黒い悪魔
私は、黒いドラゴンと遭遇した。
諦めかけた時に、思いがけない出会いをした。
我慢ができず、必殺技と奥義を出した。
私は、1週間の仕入れと称してマドナグラを出たので。空いた2日を、宝探しに当てた。
勝率は、3勝3敗の引き分けで終わったが、別の戦利品を見つけた。
『月が円を描き、湖の封印が解け、ハガルが飛び出て、ドラゴンが現る』
私は、古文書に似た、羊皮紙に目が行き。確かめずには居られすに、サバーリ島へと向かった。
真ん中に湖がある島で、非自然に高い丘がそびえる。
丁度、旧秋の名月で、月が円を描く日だ。
私は、楽しみ半分で、休暇を楽しんでいて。異世界のRPGを、楽しむ気分になっていた。
日は落ちて、暗闇が広がりかけた時に、海面が上昇し。島は、海水に浸食されて、湖が消えた。
湖の生き物は、解放されて、不自然な丘の洞窟へと向かって泳ぎ出した。
寄せては返す波が、空洞の丘の筒を通り抜けて、途中に空いた穴から、流れ出した。
大量の魚が、その穴から飛び出て、下に落ちて行く。
コイツラが、ハガルなのか。
滝のように流れ落ちる海水に、足掻き登ろうとするハガル。
数匹が、龍門を抜けて、緑色の竜となった。
私は、白のフルプレートを着て、背中にクルウジーを装備して、二本のトンファーで構えた。
1mも満たないハガルが、龍門を登り8mほどに進化した。それも複数体。まだまだ、増える勢いは止まりそうにもない。
私は、蜘蛛のようなスタンピードを懸念して、戦闘モードへ入った。
風の魔法を使い、空中を自由に泳ぐ。
シーサーペント程ではないにしても、量が多過ぎる。
マドナグラも、バヤナルトも、危険になるかも知れない。これが、数週間で、倍の大きさになったら生態系に影響が出てしまう。
私が、20匹前後倒した時に、60m級のドラゴンが現れた。
夜に溶け込むような、黒い悪魔。
真っ赤な月を彷彿させる目玉に、鋭利に尖る爪。
口からは、青い炎を吐いた。
緑の龍は、私の相手をせずに、黒いドラゴンに向かい攻撃を開始した。
黒い悪魔は、緑の竜を食しに来たのだ。
襲い来る緑の竜の攻撃を、硬い鱗で跳ね返して。次々に口の中へと、緑の竜を放り込んだ。
意外なのは、あの巨体で飛べる事だ。
飛べるどころか、自由に飛び回り。旋回もホバーリングもする。
緑の竜を、もて遊ぶかのように捕食する。
私の中のバトルジャンキーの血が騒いだのか、逃げ惑いながらも、戦う緑の竜に心を打たれたのか。
私も、黒い悪魔に、攻撃を仕掛けていた。
よく見ると、黒い悪魔も傷だらけで、白いトンファーが入る。
入るが、60m級の巨体に、精々60cmの穴を開けた所で、あまり意味を成さない。
出血も、僅かだ。鱗が厚すぎる。
だが、聞いていない訳では無かった。
黒い悪魔が、私を標的に変えて、攻撃を始めた。
青白く細い光線のような炎を吐き、鋭利な爪が、強襲する。
スピードを、僅かに凌駕するだけで、青い炎に対しては、『ソニック』で防いでいた。
私は、必殺技を使わざろえなかった。
長時間戦い、緑の竜の数も減っていた。
私は、ドラゴンが振り下ろす攻撃に合わせて、シャコパンチを繰り出した。
鉤爪を掻い潜り、掌に向けて。『ソニック』とトンファーの力を借りて、拳を繰り出した。
私の渾身の一撃は、相殺された。
私は、右手を失い。黒い悪魔は、左手の半分を失った。
トンファーは、砕け散り。フルプレートの左腕部分は、跡形も残っていない。
この世界のドラゴン種は、なぜ逃げないのか。
シーサーペントにしても、この黒いドラゴンにしても、勝ち筋があるのか。
私には、秘奥義が残っている。
使いたくは無いが、隠し玉だ。
ヤツの腕を破壊した以上、使っても良いとさえ思えた。
私は、トンファーをしまい。クルウジーを左手に装備して、右手をそのまま再生させた。
この時点で、体力ゲージは半分に減り、Dangerのサインは出ていない。
勝てる気しかしなかった。臆してなど無かった。
『ソニック』
私は、正面から黒い悪魔に近付き、黒い悪魔の鼻先で止まった。
「死んで、詫びろ」
私は、感情が高ぶりすぎて、意味不明な。中二病に似た、恥ずかしいセリフを大声で吐いた。
左手で、高々とクルウジーを掲げたて。
そのまま、自分の左腕を切り落とした。
私の紫の血は、漆黒のドラゴンの顔を紫に染めるほどほとばしり、真っ赤な目を封じた。
ドラゴンの右手が、襲いかかるが。クルウジーで避けて。
破壊された左腕の肉や骨にも、私の血を浴びせた。
私の体力は、3割ほどになったが。ドラコンは虫の息だった。
ドラコンは、サバーリ島へと落ちて、毒が体内を侵食して行く。
海水に、顔の半分が埋もれて、呼吸も難しそうだった。
私は、またレベルが二つ上がり、炎のドラゴンブレスを手にした。
ドラゴンの思考が手に入り、数千年の記憶とマップを手にしたが。
然程活動をしていない個体だ。
ドラゴンらしいと言えばそうなるが、無駄に生きて、惰眠をむさぼる生物だった。
期待した、私が馬鹿みたいだった。
マップは、役に立ったが。
街や人々を、焼き尽くす記憶が多くて。記憶も数百年単位で、人々の街や村の情景は、様々なものでしか無かった。
収穫は、私の毒を含んだ、ドラゴンの鱗と革だ。
瀕死の時に、切り落とした、ドラゴンの左足は、無傷で。
カイチュウに、ロングコートとバッグを催促しようと考えていた。
体力の回復に、1日もらい。八日目の朝早くに、マドナグラへと向かった。
少し離れた所から、高い波を起こして。デナガリ発、旧マドナグラ着の船に波がぶつかり。
船員や乗客が騒いている時の、どさくさに紛れて。波が向かってきた、反対側から船に乗り込んだ。
荷物には、バヤナルトの紋章の布がかけられていて、荷解きする輩は存在しなかった。
バヤナルトの化け物は、五万の軍勢を一瞬で食べるらしい。
いや、他国で、80mの機械の化け物と、戦ったらしいぞ。
雷より早く動くと聞いたぞ。
左手に、得体の知れないものを嵌めて、レーザーなるものを飛ばすと聞いたぞ。
色々な噂が飛び交っているようだが、私は、レーザーを発しない。
私は、素早く荷解きをして。水夫に金貨を渡し、荷物を降ろさせた。
「お待ちしておりました。マーリン様」
私は、船と桟橋を架ける橋を渡ると、ズル賢そうな商人が声をかけてきた。
サバンナーの商人ボラガスだった。
手のひらを擦り合わせて、ご機嫌取りをしてきた。
「長旅、ご苦労さまでした」
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