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繁殖期

マーリンの説得も虚しく、サハンナー軍は、マドナグラへ撤退しない。

逆に、サハンナーから、増援がデナガリに、集まって来ている。



 「お願いです皆様、サハンナーへお戻りください。これは、侵略戦争です。真理子様は、本当に温厚な方ですが。怒らずと、見境がありまさん。今ならまだ間に合いますから、船に乗り込み、マドナグラへ向かってください」


「出来るわ訳ないだろ。これだけの人数をグルドリアに移送するだけで、時間と金がかかっているんだ。お前こそ、マドナグラに帰ってきて、ビンテージワインを販売しろ」


「無理です。ビンテージワインは、真理子様に全て取られました。今の私は、真理子様の使用人でしか有りません。ビンテージワインを探す事は愚か、外出も許されていません。狼に、見張られているのです」


「尚更だ。お前を解放してやるから、ビンテージワインを、私に差し出せ。分かったな」


「私の事は、構わないで下さい。皆様の生命が心配なのです。この土地から、速やかに出て行って下さい」


「無駄だ。ビンテージワインとブルーダイヤモンドを、手にするまでは帰るなと。サハンナー国王が、言っているのだから。サハンナー国王の命である」


 遠くから、ジョルジュがやって来た。


「あの狼だ。サハンナーへ、マリーンと乗り込んで来たのは」


「辞めない、話はまだ、終わってません。真理子様に、言いつけますよ」


 ジョルジュは、私のウエストのベルトに、牙を引っ掛けて、少し浮かせた。

 私は、手足をバタつかせて、抵抗をしてるふりをする。


「帰らないと、大変な事になります。ブルーダイヤを取ったら、山神様の祟に遭いますよ」


 私は、ジョルジュに連れ去られながら、捨てゼリフを吐いた。


「何が祟りだ。そんなモノが怖くて、戦が出来るか。まだ、狼がいるかも知れないが、先遣隊として、500人の精鋭で狼とマーリンを追うぞ。手柄を上げたいヤツは、挙手しろ」


 ヒヤロワーロ伯爵を先頭に、600人の兵が森の入り口に向かった。


 森の入り口までは、すんなり来られたのだが。入り口は、数本の木々が折り重なるように重なり、別荘へ向かう道は塞がれている。


 バヤナルトは、門を閉ざし。何人も入れない状況になっている。

 周りには、油が撒かれて、独特な匂いを発している。


「どうなっている、デナガリの町には、人も居なかったし。バヤナルトは、門を塞いでいる。森に進むしか無いのだが」


「ヒヤロワーロ伯爵様、馬の準備が整いました。最初の木を、移動させてもよろしいですか」


「急がせろ。次の者たちが到着してしまう。先に、ブルーダイヤモンドの山を押さえるのが先だ」


「よし、馬で引け」


 馬は、バリケードを、剥がし始めた。


 私たちは、森の影から、この様子を見ている。

 私たちがいるので、猿たちは、攻撃できない。


 森の入り口で、ヒヤロワーロ伯爵が、手をこまねいていると。援軍が、続々と現れて。


 2000人の兵が、馬と一緒にバリケードを、剥がし始めた頃。

 私たちは、別荘まで下がり。

 少数の猿たちが、攻撃を始めた。


 最初に、バリケードの上に乗り、指揮をしていた兵士が、一瞬で、反対側に引っ張られて、姿を消した。

 

「大丈夫か。おーい。生きてるか」


 次に、心配して、バリケードの上に登ったヤツが、裏に吸い込まれた。


 ここで、攻撃を受けている事に気づいた。


「3人を、バリケードの上に回せ。一人で行かすなよ。誰が、攻撃してるか分からないぞ」


「はい。三人上に行け。情報を教えろ」


 フルプレートを着た兵士が、ゆっくりと木を積み上げただけのバリケードを登って行く。


「気を付けろよ。相手の正体が、まだ分かっていない。油断するな」


「はい」


 次の瞬間、猿が現れて。後ろを振り向き、返事をした兵隊の頭を掴んだ。


「あ゙~。先輩、助けてください」


 猿は、兵隊を片手で持ち上げると、ブラブラと揺らし。森の方を、チラリと見た。

 森の方には、数匹の子ザルが、玩具やオヤツを求めるように、見つめている。


 猿は、空いている左手で、兵士の首を絞めた。


 兵士は、異常に発達した大きな手で、喉を絞められて、声を発するどころか、呼吸を封じられて。腰のナイフを握る前に、意識を失った。


 猿は、戦意喪失した猿を、子猿の群れに投げ与えて。


『ウーキキキキキ。ウーキキキキキ」


 嘲笑うかのように、高い位置から兵隊を見下した。


「弓を放て」


「ですが、仲間2人が残っています。後ろに落ちた2人にも、当たるかもしれません」


「早く打て。姿を現したのだぞ。チャンスじゃないのか」


「ですが」


「もう良い。あの猿を狙い撃て。素早いぞ、良く狙えよ」


 先に、4本の矢が猿に向かって飛んだ。

 猿は、直ぐに場所を変えて、もう一人を盾にした。


「辞めろ。仲間だぞ。私は、サハンナーの兵士だ」


「構わん。あの猿を撃ち落とせ。戦争に、犠牲は付き物だ。流れ矢で、不運の戦死だ。気にするな」


 矢は、止まった。別な猿は、出て来ない。


「ブルーダイヤモンドが、欲しくないのか。何でも手に入るぞ」


 ヒヤロワーロ伯爵の言葉に、無数の矢が放たれた。

 若いリーダーが、戦士の兜を被り、バリケードの上に現れた。


 バリケードの上には、4頭の猿が陣取っていて。先に進む事が出来ずにいる。


「素早いだけの猿が、人様に逆らうとは、げせん。早くバリケードを、何とかしろ」


 ヒヤロワーロ伯爵は、無理やり破壊を試みた。

 バリケードの上から指示する者は無く、一番下の木を、ロープで強引に引くと。

 猿たちは、逃げて。バリケードが、崩れると同時に、数人が犠牲となった。


 だが、積み重なっていたのが、崩れただけで、進歩がなく。猿に有利な足場となる。


 コレを、数度繰り返しなら、時は流れた。

 数百のいのちが奪われて、サハンナー軍の食料が減った。

 だが、本国から、無数の兵が送られてくる。

 サハンナー国王は、まだか、まだかと、吉報を待っている。



 マドナグラの港は、サハンナの軍に、船を奪われて。物資が入ってこない。サハンナーへの荷物は、別な場所で滞っていた。


 幾つかの商船は、マドナグラとの商売を中止すると、言い出して。

 港の存続が危ぶまれていた。



 中秋の名月、今夜は満月が上がる。


 突然、バリケードが、爆発した。


『ドッカーン』


 バリケードにいた、数匹の猿は吹き飛び。バリケードの大木は、粉々のチリに変わり。バリケードの中で、ロープを通していた兵士は、跡形も残っていない。


「猿どもと、バリケードに、どれだけの時間を費やしているつもりだ。早く鍋の中に入れ、グツグツ煮えているぞ、釜の中は」 


読んでいただき、有難うございます。

高評価、星とブックマークを、宜しくお願いします。

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