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ケビンの暴走

残った4頭のパートナー探しが始まったのだが。

前途多難だった。やる気を見せたのは、ジョルジュだけだった。



 私達は、最初の平原に着いた。

 コンナムの三男は、トイレ掃除から、日本酒の見張り番に昇格した。

 毎日、日本酒の底をかき混ぜて、温度管理をしている。


 最初の平原は、別荘のように簡単な魔除けの封印がされていて、雑魚は近付けないし、ベヒーモスの血を周りに垂らして、マーキングをした。


 熊もヴァイツも、簡単には入ってこない。


 これから1週間で、パートナーを捕まえないといけないのだが。

 ジョルジュだけが森に入り、サーシャとミランダは、お酒を催促した。

 ケビンは、リュウミーの側を離れない。


 別に、どうでもいい。パートナーなんて、私がとやかく、言えた義理でもない。


 それにしても、ミランダのピッチが速い。サーシャと同じように、ワインを開けている。


 そして、ミランダがその気になったようだ。


「何だこの匂いは、嗅いだことがないぞ」


 ミランダが、その場でフェロモンを発したのだ。

 私とリュウミーは、手で顔の周りの空気を払い、新鮮な空気を求めたが。


 ミランダの方が、急に走り出して。ジョルジュの入った森の方へと向かった。


「ほら、ミランダも森に入ったよ。ケビンも、パートナーを捕まえておいで」


 ミランダが残したワインに、ケビン口を付けた。

 最初の吐瀉物事件から、ワインを避けていたのに。自ら口にしたのは、最初の出会い以来だった。


 問題児のキースが現れた。

 キースは、封印を破り。勝手に草原に入ってきた。


 サーシャの横に並び、ワインをくすねようとしたので、別でキース用のワインを差し出した。


 キースは、時々、サーシャにチョッカイを出して。サーシャも、問題児を受け入れて。


 私たちの前で、事を始めた。

 サーシャのお尻を嗅いだかと思ったら、次の瞬間には、キースがサーシャの後ろから、腰を振っていた。


『サーシャ、人の目は気にしろ。ママは、とても恥ずかしい』


 リュウミーは、直視できずに。背を向けて、テントを組んでいた。


 突然、ケビンが森に駆け出した。


『何だ。気持ち悪くなって、吐きにでも行ったか』


 リュウミーが、一人になるって珍しく。あんなに、ベタベタ付きまとわれていたのに、リュウミーは、気にせずに自分のことを先にしている。


 事を終えたサーシャに、自家製の日本酒を与えてみた。

 サーシャは、匂いで感じ取ったのか。

 水を要求してきた。


 ワインの横の地面を叩き、別の桶で水を催促して。

 私が差し出すと、ガバガバと飲み始めた。

 事を終えると、いつものサーシャに戻り。キースを、近付けなくした。


 キースの方も、ワインを飲み直して。森に帰る気は無いらしい。


 サーシャは、日本酒に取り掛かり。匂いを嗅ぎ、口を付けた。

 ちゃんと、お酒になっているようだ。


 二口、三口と進み、どうやら自家製の日本酒は、お口に召したようだった。


「お前の為に、甘いお酒にしてみた」


 私は、日本酒を舐めるサーシャの首を、横から撫でて。止まらずに、日本詐取を飲み続けるサーシャに対して、しばらくは、安泰だと確信した。


 しばらくして、ミランダがパートナーと一緒に、森から出てきた。

 その場で、ジークと名付けられて、祝福のワインを催促された。


 少し時間が空いて、ケビンが森から戻って来た。

 一人のようで、パートナーを連れていない。


 珍しく、ケビンがワインを催促して。私は、普通にワインを出した。


 そして、ケビンの中で何かが起こり。野生に戻った。

 理性を無くし、突然リュウミーに、襲いかかった。


 私は、クルウジーを取り出して、『ソニック』を使ったが、間に合いそうにもない。


 リュウミーは、左手をケビンへと向けたが。躊躇している。


「リュウミー、打て」


 リュウミーは、腕を噛み砕かれた。

 激痛で、意識を失いそうになっただろう。


 次の瞬間、私は、クルウジーをケビンの腹に刺していた。


 ケビンの腹から、クルウジーを抜かずに、リュウミーの横へ駆け寄り、急いで回復魔法をかけた。


 リュウミーの左手は、噛み千切られていて。

 ケビンの腹に、クルウジーが刺さった時に、左手を吐き出している。


 水魔法で、潰れた左手を洗い。切断された場所に合わせて、回復魔法をかけた。

 リュウミーの左手は、回復魔法で治癒したように思えたが、本人が意識を失っていた。


「リュウミー、リュウミー大丈夫か」


 リュウミーのショック死を心配して、頬を叩いて、意識を取り戻させた。


「痛いです。真理子様」


 リュウミーは、右手で反対の左頬を押さえた。


「大丈夫か、左手は動かせるのか」


 その言葉で、ケビンの事を思い出し、横のケビンを見た。


 クルウジーが、深く刺さり。横たわり、虫の息だった。


 リュウミーは、左手を使わずに起き上がり、ケビンの横に寄り添い、背を向けて、私と対峙した。


「何故ですか。私には、回復魔法をかけて、ケビンには、かけてあげないのですか」


「何を言っている。ケビンは、お前を襲ったのだぞ。分かっているのか」


「分かっています。ですが、ケビンは私たちの家族です。お願いします。回復魔法を、ケビンにかけて下さい」


「駄目だ。ケビンは、人の味を知ってしまった。殺処分しかない」


「なら、私も死にます」


 リュウミーは、調理用のナイフを右手で抜いて、自分の首に当てた。


「辞めろ、リュウミー。私を困らせないでくれ。左手は、動くのかの確認させろ」


「嫌です。あの時に、魔法を打てなかった私の責任です。ほら、ケビンは、正気に戻っていますよ」


 リュウミーは、呼吸の荒いケビンの口に、右手を入れた。


 ケビンは、死を覚悟していた。

 最後に、愚かなことをしてしまったことを、反省しているようだ。


 私は、クルウジーを、ケビンの腹から抜き取り。リュウミーの気迫に負けて、ケビンに回復魔法をかけた。


 リュウミーは、左手を動かし。ケビンの背中を撫でていた。


「ゴメンね。私が、魔法を打ていたら、こんな事には、なっていなかったのに」


 ケビンとリュウミーは、その場で眠りにつき。


 遅れて、ジョルジュが、サマンサとクロエを連れて森から出てきた。


 これで、子供たちにパートナーが出来た。

 早く帰らないと、小さな子供たちの面倒を見ている、2人に怒られてしまう。


 子育ては、別荘で行う事にして。

 船を出して、みんなを乗せようとしたが。

 クロエだけが躊躇して、強引に乗せる感じで、別荘へと向かった。


 別荘では、ソサルジとサバガヌが、大きく手を振って、迎えてくれた。

読んでいただき、有難うございます。

高評価、星とブックマークを、宜しくお願いします。

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