の如く巻いた。
「マリア様、お願いが有るのだけど。地下通路の先の別荘を、少し間借り出来ないかな」
私は、猿の討伐を勝手出た。
「全然、私の方は問題は無いけど。猿も蜘蛛も、出ますのよ。宜しいのですか」
猿以外にも、討伐対象がいた。
「猿は、退治出来るけど。私は、蜘蛛を知らないのだけど。気持ち悪いの」
私は、基準は強い弱いでは無かった。
「真白で、不気味な感じよ。気持ち悪いに決まっているじゃない。猛毒だし」
マリアは、3年前に夫のチャーリーを、蜘蛛によって亡くしたのを公表しなかった。
「でも、蜘蛛は年に一度の、秋の満月の時にだけ。森から出て、人を襲うの。ある人は、繁殖が原因なんじゃ無いかって話しているわ」
私は、金貨200枚を頂き。いくつかのアイテムを渡し。地下通路の先の別荘に移動した。
木を数本倒して。私と同じ木偶を彫った。
8体彫って、妥協した。顔以外は全て同じだが。
目の角度で、何度も彫り直し。妥協した。
私は、それをカイチューの庭に運び。
最初の草原へ戻った。
最初の7頭の狼達を、ワインでスカウトした。
船に乗せて。深夜に、別荘へ移動をした。
異世界に、飛行機でも衛星でも無い物を、空中に浮かせて。光を点滅させた。
私は、昨日降り立った。いくつかの地点に、バヤナルトの街で購入した、安物のワインの樽を開け。猿どもを、おびき寄せた。
狼達は、舌舐めずりをしながら。私の合図を待ち。私の前で、アピールしようとしている。
私は、森の上空から猿どもの動きを、観察している。猿どもが、数の面で優勢だが。
私は、狼達に加勢をして、回復魔法を使うつもりだ。
私は、目的のために、猿共の生態系を破壊した。
『GO』
狼達は、猿共を駆逐する為に。私に、アピール留守ために。ご褒美のワイン欲しさに。
様々だったが。猿は逃げ惑い。好戦的な猿は、早死した。
私は、森を散策しながら。果物の木を見つけては、アイテムボックスに収納した。
これだけの猿共を、食わせる森の果物の木を。
私の果樹園の為に、駆逐を開始した。
木を、鑑定しながら。時には、触手を伸ばし。
狼達に、回復魔法をかけた。
一頭は、私の周りを警戒するために、戻ってきたが。追い払って、仕事をさせた。
思った以上に、成果があり。
猿共の弱さが、立証された。
森の8割を侵略して。果樹を集め。
街や街道の警備のために、マーキングもさせた。
私は、木を大量に伐採して。
別荘の横に、広大な果樹園を作り。
それに、副産物を手にした。
ハッピー・ビーだ。
小型犬並の大きさで、ずんぐり、むっくり、な真ん丸な体型をしたミツバチで。レアらしい。
最初に、船を固定する為に、伐採した木を並べて。ズレないように、杭を刺した。
早速に次の船を開け。確認を後に回し。
先に、ハッピービーの巣箱として、提供した。
大分、潮の香りと水分が抜けてないが。
窓は全て開け放ち。風の通り道を確保している。
働き蜂が、羽を動かして。大量に風を送り。
船を、乾燥させている。
船を、巣穴として、認めたようだ。
私は、新たな航海日誌を開けてた。
その船は、赤い点滅の無い。海賊船で。
航海日誌は、宝の地図になっていた。
私は、果樹園の為の水魔法使いを雇い。旅に出た。